前世を思い出したら超絶ドアマットヒロインになっていたんですが。

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レイヴン

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次の日から先生は来なかった。
代わりに、何かの説明書きと、いつでも連絡を。という短い手紙、鳥の紋章が入った指輪が置かれていた。

人形と呼んでいた屋敷のメイドは半分に減った。正確には僕の周りだけ居なくなった。食事は出してくれる。だけど頼りたくなくて、お金を稼ぐために外へと飛び出した。

ゴミ拾いに汚れ仕事、手当り次第になんでもやった。屋敷で受けたことは思ったよりも実になっていて、魔力を使って陰や暗闇の中でなら身体が軽く、物も自由に動かせる。夜は特に気配を消して動けるようになった。路地裏で娼婦と外国人のトラブルに外国語で対応出来たおかげで今の闇ギルドにも拾われた。

闇ギルドで僕が主に任されていたのは夜の配達業。ギルド登録しなくてもできるのが配達業だったから。僕にとっては天職だった。
今やっている依頼も、隣国でたった1週間で1ヶ月分の報酬だというから二つ返事で引き受けた。それに「聖女」、つまり稀少な光魔法使いがここ数年で現れたらしいと噂で聞いたから、運が良ければ出会えるのでは、と期待していた。


国を通せない手紙や家令、家族に見せられない手紙を配達する仕事。

配達側も送られた側も危険な目に遭う事はほとんどない。
検閲は闇ギルドが行い、危険な仕掛けが施されていれば送り主が多額の違約金を支払わなければいけなくなるから。

だけどほとんどが不倫だとか密売に関する取引関係だって聞く。差出人の名前が無かったり封さえしていない手紙もある。だけど子供が届ければ怪しまれることが格段に減る。教会の施しの日に紛れたり、街中で手紙の裏に適当に落書きした絵を買ってくださいと言ったり、屋敷に侵入して指定の場所に置いたり、覚えた顔と教わった合言葉で、待ち合わせ場所にいる人へ手紙を渡せば仕事は完了だ。

そうやって、隣国まで連れられて仕事を全部やり終えたはずなのにいつまで経っても迎えどころか連絡すらもこない。すでに2週間は過ぎていると思う。

母さん…大丈夫かな

帝国は様々な人種が居るから紛れるけど、この国は同じ見た目の人ばっかりだ。こうも髪や瞳の色が違うと、目立ってしょうがない。

深く被った外套の下で爪を噛む。この国でこの容姿を晒し歩けば、傀儡にしようと企む犯罪者や帝国の甘い蜜を吸いたい浅はかな考えの娼婦達が醜く笑いかけてくる。
その中には性病の悪化した発疹があったり、流行病の特徴的な咳をする者もいた。

帝国でさえ、民間の医療を促進しているというのに…市民でも治せる病すらここでは放置されていた。
見ているだけで分かってしまう。この国は完全に腐敗している。光魔法持ちが唯一生まれる国だからと言って聖女に盲信しすぎているのだ
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