兎丸

兎丸

動物が好きです。小説が好きです。両者は併存できます。
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時を味方に付けることができたなら。 まだ『僕』が生きていた時、そう願ったことが何度かあった。実際、僕の願いは間接的に叶ったと言えるだろう。ただ、今の僕は当時の僕にそうとは伝えられないだろうが。 守りたい世界がある。崩したい法則がある。憎んだ在るべき世界の姿、それらの裏に存在する何者か。僕は抗う。 たとえ既に己が、人と呼べる存在でなくなっているとしても。
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小説 184,450 位 / 184,450件 ファンタジー 42,397 位 / 42,397件
文字数 10,114 最終更新日 2024.04.15 登録日 2024.04.11
異常な嵐が容赦なく一隻の船を襲っていた。船乗り達は次々と海へ投げ出されていき、それを彼は遠くからただ眺めている。 やがて彼は、客船の底に沈む一人の囚人の元へと訪れ、そこで物語を語らせる。 船はどこへ向かっている? 彼の語る物語は現実のものか。それとも……。
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小説 184,450 位 / 184,450件 現代文学 7,863 位 / 7,863件
文字数 8,872 最終更新日 2024.03.24 登録日 2024.03.13
 機械でも、疑問を抱くことがあるのかしら?  ある日、彼女は何気なくそう呟いた。他に誰も聞いている者はおらず、僕だけが彼女の何気なく発せられた恐ろしい言葉を聞いたのだった。その言葉はそれから、僕の頭の中を四六時中ぐるぐると巡る事になる。  僕は彼女のその言葉を、思い出す必要などなかったのだ。ずっと、見えないふりをし続けていればよかったのだ。なのに、この世界の機構は僕が思うよりもずっと複雑で、不味いタイミングに限って、奥からそれを引き出してくる。  全てが終わる前に、僕は彼女のその言葉の事を思い出していた。ただ独りで。
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小説 184,450 位 / 184,450件 ミステリー 4,148 位 / 4,148件
文字数 11,367 最終更新日 2024.03.15 登録日 2024.03.12
今日も都には雨が降り続いている。まるで私の憂鬱を取り囲むかのように。 何故この都に住み続けているのか、自分にも分からない。いや、分からないことだらけだ。もしかしたら、分かっていることなど何一つとして存在していないのかもしれない。 私は何故、今日もコーヒーを淹れるのだろう。何故、彼女を部屋に迎え入れるのだろう。こんな小さな、鉛と倦怠を帯びた空気の他に、何もない部屋に。 彼女は今日も微笑っていた。私はその笑顔を、直視できないでいた。 時間は過ぎていく。そしてその間も、雨は間断なく降り続く。 深々と、音のない音を立てながら。
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小説 184,450 位 / 184,450件 現代文学 7,863 位 / 7,863件
文字数 38,020 最終更新日 2024.02.25 登録日 2024.02.01
「俺、母親の中から出てきた時のこと、覚えてるんだよ」  嘘つけよ、と少年は言う。 「嘘じゃない。全部覚えてるんだよ。俺の母親の中から、粘液まみれで出てきて、それで、銃が、滅茶苦茶ちっちゃな銃が、自分のへその緒と棚がってるのを、俺は見たんだよ」  それは嘘だよ、と少年は言う。 「嘘じゃない」  嘘だよ。  少年はいなくなった。そして、僕は自分がこの世界において異端であることを知る。そして、この世界の外には、もう一つのーーいや、更なる世界が広がっているということも。  僕はその時まで黙っていなくてはならない。もしもその時が来なければ、その時は……。  僕はどうするのだろう?
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小説 184,450 位 / 184,450件 ファンタジー 42,397 位 / 42,397件
文字数 2,348 最終更新日 2024.02.16 登録日 2024.02.15
彼と過ごした、一夏の『現実』の物語。 ーーーー 別サイトのイベント企画の為に書き上げました。字数制限があったのですが、こちらには削り切る前の状態のものを投稿しております。
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小説 184,450 位 / 184,450件 ファンタジー 42,397 位 / 42,397件
文字数 8,398 最終更新日 2023.09.15 登録日 2023.09.15
ファンタジー 完結 ショートショート
そこは名前のない、光が支配する国だった。
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小説 184,450 位 / 184,450件 ファンタジー 42,397 位 / 42,397件
文字数 3,382 最終更新日 2023.09.03 登録日 2023.09.03
現代文学 完結 ショートショート
生きるということが形を伴うものであるとしたら、僕は生きるということを放棄している。 僕はいつまでも逃げ続けている。それを人々は怯懦と呼ぶのかもしれない。 または嘘吐きと。
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文字数 3,370 最終更新日 2023.03.25 登録日 2023.03.25
現代文学 完結 ショートショート
承認欲求。
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小説 184,450 位 / 184,450件 現代文学 7,863 位 / 7,863件
文字数 742 最終更新日 2023.02.16 登録日 2023.02.16
私はどんな場所よりも、空の中に抱かれていることの方が好きだった。 空は、私の全てを肯定してくれていた。 私は、この世界の事が好きではない。ただ、嫌いでもないのだ。ただただ、合わないというだけ。私と私の今いる世界とは、出会うべきではなかった、ただそれだけなのだ。 あれ程美しかった空も、今は重たい雲に覆われて、太陽の姿も見えない。街は水没し、私のいる電波塔のすぐ側まで、水位は昇ってきている。 私は何のために、今更になって、こんな事を書いているのだろう。一体、誰の為に。 窓の外の、豪雨の作る幾つもの細い線の先に、私が憎んでやまなかった雷の壁が揺らいで見えている。 私は書くのをやめた。 ・・世界が終わる雨の日に 花澤カレン
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小説 184,450 位 / 184,450件 青春 6,503 位 / 6,503件
文字数 29,384 最終更新日 2022.08.13 登録日 2022.07.21
 僕は今月の案山子だ。  案山子は、全生徒と教師の頭髪を燃やしたもので作ったウィッグを被り、ゴミ置き場に幾日も放置された悪臭のするボロ布を来て、昼夜問わず校門の前に立つ。  毎月、ランダムに選ばれる案山子の仕事は、学校内に入ってこようとする不審な存在を排除する事。それだけだ。  存在意義が日々、問われていく。それは案山子になる前に、教室にいた頃と、何も変わらないのだけれど。
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小説 184,450 位 / 184,450件 現代文学 7,863 位 / 7,863件
文字数 3,137 最終更新日 2021.09.05 登録日 2021.09.05
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