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第三部
Ⅰ
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朝のいつもの通勤。
迅さんと一緒にスーツ姿で並んで歩いている。
でも今日はいつもと違って、なんだか落ちつかなくて、そわそわしてしまう。
でも俺は、やっぱり嬉しい。
迅さんは当然のように、朝からお弁当の手提げを用意してくれたり、ネクタイを直してくれたり、いつも優しい。
俺の会社のビルの前まで来ると、
迅さんは
「じゃあ、行ってらっしゃい。無理するな。
あと、何かあったらすぐ連絡しろよ」
声は低くて穏やか、でも少し名残惜しそう。
俺はきゅっと指輪を右手の親指で触って、
「うん……いってきます」
会社に入っていく、周囲の声が聞こえて
(あの二人、絶対恋人でしょ…いやもう夫夫…)
とちょっと恥ずかしくなりながら、会社に入って行った。
オフィスに入った瞬間、ざわっとした。
「おはよう、小国くん……、えっ白鷹……くん?いや、直樹くん……え、なんて呼べばいいの?」
「結婚おめでとう!」
「苗字変わったんだって?新婚旅行どこ行ったの?」
「式は?写真は?指輪見せて!」
いっせいに職場の同僚に囲まれて、
俺はほわっとした感じがして、目を丸くして、顔は真っ赤になった。
「え、えっと……その……ご報告なんですが……
前の課長の、白鷹元課長と……結婚しました」
一瞬の静寂の後、
すぐに
「きゃーーー!!!」
「やっぱりーーー!!!」
拍手喝采。
女子たちがうるっとして
「お似合いだよぉぉ……!」
「面倒見よさそうな旦那さんっぽいもんね」
「絶対大事にされるよね…見た感じで分かる」
……見た感じって、何だろう……
桐島課長が腕を組み、鼻で笑いながらも少し照れた声で
「人妻(?)になったんなら、もう変な冗談は言えねぇな。
祝福してやるよ、おめでとう」
照れてるのを隠してる?
でも優しいんだな。
舟形先輩が椅子ごと回って
「直樹、仕事続けるんだ?」
「はい。せっかく、皆さんにここまで育てていただいたので……、頑張りたいです」
「……そうかぁ。応援するよ」
ほんのり目が細まって、しみじみ。
「はい、これからもよろしくお願いします」
昼休み。
いつものお弁当箱を広げる。
彩りきれい。卵焼きはふわふわ。照り焼きはつやつや。
「あー、絶対旦那さんが作ったやつだ……!」
「弁当の格が違う……」
みんなが弁当をのぞきにくる。
「ち、ちが……いや、違わないです」
また真っ赤になってしまう。
「新婚いいなぁ~」
「尊い」
デスク周りで、盛り上がってる。
俺はひたすら照れ笑い。
幸せが顔に出すぎてるって自分でもわかるくらい、幸せ。
仕事が終わって、歩いて帰る。
今日はいろいろ大変だった、新婚て、大変だ……。
玄関を開けた瞬間、
台所からエプロン姿の迅さんが出迎えてくれた。
「おかえり。今日どうだった?」
いつもの優しい笑顔。
「……すごかった。みんなに囲まれて……
お弁当、美味しいって言われた」
「それは俺も嬉しい」
迅さんは自然に笑う。
そして、頭を撫でてくれる。
ジャケットを脱いで、かばんを置いて、
「あのね……その……会社の人たちに、
“結婚式しないの?”って言われた……」
目が泳いで、少しそわそわしてしまうり
でも、ぽっと光を宿してみたいに、
「前に、啓さんの話聞いたでしょ? 結婚式の。
写真とか、ドレスとか……花とか……
ああいうの、すこし……いいなって」
迅さんはふっと目を細めた。
くすっと笑って、抱き寄せる。
「直樹がしたいなら、しよう」
「……いいの?」
「むしろ見せつけたい。
俺の直樹だって、世界にちゃんと証明したい」
俺は、胸がじーん、と温かくなる。
耳まで赤くして、言葉が詰まって
「……ぼくも、迅さんの“家族”ですって……
みんなに言いたい」
「もう言えてるよ。今日一日で充分だ」
そう言って、迅さんは額にキスをくれる。
「さあ、夕飯にしよう」
迅さんの作ってくれたごはんを一緒に食べた。
風呂上がり、ソファでスマホを見てる。
式場のサイトを見てたら、ワクワクしてきて、きらきらした目のまま眠くなってきた。
“夫婦になった”って、
こんなに嬉しくて、幸せなんだな……
——次第に、未来の家族の夢が膨らんでいく。
俺がソファでウトウトしてたら、いつの間にか迅さんがベッドに連れていってくれてた。
今日もお疲れさま。
そして、おやすみなさい。
迅さんと一緒にスーツ姿で並んで歩いている。
でも今日はいつもと違って、なんだか落ちつかなくて、そわそわしてしまう。
でも俺は、やっぱり嬉しい。
迅さんは当然のように、朝からお弁当の手提げを用意してくれたり、ネクタイを直してくれたり、いつも優しい。
俺の会社のビルの前まで来ると、
迅さんは
「じゃあ、行ってらっしゃい。無理するな。
あと、何かあったらすぐ連絡しろよ」
声は低くて穏やか、でも少し名残惜しそう。
俺はきゅっと指輪を右手の親指で触って、
「うん……いってきます」
会社に入っていく、周囲の声が聞こえて
(あの二人、絶対恋人でしょ…いやもう夫夫…)
とちょっと恥ずかしくなりながら、会社に入って行った。
オフィスに入った瞬間、ざわっとした。
「おはよう、小国くん……、えっ白鷹……くん?いや、直樹くん……え、なんて呼べばいいの?」
「結婚おめでとう!」
「苗字変わったんだって?新婚旅行どこ行ったの?」
「式は?写真は?指輪見せて!」
いっせいに職場の同僚に囲まれて、
俺はほわっとした感じがして、目を丸くして、顔は真っ赤になった。
「え、えっと……その……ご報告なんですが……
前の課長の、白鷹元課長と……結婚しました」
一瞬の静寂の後、
すぐに
「きゃーーー!!!」
「やっぱりーーー!!!」
拍手喝采。
女子たちがうるっとして
「お似合いだよぉぉ……!」
「面倒見よさそうな旦那さんっぽいもんね」
「絶対大事にされるよね…見た感じで分かる」
……見た感じって、何だろう……
桐島課長が腕を組み、鼻で笑いながらも少し照れた声で
「人妻(?)になったんなら、もう変な冗談は言えねぇな。
祝福してやるよ、おめでとう」
照れてるのを隠してる?
でも優しいんだな。
舟形先輩が椅子ごと回って
「直樹、仕事続けるんだ?」
「はい。せっかく、皆さんにここまで育てていただいたので……、頑張りたいです」
「……そうかぁ。応援するよ」
ほんのり目が細まって、しみじみ。
「はい、これからもよろしくお願いします」
昼休み。
いつものお弁当箱を広げる。
彩りきれい。卵焼きはふわふわ。照り焼きはつやつや。
「あー、絶対旦那さんが作ったやつだ……!」
「弁当の格が違う……」
みんなが弁当をのぞきにくる。
「ち、ちが……いや、違わないです」
また真っ赤になってしまう。
「新婚いいなぁ~」
「尊い」
デスク周りで、盛り上がってる。
俺はひたすら照れ笑い。
幸せが顔に出すぎてるって自分でもわかるくらい、幸せ。
仕事が終わって、歩いて帰る。
今日はいろいろ大変だった、新婚て、大変だ……。
玄関を開けた瞬間、
台所からエプロン姿の迅さんが出迎えてくれた。
「おかえり。今日どうだった?」
いつもの優しい笑顔。
「……すごかった。みんなに囲まれて……
お弁当、美味しいって言われた」
「それは俺も嬉しい」
迅さんは自然に笑う。
そして、頭を撫でてくれる。
ジャケットを脱いで、かばんを置いて、
「あのね……その……会社の人たちに、
“結婚式しないの?”って言われた……」
目が泳いで、少しそわそわしてしまうり
でも、ぽっと光を宿してみたいに、
「前に、啓さんの話聞いたでしょ? 結婚式の。
写真とか、ドレスとか……花とか……
ああいうの、すこし……いいなって」
迅さんはふっと目を細めた。
くすっと笑って、抱き寄せる。
「直樹がしたいなら、しよう」
「……いいの?」
「むしろ見せつけたい。
俺の直樹だって、世界にちゃんと証明したい」
俺は、胸がじーん、と温かくなる。
耳まで赤くして、言葉が詰まって
「……ぼくも、迅さんの“家族”ですって……
みんなに言いたい」
「もう言えてるよ。今日一日で充分だ」
そう言って、迅さんは額にキスをくれる。
「さあ、夕飯にしよう」
迅さんの作ってくれたごはんを一緒に食べた。
風呂上がり、ソファでスマホを見てる。
式場のサイトを見てたら、ワクワクしてきて、きらきらした目のまま眠くなってきた。
“夫婦になった”って、
こんなに嬉しくて、幸せなんだな……
——次第に、未来の家族の夢が膨らんでいく。
俺がソファでウトウトしてたら、いつの間にか迅さんがベッドに連れていってくれてた。
今日もお疲れさま。
そして、おやすみなさい。
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