28 / 79
レイヴン2
しおりを挟む
街で男を尋問をした時に気付いたのは、僕にはない喉仏を強く掴むと苦しむこと。そしてそれを羨ましそうに見ていた叔父の顔。
日に当たらない肌は真っ白で、期待に染まる水色の瞳は潤んで僕を見つめている。
覆い被さって叔父の首を絞めれば、その笑みは更に深くなる。
「こんな変態さん…誰も受け入れてくれないよね」
耳元で囁けば、乗り上げていたおかげですぐにその下腹部の変化が伝わってきた。抑えるように体重をかけていく。
「きみは…ん……本当に…優秀です…」
「どうして欲しい?」
歪む水色の瞳から収まりきらなくなった水分が一筋流れる。噤んだ口はこれ以上開かず、逆に求めているようだった。
「はぁ、それ…早く展開して」
首にかけていた両手を、パッと離して思う通りに行かなかった不満の溜息を吐き、魔法陣の完成を催促する。
「君は悪い子だ」
「悪い子……は先生でしょ?」
「……出来たよ」
床に描かれた魔法陣はくり抜かれたように漆黒の口を開いている。
「これって何処に繋がってるの?」
不思議に思ったことをそのまま口に出せば、叔父は嬉しそうに笑う。
「転移陣の中と同じだよー」
「どういうこと?」
「僕たちの血筋はさー、暗闇を扱うのに長けてるの。だからさっ、転移の移動中って真っ暗になるでしょ?属性を持たない膨大な魔力が漂ってるその空間が暗闇なら、その狭間に行ける空間を僕なら作れるんじゃないかな?って思ってさー」
正直、転移陣も暗闇も分からないが、質問すればもっと分からない言葉が更に飛び交うのだろうと思い、レイヴンは黙って話を聞いていた。
「転移陣の途中の空間ってことは好きなところに抜け出せるってこと?」
「兄さんでもこの暗闇から抜け出すのは無理だったからねー」
「分かった、1時間で戻れるんでしょ?」
「うん、僕がこの魔法陣を消せば戻れるよー」
まるで自分が操っている、とでも言うように叔父が笑うので見ていないフリをして暗闇に飛び込んだ。
母さん、助けて
昔はずっと叫んでいた。
だけど母さんが来てくれる訳もなく、膨らむ悪い妄想は暗闇が増長して、魔獣や大人達に追いかけられる、そんな悪夢にひたすら震えていた。
だけど今思い浮かぶのは、ただの暗闇。
自分はちゃんと瞼を開いて「暗闇」にいるのだと感じている。
「転移陣の途中」
叔父はそう言った。つまり魔法陣が消されない限り、行きたい場所へ行ける方法があるのではないだろうか…と僕は思った。
実験室を思い浮かべて、魔力を纏う。
父にも出来なかった脱出を叔父に見せつけてやる、そうして意識を集中させた。
日に当たらない肌は真っ白で、期待に染まる水色の瞳は潤んで僕を見つめている。
覆い被さって叔父の首を絞めれば、その笑みは更に深くなる。
「こんな変態さん…誰も受け入れてくれないよね」
耳元で囁けば、乗り上げていたおかげですぐにその下腹部の変化が伝わってきた。抑えるように体重をかけていく。
「きみは…ん……本当に…優秀です…」
「どうして欲しい?」
歪む水色の瞳から収まりきらなくなった水分が一筋流れる。噤んだ口はこれ以上開かず、逆に求めているようだった。
「はぁ、それ…早く展開して」
首にかけていた両手を、パッと離して思う通りに行かなかった不満の溜息を吐き、魔法陣の完成を催促する。
「君は悪い子だ」
「悪い子……は先生でしょ?」
「……出来たよ」
床に描かれた魔法陣はくり抜かれたように漆黒の口を開いている。
「これって何処に繋がってるの?」
不思議に思ったことをそのまま口に出せば、叔父は嬉しそうに笑う。
「転移陣の中と同じだよー」
「どういうこと?」
「僕たちの血筋はさー、暗闇を扱うのに長けてるの。だからさっ、転移の移動中って真っ暗になるでしょ?属性を持たない膨大な魔力が漂ってるその空間が暗闇なら、その狭間に行ける空間を僕なら作れるんじゃないかな?って思ってさー」
正直、転移陣も暗闇も分からないが、質問すればもっと分からない言葉が更に飛び交うのだろうと思い、レイヴンは黙って話を聞いていた。
「転移陣の途中の空間ってことは好きなところに抜け出せるってこと?」
「兄さんでもこの暗闇から抜け出すのは無理だったからねー」
「分かった、1時間で戻れるんでしょ?」
「うん、僕がこの魔法陣を消せば戻れるよー」
まるで自分が操っている、とでも言うように叔父が笑うので見ていないフリをして暗闇に飛び込んだ。
母さん、助けて
昔はずっと叫んでいた。
だけど母さんが来てくれる訳もなく、膨らむ悪い妄想は暗闇が増長して、魔獣や大人達に追いかけられる、そんな悪夢にひたすら震えていた。
だけど今思い浮かぶのは、ただの暗闇。
自分はちゃんと瞼を開いて「暗闇」にいるのだと感じている。
「転移陣の途中」
叔父はそう言った。つまり魔法陣が消されない限り、行きたい場所へ行ける方法があるのではないだろうか…と僕は思った。
実験室を思い浮かべて、魔力を纏う。
父にも出来なかった脱出を叔父に見せつけてやる、そうして意識を集中させた。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
素顔を知らない
基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。
聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。
ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。
王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。
王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。
国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる