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14話 告白するシャリオ
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好きかもしれない。
そう気づいたところで、どうしようもないことに気がついた。
そもそも俺、男だしなあ。
子供を産めるわけでもないから、そのうちには俺なんか必要なくなるだろう。
ファガルだってもう21なのだ。そろそろ結婚しないとおかしいはずである。
あの顔でそういった話が無いわけがない。
んー、センチメンタルぅ。
大丈夫かと思ってたけど、けっこう気分がへこんでる俺だ。
あ~、ヤダヤダ。
でもあれだぞ。年を取ってからポイッとされるより、今放り出された方が、人生のやり直しが効くんだぞ。
…………まあそんなんで思い切れるなら、男なんかに惚れたりしてないわな。
俺は手元にある石をポイポイと川に投げていた『うじうじタイム』を切り上げることにすると、よっこらせと立ち上がった。
川の底まで見えるとか、水が綺麗なんだなあなんて覗き込んで、いたのだが。
飛んで来た何かに絡め取られ引っ張られた。その反動で、また地面に倒れてしまう。
な、何が起きてるんだ?
なんとか絡まっているものを解こうとしたけど無理。
地面の摩擦で切ろうとゴロゴロ転がること数回。引っ張られ具合が緩んだ時に、川側へと勢いがついた。
あ、落ちる!
ふわりと浮かんだ身体に、少しだけ下がっている川へポチャンとするのを覚悟して目を閉じた。
縛られてはいるけれども、なんとしても、息、空気だけは確保したい。
待ちに待ってみたけれどポチャン感はやって来ず、代わりに訪れたのはギュッとした圧迫感だった。
怖々と目を開けると俺はファガルの腕に抱き留められていて、ファガルの足はびちょ濡れになっている。
んで、何かのグルグル巻きの先っちょはファガルの手から出ていた。
「え、えと、ありがとう?」
それとも転がしたのがファガルの仕業ならば、嫌がらせ再発か?
でもファガル、なんか泣きそうになってるな。
「そんなに、そんなに私のことが嫌か?」
「へ?」
「身を投げたくなるほど、耐えられなかったか」
えーと。
「あ、あのファガル様」
「うるさい!黙っていろ!」
追いかけて来ていた護衛が口を開くも、ファガルに閉ざされる。
でも多分言いたいことは一緒だと思う。
「あのさあファガル、俺死ぬ気があるならもっと深い川に身投げすると思うよ」
「左様でございますよね。ここは子供も遊べるほどの深さしかありませんし」
うんうん、と周りも頷いたところでファガルの首がカーッと赤くなった。
「なんかアレだな。そんなこと言われると、ファガルが本当に俺のこと好きだと思ってるみたいに見えるよな」
はははって笑ったら、誰も笑ってくれなかった。
「ようやく、ですか」
「ファガル様よかったですね、やっと気づいてもらえたようですよ」
「え?え?」
「街で見かけて一目惚れしてから、シャリオ様に気づいてもらえるまで9年ですか。長かったですねえ。じゃあ、我らはお邪魔にならないよう、先に帰りましょうか」
「え?え?」
頭にいっぱい?を浮かべているうちに、誰も周りにいなくなってしまった。
「シャリオ」
「は、はい」
「何度も口にしてはいるのですが、私はシャリオが好きです。もちろん、シャリオに好かれていないことは知っていますが、こんな風に貴方に死んでほしくない。叶うことならば、ずっと私の側で楽しく生きていてほしいと、思っているのです」
えっと、これは、今までにゃんにゃん致している時に言われてた言葉が本心だったってことで、いいってことか?
雰囲気を盛り上げるための演技ではなく?
ここまで相手に言わせておいて、チャンスを不意にするとか、ない。
そんなの、男が廃るだろ。
それにファガルに惚れられる自信はなくても、使用人仲間がこんな嘘をつくことはないってことはわかってる。
ってことは、ファガル、本当に俺のこと好きでいてくれたんだ、な。
くそっ、照れる。
「ファガル、俺のこと好きって本当?」
「はい」
「俺、」
ちくしょう。緊張してきた。
「俺も、好きだから!」
ああ、だからもっとスマートにかっこよく言えよ俺!
「お、お前が、情けをかけてくれるなら、嫁さん貰っても、わ、忘れないでほしいとか、思ってた」
違う!俺の、ばか!
言葉のチョイスが女々しいわ!
「シャリオ」
神々しいというか、光り輝いているというか。
祝福されているというのは、こういうことを言うのかもしれない。
急にファガルが煌めいて、周りに花が咲き誇って、なんかわからんけど綺麗な音色が響いて。
こんなに嬉しそうな顔で好きな人に『ありがとう』なんて言われた日には、ファガルの気持ちを疑うことなんてできなくて。
俺、俺は、ものすごく、幸せだと思ったんだ。
そう気づいたところで、どうしようもないことに気がついた。
そもそも俺、男だしなあ。
子供を産めるわけでもないから、そのうちには俺なんか必要なくなるだろう。
ファガルだってもう21なのだ。そろそろ結婚しないとおかしいはずである。
あの顔でそういった話が無いわけがない。
んー、センチメンタルぅ。
大丈夫かと思ってたけど、けっこう気分がへこんでる俺だ。
あ~、ヤダヤダ。
でもあれだぞ。年を取ってからポイッとされるより、今放り出された方が、人生のやり直しが効くんだぞ。
…………まあそんなんで思い切れるなら、男なんかに惚れたりしてないわな。
俺は手元にある石をポイポイと川に投げていた『うじうじタイム』を切り上げることにすると、よっこらせと立ち上がった。
川の底まで見えるとか、水が綺麗なんだなあなんて覗き込んで、いたのだが。
飛んで来た何かに絡め取られ引っ張られた。その反動で、また地面に倒れてしまう。
な、何が起きてるんだ?
なんとか絡まっているものを解こうとしたけど無理。
地面の摩擦で切ろうとゴロゴロ転がること数回。引っ張られ具合が緩んだ時に、川側へと勢いがついた。
あ、落ちる!
ふわりと浮かんだ身体に、少しだけ下がっている川へポチャンとするのを覚悟して目を閉じた。
縛られてはいるけれども、なんとしても、息、空気だけは確保したい。
待ちに待ってみたけれどポチャン感はやって来ず、代わりに訪れたのはギュッとした圧迫感だった。
怖々と目を開けると俺はファガルの腕に抱き留められていて、ファガルの足はびちょ濡れになっている。
んで、何かのグルグル巻きの先っちょはファガルの手から出ていた。
「え、えと、ありがとう?」
それとも転がしたのがファガルの仕業ならば、嫌がらせ再発か?
でもファガル、なんか泣きそうになってるな。
「そんなに、そんなに私のことが嫌か?」
「へ?」
「身を投げたくなるほど、耐えられなかったか」
えーと。
「あ、あのファガル様」
「うるさい!黙っていろ!」
追いかけて来ていた護衛が口を開くも、ファガルに閉ざされる。
でも多分言いたいことは一緒だと思う。
「あのさあファガル、俺死ぬ気があるならもっと深い川に身投げすると思うよ」
「左様でございますよね。ここは子供も遊べるほどの深さしかありませんし」
うんうん、と周りも頷いたところでファガルの首がカーッと赤くなった。
「なんかアレだな。そんなこと言われると、ファガルが本当に俺のこと好きだと思ってるみたいに見えるよな」
はははって笑ったら、誰も笑ってくれなかった。
「ようやく、ですか」
「ファガル様よかったですね、やっと気づいてもらえたようですよ」
「え?え?」
「街で見かけて一目惚れしてから、シャリオ様に気づいてもらえるまで9年ですか。長かったですねえ。じゃあ、我らはお邪魔にならないよう、先に帰りましょうか」
「え?え?」
頭にいっぱい?を浮かべているうちに、誰も周りにいなくなってしまった。
「シャリオ」
「は、はい」
「何度も口にしてはいるのですが、私はシャリオが好きです。もちろん、シャリオに好かれていないことは知っていますが、こんな風に貴方に死んでほしくない。叶うことならば、ずっと私の側で楽しく生きていてほしいと、思っているのです」
えっと、これは、今までにゃんにゃん致している時に言われてた言葉が本心だったってことで、いいってことか?
雰囲気を盛り上げるための演技ではなく?
ここまで相手に言わせておいて、チャンスを不意にするとか、ない。
そんなの、男が廃るだろ。
それにファガルに惚れられる自信はなくても、使用人仲間がこんな嘘をつくことはないってことはわかってる。
ってことは、ファガル、本当に俺のこと好きでいてくれたんだ、な。
くそっ、照れる。
「ファガル、俺のこと好きって本当?」
「はい」
「俺、」
ちくしょう。緊張してきた。
「俺も、好きだから!」
ああ、だからもっとスマートにかっこよく言えよ俺!
「お、お前が、情けをかけてくれるなら、嫁さん貰っても、わ、忘れないでほしいとか、思ってた」
違う!俺の、ばか!
言葉のチョイスが女々しいわ!
「シャリオ」
神々しいというか、光り輝いているというか。
祝福されているというのは、こういうことを言うのかもしれない。
急にファガルが煌めいて、周りに花が咲き誇って、なんかわからんけど綺麗な音色が響いて。
こんなに嬉しそうな顔で好きな人に『ありがとう』なんて言われた日には、ファガルの気持ちを疑うことなんてできなくて。
俺、俺は、ものすごく、幸せだと思ったんだ。
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