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東京都世田谷区野毛の閑静な住宅地の中に、あるワンルームマンションが存在する。
1990年代初頭に建てられた二階建てのこじんまりとしたそのマンションは、最寄りの駅から徒歩9分、コンビニや郵便局にも近くて家賃も5万円台とリーズナブル。都内でありながら落ち着いた生活ができ、大学生が住むにはうってつけの環境だ。
だが、このマンションが建ってほどない頃の今からちょうど30年前、二階の203号室で凄惨な殺人事件が起きていた。
殺されたのは、卒業を目前に控えた大学生。長年の夢の実現に一歩踏み出そうとしていた矢先の無念の死であった。
そして彼の夢と命を奪ったのは何の役にも立たないばかりか社会に害ばかり与えてきたゴミのようなカップルだった。
文字数 7,701
最終更新日 2024.04.06
登録日 2024.04.06
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バブル経済に浮かれていた1980年代後半の日本は未成年による犯罪が一気に凶悪化した時代でもある。生きるための犯罪ではなく、自分の欲求を満たすため、あるいはさしたる動機もないのに面白半分で殺人に至るケースも目立ち、なおかつ加害者は自身が少年法で守られていることをすでに承知ですらあった。東京足立区の女子高生コンクリ詰め殺人や名古屋のアベック殺人は特に現在でも悪名高いが、それに隠れて1988年12月、福岡県で上記二件の犯罪と比べても凶悪さの面において勝るとも劣らぬ事件が起きていた。犬鳴峠焼殺事件である。
登録日 2024.04.11
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