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40話 研究の成果
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「お、あったぞ」
「どれですか?」
魔道顕微鏡を覗き込んでいたのが魔術部3班所長ウィリアム、横から覗き込んだのはショッテル君だ。
1班2班が討伐などの実行組なのに対し3班は魔術の研究や魔道具の開発が主になる。
まあ、戦時には駆り出されるらしいが。
今のところ班に浄化魔法が使える人間は俺を含めて6人。
その中にショッテル君も入っている。
出来損ないだなんて言ってたけど、充分優秀だ。
その6人で、俺の浄化魔法を解析しているのだが
「もういいですか。シンドイです~」
いくらほんの少しだけ魔力を出せばいいと言っても、元々の魔力量がない俺には、出し続けるのはキツイ作業だ。
「そもそも洗濯玉って魔力を詰めたら出来上がりますよね」
取ってきた魔石に、俺の魔力を詰めたら簡単に洗濯玉になったけど。
「いやいや。洗濯玉というのは汚れを落とすための浄化魔法を刻み込んでいる物のことだからね。刻み込んで指定している汚れや臭い以外は取れないだろ?」
え、そうなの?
「でも俺、魔石に魔力を詰めて洗濯玉作ってましたけど」
リクに集めてもらった魔石に、俺が魔力込めて作ってたぞ?
「そりゃあ、サリス君は浄化の魔力持ちだからだよ」
「そうそう、他の人が何も刻まれていないその魔石に魔力を詰めたら、別の機能を持つ魔石になると思うよ」
はーなるほどー。
道理で買ってきた洗濯玉じゃないと、リクの魔力を詰めても洗濯玉にならなかったわけだ。
何が違うんだろうって思ってたぜ。
だから結局、リクは俺の魔力補充要員だったもんな。
「術式を刻まずにサリス君が作った洗濯玉は、癒し魔力も入ってるだろうからリラックス効果もあると思うんだよね。だからね」
あ、はい。
作れってことですね。お風呂で使ってるって言ったの俺ですもんね。
わかりましたよ。
しかし俺の作った洗濯玉が『浄化機能付バスク◯ン』になってたとは。
恐るべしクゥの魔力。
今、国が欲しているのは『瘴気』を浄化できる道具だ。
俺の浄化は瘴気まで浄化できて、彼らの浄化では瘴気までは浄化できない。
何かが違うのだが、それが何なのか。
きちんと術式に起こすことができれば、誰でも繰り返し使える『瘴気も浄化できる玉』が量産できるようになるはずなのだ。
俺は魔力の提供はできても、解析はできねえからな。
AとBが違うってのは見て分かっても、それを術式に起こす知識がない。
今更学習する気も、ない。
「こっからが大変なんだよなー」
「魔石は高価だもんな」
「無駄打ちできないから、納得できる術式ができるまで次の工程にはいけないなあ」
……つまり、俺がやれることないって感じか。
「模様は書き取れたから、もうサリス君のやれることはないなあ。ずっと魔力を操作していて疲れただろうし、外で散歩でもしてこい。サリス君、まだ王領の森は行ったことないんだろ?」
「あ、変わった薬草とか生えてますよ。サリス君、そういうの好きって言ってたよね」
あ、うん。食える薬草ね。
……モズラでも引っこ抜いてくるか。
☆☆☆
そしてやってきました、王領の森。
んで今震えている俺だ。
なんでもない地面の上に、うつ伏せで転がる死体を見つけちまったんだけど……。
い、いや生きてるよな?
こんなところで俺1人しかいないのに、死体とコンニチハとか、マジこわいんですけど!
恐る恐る近づいて息をしているか顔の前に手をかざした瞬間、ぐるりと体勢がかわって男の下敷きになった。
びっ、びっ、びっ、びっくりしたー!!
よかった。生きてる人だった!
「これは驚いた。とうとう気配も殺せぬ暗殺犯を送ってくるようになったかと思えば、その服、とんだ天使な魔術師殿だったな」
は?暗殺者?
そういえば、着てるの騎士団の制服に似てるな。
狙われるくらい偉い人?もしくは目の上のタンコブ的な強い人?
「お兄さん、死んでるかと思ったんだぞ。なんでこんなところで寝てるんだよ」
本当に何もない、ただの森だぞ。
水辺とか、岩を背に森林浴とかならわかるけど。
「ああ、墓参りの帰りだったんだよ。俺は兄上に迷惑かけてるから、そのお詫びの報告をしに来たんだ。けどここまで来て、なんか急に帰りたくなくなってたっていうかな」
んで、こんなところで不貞寝?
「ふーん。お兄ちゃんとケンカでもしてんの?」
「はは。いや、ケンカにもならないかな」
「なのに帰りたくないの?」
なんていうか、拗ねてんの?大人なのに?
「嫌われてるとわかってるのに、会うのは嫌だろう?」
そう言うお兄さんの顔がやけに切なそうで、なんか放っておけん。
お節介してやるか。どうせ暇だしな。
「兄弟仲悪いのか?」
「んー、悪くはないけど、母親が違うとなあ。やっぱりそうなるだろ?」
おうふ、兄ちゃんと母親違うのかー。でも。
「嫌われてるって思ってる理由、それだけ?ちゃんと兄ちゃんに聞いてみたか?」
「聞いたことはないけどね。わかるだろ、そういうのってさ」
なんだよ、決めつけんなよ。
聞いてもみないで、勝手にへこんでんじゃねえよ。
きっとお兄ちゃんは悲しいと思ってるぞ。
「違うかもしれないだろ。俺も腹違いの弟いるけどさ。最初はお互い嫌なヤツって思ってたんだ。でも今は仲いいぞ。向こうの母親には嫌われてるけどな、俺。弟はかわいいもんなの。強いて言えば、俺よりデカいのが腹立つてのはあるけど」
「……そういうもんか?」
「そういうもんだって」
だから勇気を出して聞いてみろ。
「決めつけないで、頑張れって。ちゃんと兄ちゃんに好きって言えって」
「くふふっ、好きって言うのか?今更?」
「おう。んでお前が兄ちゃんに嫌いだって言われたら、俺が慰めてやるからな」
まあ、好きって正面から言われて嫌いって言えちゃうお兄ちゃんなら、いない方がいいし。
そしたら傷心の責任とって慰めてやらんと。焚きつけたの俺だしな。
「…………それもいいかもね」
なんか納得したっぽい?
「ところで、天使は森に何しにきたんだ?」
て、てて天使?
めっちゃ恥ずいことサラッと言うなよ。
俺、天使ってガラじゃねえからマジ恥ずいわ!
「俺、サリスフィーナっていうの!あんたは?」
「……俺のことを知らない?ふふ……道理で。あー、俺のことはダリアンって呼んでくれ」
ん?この言い方、もしかして有名な人だったか?
「俺は気分転換っていうかな。俺のやれるとこまでは終わったから、所長に森の散歩、勧められたんだ」
「へー、じゃあ仕事中か」
「まあ。っていうか、そろそろ重いんだけど」
重くはないけど、伸し掛かられたまま見上げて喋るの、ちと恥ずい。
なんかだんだん顔近くなってる気もするし。
「ああ……悪い。抱き心地がいいからつい。っしょっと、汚れたな」
そう言うと、ダリアンが腰に手を回して起こしてくれた。
仕草までイケメンかよ。
「大丈夫ー。ほらダリアンも『浄化』」
「ああ、もしかして……今噂の君かな?川を浄化したっていう」
あれ?俺のこと騎士まで広まってるの?
なんか秘密にしたそうだったのに。
「らしいな。全然自覚ないけど……ってそれなんだ?ビー玉?」
土を払って立ち上がった勢いで、コロンと何かが落ちてきた。
ダリアンの足元にガラス玉みたいのが落ちている。
「ああこれか。さっき町に出た時にもらったんだよ。子供の遊び道具だな。見たことないか?転玉といって名前の通り転がしてぶつけあって遊ぶんだよ」
へー。
ますますビー玉っぽい。
「平民でもわずかに魔力はあるだろ?少し魔力を込めて転がすと、動き方が変わって面白いんだ」
「え、マジで?魔力込めれるの?しかも玩具っていうくらいなら、そんなに高くない?」
そしたら、試作するにはうってつけじゃね?
「ん、ああ。たくさんは無理だが、魔力は込められるぞ。付与程度だけどな。値段も1つ10カーネもしないと思うよ」
「マジかー!ダリアン、救世主だ!これで俺らの班の課題が進むよ!」
思わず抱きついて喜びを表しちまったぜ。
うーん。もうちとダリアンとお話ししたい。
ビー玉について教えてほしいし、ちょっとだけお礼もだな。
「なあ、時間ある?」
「大丈夫だよ」
「んじゃあ、ちょっと座ろうぜ。ゆっくりお話ししよ」
ちょうど小腹も空いたし。俺、暇だし。
カバンから懐かしの丸太机セットを取り出すと適当に並べる。
お茶菓子をセットして、よし!
「座ってよ。食べながら話そうぜ。……おーい?」
ダリアン?遠く見て、どうした?
何かいるのか?
「…………あ、ああ。これはなんだ?」
「モズラ団子だよ。新作きな粉風なんだ。うまいぞ」
「………ははははー。あー、確かに愛されそうだよね、サリスフィーナって」
うん?
☆
「ダリアン、ありがとうな。おかげで明日から仕事が捗りそうだぜ」
売ってる場所も聞いたしな。帰る時買ってから帰る。
「役に立てたならよかった。俺の方も助かったよ。サリスフィーナには勇気を貰ったからね」
少し茶化して立ち上がったダリアンを見上げる。
「おう。じゃあ、またな。あんたも騎士なら、どっかでまた会えるんだろうし。兄ちゃんのこと、頑張れよ」
「ん、当たって砕けてくる。んで慰めてもらいにいくから。必ず行くから、約束だよ」
もー、なんで砕けることが前提なのさ。
「あはは、それ、素直に待ってるって言えねえなあ」
「ふふ、そうかい?……じゃあね」
「は?」
うおぉぉお!
頭にチュッてした!
恥ずぃぃぃい!
行動イケメン滅べ!まあ、ダリアンは見た目もイケメンだけどな!!
あー、転玉探しにでも行きますかね。
「どれですか?」
魔道顕微鏡を覗き込んでいたのが魔術部3班所長ウィリアム、横から覗き込んだのはショッテル君だ。
1班2班が討伐などの実行組なのに対し3班は魔術の研究や魔道具の開発が主になる。
まあ、戦時には駆り出されるらしいが。
今のところ班に浄化魔法が使える人間は俺を含めて6人。
その中にショッテル君も入っている。
出来損ないだなんて言ってたけど、充分優秀だ。
その6人で、俺の浄化魔法を解析しているのだが
「もういいですか。シンドイです~」
いくらほんの少しだけ魔力を出せばいいと言っても、元々の魔力量がない俺には、出し続けるのはキツイ作業だ。
「そもそも洗濯玉って魔力を詰めたら出来上がりますよね」
取ってきた魔石に、俺の魔力を詰めたら簡単に洗濯玉になったけど。
「いやいや。洗濯玉というのは汚れを落とすための浄化魔法を刻み込んでいる物のことだからね。刻み込んで指定している汚れや臭い以外は取れないだろ?」
え、そうなの?
「でも俺、魔石に魔力を詰めて洗濯玉作ってましたけど」
リクに集めてもらった魔石に、俺が魔力込めて作ってたぞ?
「そりゃあ、サリス君は浄化の魔力持ちだからだよ」
「そうそう、他の人が何も刻まれていないその魔石に魔力を詰めたら、別の機能を持つ魔石になると思うよ」
はーなるほどー。
道理で買ってきた洗濯玉じゃないと、リクの魔力を詰めても洗濯玉にならなかったわけだ。
何が違うんだろうって思ってたぜ。
だから結局、リクは俺の魔力補充要員だったもんな。
「術式を刻まずにサリス君が作った洗濯玉は、癒し魔力も入ってるだろうからリラックス効果もあると思うんだよね。だからね」
あ、はい。
作れってことですね。お風呂で使ってるって言ったの俺ですもんね。
わかりましたよ。
しかし俺の作った洗濯玉が『浄化機能付バスク◯ン』になってたとは。
恐るべしクゥの魔力。
今、国が欲しているのは『瘴気』を浄化できる道具だ。
俺の浄化は瘴気まで浄化できて、彼らの浄化では瘴気までは浄化できない。
何かが違うのだが、それが何なのか。
きちんと術式に起こすことができれば、誰でも繰り返し使える『瘴気も浄化できる玉』が量産できるようになるはずなのだ。
俺は魔力の提供はできても、解析はできねえからな。
AとBが違うってのは見て分かっても、それを術式に起こす知識がない。
今更学習する気も、ない。
「こっからが大変なんだよなー」
「魔石は高価だもんな」
「無駄打ちできないから、納得できる術式ができるまで次の工程にはいけないなあ」
……つまり、俺がやれることないって感じか。
「模様は書き取れたから、もうサリス君のやれることはないなあ。ずっと魔力を操作していて疲れただろうし、外で散歩でもしてこい。サリス君、まだ王領の森は行ったことないんだろ?」
「あ、変わった薬草とか生えてますよ。サリス君、そういうの好きって言ってたよね」
あ、うん。食える薬草ね。
……モズラでも引っこ抜いてくるか。
☆☆☆
そしてやってきました、王領の森。
んで今震えている俺だ。
なんでもない地面の上に、うつ伏せで転がる死体を見つけちまったんだけど……。
い、いや生きてるよな?
こんなところで俺1人しかいないのに、死体とコンニチハとか、マジこわいんですけど!
恐る恐る近づいて息をしているか顔の前に手をかざした瞬間、ぐるりと体勢がかわって男の下敷きになった。
びっ、びっ、びっ、びっくりしたー!!
よかった。生きてる人だった!
「これは驚いた。とうとう気配も殺せぬ暗殺犯を送ってくるようになったかと思えば、その服、とんだ天使な魔術師殿だったな」
は?暗殺者?
そういえば、着てるの騎士団の制服に似てるな。
狙われるくらい偉い人?もしくは目の上のタンコブ的な強い人?
「お兄さん、死んでるかと思ったんだぞ。なんでこんなところで寝てるんだよ」
本当に何もない、ただの森だぞ。
水辺とか、岩を背に森林浴とかならわかるけど。
「ああ、墓参りの帰りだったんだよ。俺は兄上に迷惑かけてるから、そのお詫びの報告をしに来たんだ。けどここまで来て、なんか急に帰りたくなくなってたっていうかな」
んで、こんなところで不貞寝?
「ふーん。お兄ちゃんとケンカでもしてんの?」
「はは。いや、ケンカにもならないかな」
「なのに帰りたくないの?」
なんていうか、拗ねてんの?大人なのに?
「嫌われてるとわかってるのに、会うのは嫌だろう?」
そう言うお兄さんの顔がやけに切なそうで、なんか放っておけん。
お節介してやるか。どうせ暇だしな。
「兄弟仲悪いのか?」
「んー、悪くはないけど、母親が違うとなあ。やっぱりそうなるだろ?」
おうふ、兄ちゃんと母親違うのかー。でも。
「嫌われてるって思ってる理由、それだけ?ちゃんと兄ちゃんに聞いてみたか?」
「聞いたことはないけどね。わかるだろ、そういうのってさ」
なんだよ、決めつけんなよ。
聞いてもみないで、勝手にへこんでんじゃねえよ。
きっとお兄ちゃんは悲しいと思ってるぞ。
「違うかもしれないだろ。俺も腹違いの弟いるけどさ。最初はお互い嫌なヤツって思ってたんだ。でも今は仲いいぞ。向こうの母親には嫌われてるけどな、俺。弟はかわいいもんなの。強いて言えば、俺よりデカいのが腹立つてのはあるけど」
「……そういうもんか?」
「そういうもんだって」
だから勇気を出して聞いてみろ。
「決めつけないで、頑張れって。ちゃんと兄ちゃんに好きって言えって」
「くふふっ、好きって言うのか?今更?」
「おう。んでお前が兄ちゃんに嫌いだって言われたら、俺が慰めてやるからな」
まあ、好きって正面から言われて嫌いって言えちゃうお兄ちゃんなら、いない方がいいし。
そしたら傷心の責任とって慰めてやらんと。焚きつけたの俺だしな。
「…………それもいいかもね」
なんか納得したっぽい?
「ところで、天使は森に何しにきたんだ?」
て、てて天使?
めっちゃ恥ずいことサラッと言うなよ。
俺、天使ってガラじゃねえからマジ恥ずいわ!
「俺、サリスフィーナっていうの!あんたは?」
「……俺のことを知らない?ふふ……道理で。あー、俺のことはダリアンって呼んでくれ」
ん?この言い方、もしかして有名な人だったか?
「俺は気分転換っていうかな。俺のやれるとこまでは終わったから、所長に森の散歩、勧められたんだ」
「へー、じゃあ仕事中か」
「まあ。っていうか、そろそろ重いんだけど」
重くはないけど、伸し掛かられたまま見上げて喋るの、ちと恥ずい。
なんかだんだん顔近くなってる気もするし。
「ああ……悪い。抱き心地がいいからつい。っしょっと、汚れたな」
そう言うと、ダリアンが腰に手を回して起こしてくれた。
仕草までイケメンかよ。
「大丈夫ー。ほらダリアンも『浄化』」
「ああ、もしかして……今噂の君かな?川を浄化したっていう」
あれ?俺のこと騎士まで広まってるの?
なんか秘密にしたそうだったのに。
「らしいな。全然自覚ないけど……ってそれなんだ?ビー玉?」
土を払って立ち上がった勢いで、コロンと何かが落ちてきた。
ダリアンの足元にガラス玉みたいのが落ちている。
「ああこれか。さっき町に出た時にもらったんだよ。子供の遊び道具だな。見たことないか?転玉といって名前の通り転がしてぶつけあって遊ぶんだよ」
へー。
ますますビー玉っぽい。
「平民でもわずかに魔力はあるだろ?少し魔力を込めて転がすと、動き方が変わって面白いんだ」
「え、マジで?魔力込めれるの?しかも玩具っていうくらいなら、そんなに高くない?」
そしたら、試作するにはうってつけじゃね?
「ん、ああ。たくさんは無理だが、魔力は込められるぞ。付与程度だけどな。値段も1つ10カーネもしないと思うよ」
「マジかー!ダリアン、救世主だ!これで俺らの班の課題が進むよ!」
思わず抱きついて喜びを表しちまったぜ。
うーん。もうちとダリアンとお話ししたい。
ビー玉について教えてほしいし、ちょっとだけお礼もだな。
「なあ、時間ある?」
「大丈夫だよ」
「んじゃあ、ちょっと座ろうぜ。ゆっくりお話ししよ」
ちょうど小腹も空いたし。俺、暇だし。
カバンから懐かしの丸太机セットを取り出すと適当に並べる。
お茶菓子をセットして、よし!
「座ってよ。食べながら話そうぜ。……おーい?」
ダリアン?遠く見て、どうした?
何かいるのか?
「…………あ、ああ。これはなんだ?」
「モズラ団子だよ。新作きな粉風なんだ。うまいぞ」
「………ははははー。あー、確かに愛されそうだよね、サリスフィーナって」
うん?
☆
「ダリアン、ありがとうな。おかげで明日から仕事が捗りそうだぜ」
売ってる場所も聞いたしな。帰る時買ってから帰る。
「役に立てたならよかった。俺の方も助かったよ。サリスフィーナには勇気を貰ったからね」
少し茶化して立ち上がったダリアンを見上げる。
「おう。じゃあ、またな。あんたも騎士なら、どっかでまた会えるんだろうし。兄ちゃんのこと、頑張れよ」
「ん、当たって砕けてくる。んで慰めてもらいにいくから。必ず行くから、約束だよ」
もー、なんで砕けることが前提なのさ。
「あはは、それ、素直に待ってるって言えねえなあ」
「ふふ、そうかい?……じゃあね」
「は?」
うおぉぉお!
頭にチュッてした!
恥ずぃぃぃい!
行動イケメン滅べ!まあ、ダリアンは見た目もイケメンだけどな!!
あー、転玉探しにでも行きますかね。
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