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「つまりここは…」
「帝国だよ」
レイヴンはなんでもないかのように答える。
キスの後の気まずくなるかと思えた雰囲気を、ケロッとした態度で一瞬で日常に戻せるレイヴンはさすがだ。
一人で舞い上がって落ち込んでばかみたい…でも、人の心を掌握するのが得意なのは、生まれ持ったものなんだろうね
レイヴンのペースに巻き込まれすぎないように気をつけなきゃ…いつ捨てられるか分からないんだし、冒険者になったら一人でも生きていける術を身につけないと…
今、ユフィはレイヴンの発動した転移魔法で隣国にいるのだと告げられた。このお屋敷はレイヴンとレイヴンのお母さんが住んでいる家なのだそうだ。
「嘘ついててごめんね」
「ううん…言えないことだってあるよね」
「言えないこと…フィはあるの?」
「うーん」
正直、たくさんある。前世の記憶のこと、本当は自分は聖女であなたの事を知っていたってことも…
「今は思いつかないかな」
「そっか、僕はユフィが聞いてくれるならなんでも答えるよ」
「…うん」
そんな言い方はずるいと思う。私が質問をすればレイヴンはきっと答えてくれる、だけど上手くはぐらかせるのがレイヴンだから
それにきっと私が踏み込まないようにしてることを分かってて言ってるんでしょう?
「こっちにきて?」
レイヴンが腰掛けるベッドの方へ向かうと手を握られ、隣に座らされる。髪を掬われて、優しく梳くその手がくすぐったい。
「母さんのこと…知りたい?」
「教えてくれるの?」
「うん、まぁ僕はこの家ではとっくに死んだ子なんだけどね」
「……どうして?…ヴィはここに居るのに」
「そうだなぁ、僕が覚えてる一番古い記憶は施設で暮らしてたこと。それで、6歳の時に父が施設に迎えに来て、母さんに会ってここに住み始めたんだ。だけど母さんも父も、僕が施設に居た訳や離れ離れの理由を何も…本当に何も教えてくれなかった。その時は家族というものが僕には分からなくて、ただ何も言わずに抱きしめてくれる母さんが誰よりも暖かくて…僕の全てだったんだよ」
ユフィも気付かずうちに取り出された櫛を持つその手は優しくて心地良く、横髪を耳にかけるその指は暖かい。 レイヴンは確かにここに実在していて、幽霊なんかではないと分かる。
「最初は父が母さんを捨てたんだと思って、僕が母さんを守らなきゃって思った。だけど、父に反抗した日に母さんに言われたんだ。どうして父を引き止めてくれないのかって…その時に僕は母さんのことが分からなくなった。でも、きっと最初から母さんは僕から父の面影を見て、父は母さんのために僕と言う人形を与えたんだろうね」
「そんな…ヴィは人形じゃないよ、きっと何か事情が」
「ううん、父から全てを聞いた時、父の気持ちは母さんへの心配に溢れてた。母さんも父も僕の存在はお腹の中にいた時のままで止まってるんだ。僕が生まれた日を喜んでくれた人がいなかったことを知って、生まれたと同時に僕は死んだんだって諦めた」
淡々と話すその内容はとても重く、簡単にレイヴンの気持ちを推し量れるものではなくて、言葉を返すことが出来なかった。振り返ると眉を下げ「ごめんね」と何故か謝るレイヴンに顔が歪んでいく。
「幽霊なんかじゃない…ヴィは、ここに居る……ちゃんとここにいるよ」
確かめるように頬を撫で頭を撫でれば、その暖かな体温が伝わって更に胸が苦しくなった。
「うん、フィだけだよ…ありがとう」
ぽん、と頭を撫でられると後頭部にひんやりとした感触が伝わってくる。
「僕の髪飾り…今日のフィの服装にすごく似合ってる」
「あっ…ありがとう」
「うん、可愛い。それで…建国祭はどうする?」
「マーサさん達にお礼を言いたいし…瞳の色…どうしよう」
「フィは黒竜…聖王国では悪竜の血っていうのかな、それを目に差したら色が変わったんだよね?」
「う、うん?…たぶん」
「一度試してみない?悪竜の血を浄化する魔石は持ってるから失敗しても大丈夫だよ」
え、待って…あれすっっごく痛いんだけど…もう一度試さなきゃいけないの?
「帝国だよ」
レイヴンはなんでもないかのように答える。
キスの後の気まずくなるかと思えた雰囲気を、ケロッとした態度で一瞬で日常に戻せるレイヴンはさすがだ。
一人で舞い上がって落ち込んでばかみたい…でも、人の心を掌握するのが得意なのは、生まれ持ったものなんだろうね
レイヴンのペースに巻き込まれすぎないように気をつけなきゃ…いつ捨てられるか分からないんだし、冒険者になったら一人でも生きていける術を身につけないと…
今、ユフィはレイヴンの発動した転移魔法で隣国にいるのだと告げられた。このお屋敷はレイヴンとレイヴンのお母さんが住んでいる家なのだそうだ。
「嘘ついててごめんね」
「ううん…言えないことだってあるよね」
「言えないこと…フィはあるの?」
「うーん」
正直、たくさんある。前世の記憶のこと、本当は自分は聖女であなたの事を知っていたってことも…
「今は思いつかないかな」
「そっか、僕はユフィが聞いてくれるならなんでも答えるよ」
「…うん」
そんな言い方はずるいと思う。私が質問をすればレイヴンはきっと答えてくれる、だけど上手くはぐらかせるのがレイヴンだから
それにきっと私が踏み込まないようにしてることを分かってて言ってるんでしょう?
「こっちにきて?」
レイヴンが腰掛けるベッドの方へ向かうと手を握られ、隣に座らされる。髪を掬われて、優しく梳くその手がくすぐったい。
「母さんのこと…知りたい?」
「教えてくれるの?」
「うん、まぁ僕はこの家ではとっくに死んだ子なんだけどね」
「……どうして?…ヴィはここに居るのに」
「そうだなぁ、僕が覚えてる一番古い記憶は施設で暮らしてたこと。それで、6歳の時に父が施設に迎えに来て、母さんに会ってここに住み始めたんだ。だけど母さんも父も、僕が施設に居た訳や離れ離れの理由を何も…本当に何も教えてくれなかった。その時は家族というものが僕には分からなくて、ただ何も言わずに抱きしめてくれる母さんが誰よりも暖かくて…僕の全てだったんだよ」
ユフィも気付かずうちに取り出された櫛を持つその手は優しくて心地良く、横髪を耳にかけるその指は暖かい。 レイヴンは確かにここに実在していて、幽霊なんかではないと分かる。
「最初は父が母さんを捨てたんだと思って、僕が母さんを守らなきゃって思った。だけど、父に反抗した日に母さんに言われたんだ。どうして父を引き止めてくれないのかって…その時に僕は母さんのことが分からなくなった。でも、きっと最初から母さんは僕から父の面影を見て、父は母さんのために僕と言う人形を与えたんだろうね」
「そんな…ヴィは人形じゃないよ、きっと何か事情が」
「ううん、父から全てを聞いた時、父の気持ちは母さんへの心配に溢れてた。母さんも父も僕の存在はお腹の中にいた時のままで止まってるんだ。僕が生まれた日を喜んでくれた人がいなかったことを知って、生まれたと同時に僕は死んだんだって諦めた」
淡々と話すその内容はとても重く、簡単にレイヴンの気持ちを推し量れるものではなくて、言葉を返すことが出来なかった。振り返ると眉を下げ「ごめんね」と何故か謝るレイヴンに顔が歪んでいく。
「幽霊なんかじゃない…ヴィは、ここに居る……ちゃんとここにいるよ」
確かめるように頬を撫で頭を撫でれば、その暖かな体温が伝わって更に胸が苦しくなった。
「うん、フィだけだよ…ありがとう」
ぽん、と頭を撫でられると後頭部にひんやりとした感触が伝わってくる。
「僕の髪飾り…今日のフィの服装にすごく似合ってる」
「あっ…ありがとう」
「うん、可愛い。それで…建国祭はどうする?」
「マーサさん達にお礼を言いたいし…瞳の色…どうしよう」
「フィは黒竜…聖王国では悪竜の血っていうのかな、それを目に差したら色が変わったんだよね?」
「う、うん?…たぶん」
「一度試してみない?悪竜の血を浄化する魔石は持ってるから失敗しても大丈夫だよ」
え、待って…あれすっっごく痛いんだけど…もう一度試さなきゃいけないの?
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