DEAD HEAT ~破魔の護法士~

デジタル・ピテクス

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闇深き動乱

逃走

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 ブラッドモアが鏡を見ている。
 
 表面に投影された不明瞭なモザイク。
 鏡の枠が虹色に煌めき、モザイクは鮮明な映像に変わった。

『状況は如何いかに?・・・』
 鏡の向こう側にいる男が問いかける。

「計画は思惑おもわく通りに進んだ。これより例の土地へ移動する。そなた達も来られよ・・・」

『了解した。直ちに全員で行こう・・・』
 
 映像が消え、鏡は対面した魔術師を写す。
 
 ブラッドモアは窓際の扉まで歩き、バルコニーへ。
 
 誰かが廊下を駆ける足音が聞こえた。
 額に汗をにじませ、シモンが訪れた。

「宮廷の広間で護法士と陛下が戦闘を繰り広げている」
「そうか・・・」

「陛下は魔術など使えないはず・・・」

「強い魔力が混成した魔石を付与したのだ。それゆえ護法士と互角に戦うほどの魔力を体に宿している。
 胸に付いた石が壊れたら元に戻るだろう・・・。
 まぁ、ベルトーメがどうなろうと構わぬ。もはやムンゾに用は無いのだ・・・」

「何ですと、用は無い?」
 シモンは眉間みけんしわを寄せ、聞き返す。

 ブラッドモアが天を仰ぎ、杖を掲げた。
 周囲一帯が発光して魔術師の身柄が真上の空に昇る。

 瞬く間に灰色の雲を突き抜け、バルコニーから消え去った。
 シモンは空を見つめ、ただ呆然ぼうぜんと立ち尽くしている・・・。



 ムンゾの郊外を飛ぶアーツとクレイグ。
 羽ばたく風の翼を降ろして、研究所の屋上に着地した。

 衛兵が驚いて敵意を示したが、宮廷の臣下しんかから預かった入場を認める書状を渡すと後ろへ退いた。

 二人は魔術師の奇襲を警戒しながら所内を捜索する。

 各部屋には研究で使う道具や巨大な機器が備えてあった。

 地下室を調べると円筒のガラスが並び、天井から下がる無数の配線と繋がっている。
 
 その内部に格納された数十体の魔導兵器。
 今にも起動できる状態のようだ。

 並んだ縦長のガラスとうに一つだけ幅の広いものを見つけた。
 
 魔導兵器が格納されていたが、他とは形が違う。
 頭部は先端が鋭く、肩と腕からは黒いくだが伸びている。

 所員に尋ねると、これは従来よりも性能を改良した試作機らしい・・・。

 その後、アーツ達は一階から屋上まで研究所をくまなく探した。

 しかしどの部屋を確かめてもブラッドモアは居なかった。

 ある所員の話では魔術を使い、姿を消したという。
 どこかへ逃亡したようだ・・・。

「この事件はもう終わりなのか?それとも・・・。情報を集め、真相を追求するべきだ」
 
 悔しげなクレイグの言葉にアーツが頷いた。
    
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