前世を思い出したら超絶ドアマットヒロインになっていたんですが。

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聖女って言われて、目玉溶かされかけて、あまりの痛さにぶっ倒れて、起きたら監禁されてて、怒られてトラウマ蘇ってまたぶっ倒れて、レイヴンの女装が見れた。

一日のうちに本当にたくさんの出来事が起きた。小説通りなら最後に国王陛下の前で騎士団長の腕の火傷痕を治す場面がある。

だけど結局、国王陛下に会うことはなく王城の一室にいた。

陛下が王都に帰り、慌ただしくなった時に「こちら側の不手際で君は倒れたんだ、2回もね、医者も食事も用意するからとりあえずは体を休めてほしい」とヘリオスが言い、その後ろに後光が差してるように見えて、ユフィは両手を合わせて祈ってしまった。

良かった、これ以上、偉い人に会ったら人との対話の引き出しが皆無の今、キャパオーバーでまた倒れてしまいそう…


キーラと話した後、神官がやってきてユフィの瞳を見るなり、聖女ではないと憤慨しすぐに出ていった。しおれかけた花も騎士の小さな切り傷を見せられてもユフィは治さなかった。

今のユフィはきっと「聖女」と偽った孤児、となっているのだろう。

ヘリオスは終始複雑な顔をして、最後まで「様子を見よう」と言っていた。


「私もフィの傍にいます」
「レイラ様、ユフィさんはお疲れなのですから無理をさせてはいけません」
「嫌です」
「私は大丈夫だよ、それにヴィと建国祭回れるって聞いたからちゃんと休まないとね」

レイヴンがそばにいると言ってくれて嬉しくなったけど、キーラはレイヴンの本当の姿を知っているから、男女同じ部屋にいることを許してはくれないだろう。

ユフィが大丈夫、と言えばキーラに手を取られて出ていくレイヴンの後ろ姿を見て少し寂しくなった。


その日の夜、食事を終えてベッドでゴロゴロしていたユフィの元にヘリオスがやってきた。

「疲れてる時にごめんね」

そう言って笑うヘリオスの方がユフィよりもよっぽど疲労感が募っているように見える。慌ててベッドから飛び上がり、ヘリオスをソファのある場所へと促す。

「座ってください、今日は一日ドタバタしてましたね」
「君は…元気そうだね」
「体は丈夫なほうですね」
「そうなんだ…」

それ以上、口を閉ざしたヘリオスは相変わらず複雑な顔をしていた。ユフィは沈黙に耐えられずに声をかける。

「あ、えっと…王子様、あ…えと殿下は」
「ヘリオスでいいよ」
「すみません…ヘリオス殿下は絶対に聖女様と結婚しなきゃいけないんですか?」
「……説明が難しいな、聖女様がこの国でしか生まれないことは知ってる?」
「いえ…」

小説内では、治癒魔法などを扱えなくてもキーラのように貴族の血筋で婚約者候補になっている者が多かった。ヒロインは聖女だから婚約した、というよりは聖女だから婚約できたような気がする。そのせいで妬み嫉みが大きかったのだけど

どちらかというと「頑張るヒロイン」視点のお話だったから、歴史などの描写はなく、王子が聖女を見分ける能力も詳しく書かれてはいなかった。

昼間に推しに会いたいと打ち明けてくれたキーラに王子を押し付けるのも気が引けて、ユフィはヘリオスが語る歴史の話に耳を傾けた。



昔、真っさらで真っ暗だったこの土地を繁栄させようとした一人の人間の男がいた。

どれだけ歩いても海や川はなく、いくら耕しても大地は乾いたままで火を起こそうとしてもすぐに燃え尽きた。

それでも諦めなかった人間を見ていた光の神がその人間に興味を抱いた。

光の神が男のいる土地に娘を落とし、やがて二人は出逢って恋に落ちた。

男は娘を愛し、娘は男の安寧を願う、二人の願う姿に感銘を受けた光の神はその願いを叶えた。

やがて神の力によって、その土地は太陽に照らされ、水が湧き出し、大地に緑が栄えると、男は妻を聖女と呼び、生涯尽きるまで愛した。

光の神はその二人の生涯を見届けて、二人の生きた証と願った安寧を守るためにその土地を聖王国とした。二人から生まれた息子には聖女を護る能力を授け、国には豊かさを護る娘が生まれるようになった。


「ありきたりな神話だと思うでしょ?」
「え…えーっと…素敵なお話ですね」
「ぷっ……あははは、無理しなくていいよ」

こめかみをかいたヘリオスにユフィが愛想笑いで返すと、ヘリオスは噴き出すように笑いだした。

「僕も最初は半信半疑だったんだ」
「歴史って…誇張してる感が拭えないですよね」
「あはは、面白いね君」
「あは、あはは…」
「頬が引き攣ってるよ、ふふ、まぁいいや…君は聖女だよ」
「違います」

上手く笑えず愛想笑いをしていたユフィは思わず立ち上がり、否定する。瞑目するヘリオスに気まずくなり、ユフィは咳払いをして座り直した。

「私は……貴族とか聖女とか…そんな器じゃないんです」
「うーん…聖女で間違いないと思うんだけど…うん、今は考えなくていいよ」

そこでユフィはキーラが言っていたことを思い出した。

《聖女が見つからなければ君と結婚するんだろうな》

なるほど…王子も私という存在が現れて、否定はできないけど断れなくてもどかしかったのかもしれない…

「えっ…あっ、なるほど…キーラ様と」
「うん、ないよ、やめてね」

キーラの名前を出すとすぐに否定をされてしまった。

なるほど…私にも隠したいほど、好いているのかもしれない…






********************

お時間いただき、ありがとうございます。

インフル辛すぎますね…体の節々が痛すぎて(;_;)
皆様も体調にはお気をつけください。

ちっちゃいこととか国名とか今更湧き上がってきます(;_;)反映するなら完結してからにしようと思います。

しおりやお気に入りしてくれてありがとうございます。とても励みになります!!!!!




見た目や印象まとめ

ユフィ
銀髪、赤瞳→青紫
転生に馴染めなくて自己肯定感低すぎるメンヘラになっている


レイヴン
左目下に縦2連ホクロ、濃いグレー髪、濃い青瞳→(女装)黒髪ロング
小説内では女装時、ホクロを隠しメイクで変化する。

人間不信だったけど「ヘリオスに恋していないユフィ」に出会って沼ってる

キーラ
赤髪、薄い青瞳
前世しごでき人間だった。ヒロインは必ずヘリオスとくっ付くと思って動いていた。転生を喜び、推しに会いたくて仕方がない。

ヘリオス
金髪碧眼
小説内では仕事の出来る人だった。小さい頃、馬から落ちそうになって当たりのきつい教師に怒られそうになったところをたまたま王宮に訪れたキーラが鬼の形相で教師を詰めて以来、仲良くなり、仕事では良きパートナーと思っているが正直小言が多くて怖い。
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