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破魔の護法士
降臨
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ゴゴゴオォォ!!、ザアァァァ!!・・・。
密林で響き渡る怪音。
黒い閃撃が標的を削るように殺傷した。
項垂れた被害者の全身から煙が生じ、腕と腹部に絡んだ茨の蔦は獲物を放り投げた。
その上空で浮かぶ魔塊ジュガラ。
片時も目を離さずに魔塊を見つめる護法士のセロナ、ティルゲイル、キヨヅキ。
各自が一歩前に踏み出す。
〈黎明の流星群〉
〈闇払う清廉の威閃〉を唱えた。
セロナとキヨヅキの手から眩い気球が空へ登る。
光は無数に分かれ、彗星の弾丸が群れをなして降り注ぐ。
ティルゲイルの両手に閃光が発生して直進する。
魔塊の足下で風が起き、雑草や土砂を混ぜながら上昇した。
気流は繭のようにジュガラを包む。
何百、何千と降る流星と熾烈な閃光が数分間、敵を連続で撃つ。
しかし三人の術技は気流の防御によって悉く弾かれ、緑の収束は忽ち爆風を起こした。
草原に広がる衝撃波が護法士を拐う。
その場で留まろうと姿勢を低く屈めたが、あえなく後方へ押し出されてしまった。
森に漂う青葉と砂礫・・・。
再びジュガラは闇の圧力が氾濫した腕を翳す。
護法士達は〈防御障壁〉を築いて魔術の応酬に備えた。
パアアァァァ!・・・
「!!?」
森林の空が煌めき、護法士と樹獣は見上げる。
雲の切れ間から炎が降下してきた。
森を守る太い大木の鞭が撥ね返えそうと伸びる。
炎は大木を完膚なきまでに焼く。
降臨せし燃え盛る火炎。
それは破魔の護法士アーツ。
ジュガラは腕を下げ、鋭い視線で窺う 。
不屈の魂を想わせる真っ赤な衣装。
その背中に長い髪が遊動していた。
瞳は比類無き魔法力の片鱗を映す。
『人間が幾ら集おうと我が足下で跪くのみ・・・。
流れる血を土に還し、肉体は大地を育む糧となれ・・・』
ジュガラの眼が怪しく光る。
草原に生えた植物を操り、周辺の地表から数十本の茨が天高く芽生えた。
鋭い棘の先端がまるで大蛇のように襲いかかる。
アーツは横へ転じ、茨が直撃する寸前で躱した。
その勢いのまま空中に浮遊する敵へ飛ぶ。
しかし地面から伸びてきた茨が片足に絡み、緑の枷で動きと行く手を阻む。
樹獣が標的に迫ってゆく。
殴打されたアーツは素早く起き、身柄を炎で覆い、その場所から消える。
セロナ達は倒れた仲間を抱え、森の隅に退いていった・・・。
直後、炎がジュガラの傍で灯り、紅い護法士に変貌した。
アーツの拳が魔塊を打ち、巨体は草原へ転がる。
すぐに追撃を与えようと攻め込む。
手が届くまで距離を詰めた時、またしても地面から茨が生え、アーツの胸部を強く突き当てた。
空中に漂流する護法士。
すかさずジュガラが襲いかかる。
着地したアーツは反撃に討って出ようと構えた。
しかしそれよりも早く敵が肉薄していた。
乱打を回避し、豪快に脚を薙ぐ。
ジュガラは重ねた両腕で防いだ。やや後退するが前方へ跳ぶ。
片側の脚を曲げ、護法士に激しく膝でぶつかる。
伸ばした足で敵の顔を捕らえると投げ放つ。
アーツは草原に体を引き摺りながら倒れた。
ジュガラが空中から垂直にゆっくりと降り、闘争で荒れた緑土へ着く。
護法士は体勢を正面に戻し、紅と緑が睨み合った。
戦場に流浪する切れ葉の吹雪・・・。
突然、魔塊は大地に密生した野草に吸収されてゆく。
まるで底無しの奈落へ呑まれたかのように地下へと消えた。
残されたアーツが周囲を見回す。
ジュガラは何処へ・・・。
「!!?・・」
草原が弱く揺れ、背後の下層から樹獣が昇ってきた。
アーツはすぐに敵を術技で攻める。
緑の肢体が分裂して二つに切り離された。
塊は瞬く間に木の屑となった。
『それは偽体だ・・・。我が実体は此処にいるぞ・・・』
真後ろの土中からジュガラが出現した。掌を翳す。
発光と共に甚だしい爆発が起き、護法士は弾き飛ばされた。
立ち上がるアーツ。
敵を見つめた眼に更なる闘志が増す。
仄かに全身が輝き、体表から湧いた金色の炎。
潜在する力が解放され、破魔の武力は大幅に高まる・・・。
ジュガラが再び地下に潜った。
森は静まり、真紅の護法士は一歩も動かない。
静寂はしばらく続き、野原の底から十体の魔塊が現れて前後左右を囲んだ。
その中の四体が襲いかかる。
護法士は敵に打撃を与え、獣の群衆は肉体が砕けた。
木片と化す偽体。木の亡骸が散乱している。
アーツは残った六体を見定め、迅速に近づくと一体を打つ。
強打を浴びたジュガラの実体は遠方に弾かれた。
偽体は腐敗した廃材に変じてゆく。
【 救世主降臨 】
アーツが放つ極限の光と気流。
ジュガラを圧倒した。
両腕で防ぐが徐々に遠退く。
臀部に生えた長い尾を大きく振り、尖った先端を地面に刺す。
森のエネルギーが吸収され、草花は生気を失い、鮮やかな緑や赤の彩度が次第に衰える。
雑草は砂となって土に浸透した。
周辺で根付く木々が撓垂れ、枝と太い幹が痩せ細る。
草原は荒野のように干上がった。
邪気が高揚した魔塊。アーツの業を払う。
ジュガラは地面に尾を刺したまま宙に浮き、採り入れたエネルギーを筋骨に注ぐ。
『グオオオォォ!!・・・』
鼓動が加速して、両手をアーツへ傾けた。
細い闇の光線が左右の指の表裏を這い進む。
【 戦慄の狂波動 】
漆黒の閃撃が怒り狂うの手から噴出した。
避ける素振りもなく、正々堂々と対峙する真紅の護法士。
体を横に構え、狙いを定めて右腕を引く。
魔法力が凝縮した拳を前方へ翳す。
【 獅子武炎撃 】
アーツの周囲に火柱が渦巻いて昇る。
炎に鋭い牙と眼、揺れ動く鬣が表れた。
巨大な灼熱の獅子は飛翔してゆく。
闇の閃撃を炎が弾いた。
太陽に劣らぬほど高温の獅子は口を大きく開き、勇猛な鬣を靡かせて翔る。
その姿は獲物に喰らいつく百獣の王。
魔塊を呑み込むと業火で焦がした。
ジュガラは紅蓮に浚われる。
肢体が黄金の灰となり果て、微細な破片は花粉のように漂う。
横行する無秩序な風浪が戦闘の余韻でざわめいた。
森をそよぐ灰は荒れ地に落ち、そこから芽が出て蕾が育つ。
ジュガラに搾取された生命は蘇り、荒野の隅々まで鮮やかな草花や青葉が咲く。
邪気が滅んだ清々しい空気で森は満たされていった。
草原の奥にセロナ、キヨヅキ、ティルゲイル。
傍にはヘンドリー、エマ、ストウィスが負傷した体を木の根元に預け、目を閉じて座っている。
アーツが彼等の前へ降り立つ。
片腕を地面に向けるとそこから炎の柱が昇り、建立された四角い門。
形は東洋の寺院にある鳥居に似ている。
門の入口を霧が覆い、その向こう側に建物が幾つか見えた。
「メルクリオの街と空間を繋いだ。負傷して治療が必要な三人を急いで医院へ」
「その声は・・・アーツなのか?」
素知らぬ人物の正体にセロナが気づく。
紅い護法士は何も言わず黙って頷き、空へ跳び上がる。
儚い火炎が時空を裂いた・・・。
密林で響き渡る怪音。
黒い閃撃が標的を削るように殺傷した。
項垂れた被害者の全身から煙が生じ、腕と腹部に絡んだ茨の蔦は獲物を放り投げた。
その上空で浮かぶ魔塊ジュガラ。
片時も目を離さずに魔塊を見つめる護法士のセロナ、ティルゲイル、キヨヅキ。
各自が一歩前に踏み出す。
〈黎明の流星群〉
〈闇払う清廉の威閃〉を唱えた。
セロナとキヨヅキの手から眩い気球が空へ登る。
光は無数に分かれ、彗星の弾丸が群れをなして降り注ぐ。
ティルゲイルの両手に閃光が発生して直進する。
魔塊の足下で風が起き、雑草や土砂を混ぜながら上昇した。
気流は繭のようにジュガラを包む。
何百、何千と降る流星と熾烈な閃光が数分間、敵を連続で撃つ。
しかし三人の術技は気流の防御によって悉く弾かれ、緑の収束は忽ち爆風を起こした。
草原に広がる衝撃波が護法士を拐う。
その場で留まろうと姿勢を低く屈めたが、あえなく後方へ押し出されてしまった。
森に漂う青葉と砂礫・・・。
再びジュガラは闇の圧力が氾濫した腕を翳す。
護法士達は〈防御障壁〉を築いて魔術の応酬に備えた。
パアアァァァ!・・・
「!!?」
森林の空が煌めき、護法士と樹獣は見上げる。
雲の切れ間から炎が降下してきた。
森を守る太い大木の鞭が撥ね返えそうと伸びる。
炎は大木を完膚なきまでに焼く。
降臨せし燃え盛る火炎。
それは破魔の護法士アーツ。
ジュガラは腕を下げ、鋭い視線で窺う 。
不屈の魂を想わせる真っ赤な衣装。
その背中に長い髪が遊動していた。
瞳は比類無き魔法力の片鱗を映す。
『人間が幾ら集おうと我が足下で跪くのみ・・・。
流れる血を土に還し、肉体は大地を育む糧となれ・・・』
ジュガラの眼が怪しく光る。
草原に生えた植物を操り、周辺の地表から数十本の茨が天高く芽生えた。
鋭い棘の先端がまるで大蛇のように襲いかかる。
アーツは横へ転じ、茨が直撃する寸前で躱した。
その勢いのまま空中に浮遊する敵へ飛ぶ。
しかし地面から伸びてきた茨が片足に絡み、緑の枷で動きと行く手を阻む。
樹獣が標的に迫ってゆく。
殴打されたアーツは素早く起き、身柄を炎で覆い、その場所から消える。
セロナ達は倒れた仲間を抱え、森の隅に退いていった・・・。
直後、炎がジュガラの傍で灯り、紅い護法士に変貌した。
アーツの拳が魔塊を打ち、巨体は草原へ転がる。
すぐに追撃を与えようと攻め込む。
手が届くまで距離を詰めた時、またしても地面から茨が生え、アーツの胸部を強く突き当てた。
空中に漂流する護法士。
すかさずジュガラが襲いかかる。
着地したアーツは反撃に討って出ようと構えた。
しかしそれよりも早く敵が肉薄していた。
乱打を回避し、豪快に脚を薙ぐ。
ジュガラは重ねた両腕で防いだ。やや後退するが前方へ跳ぶ。
片側の脚を曲げ、護法士に激しく膝でぶつかる。
伸ばした足で敵の顔を捕らえると投げ放つ。
アーツは草原に体を引き摺りながら倒れた。
ジュガラが空中から垂直にゆっくりと降り、闘争で荒れた緑土へ着く。
護法士は体勢を正面に戻し、紅と緑が睨み合った。
戦場に流浪する切れ葉の吹雪・・・。
突然、魔塊は大地に密生した野草に吸収されてゆく。
まるで底無しの奈落へ呑まれたかのように地下へと消えた。
残されたアーツが周囲を見回す。
ジュガラは何処へ・・・。
「!!?・・」
草原が弱く揺れ、背後の下層から樹獣が昇ってきた。
アーツはすぐに敵を術技で攻める。
緑の肢体が分裂して二つに切り離された。
塊は瞬く間に木の屑となった。
『それは偽体だ・・・。我が実体は此処にいるぞ・・・』
真後ろの土中からジュガラが出現した。掌を翳す。
発光と共に甚だしい爆発が起き、護法士は弾き飛ばされた。
立ち上がるアーツ。
敵を見つめた眼に更なる闘志が増す。
仄かに全身が輝き、体表から湧いた金色の炎。
潜在する力が解放され、破魔の武力は大幅に高まる・・・。
ジュガラが再び地下に潜った。
森は静まり、真紅の護法士は一歩も動かない。
静寂はしばらく続き、野原の底から十体の魔塊が現れて前後左右を囲んだ。
その中の四体が襲いかかる。
護法士は敵に打撃を与え、獣の群衆は肉体が砕けた。
木片と化す偽体。木の亡骸が散乱している。
アーツは残った六体を見定め、迅速に近づくと一体を打つ。
強打を浴びたジュガラの実体は遠方に弾かれた。
偽体は腐敗した廃材に変じてゆく。
【 救世主降臨 】
アーツが放つ極限の光と気流。
ジュガラを圧倒した。
両腕で防ぐが徐々に遠退く。
臀部に生えた長い尾を大きく振り、尖った先端を地面に刺す。
森のエネルギーが吸収され、草花は生気を失い、鮮やかな緑や赤の彩度が次第に衰える。
雑草は砂となって土に浸透した。
周辺で根付く木々が撓垂れ、枝と太い幹が痩せ細る。
草原は荒野のように干上がった。
邪気が高揚した魔塊。アーツの業を払う。
ジュガラは地面に尾を刺したまま宙に浮き、採り入れたエネルギーを筋骨に注ぐ。
『グオオオォォ!!・・・』
鼓動が加速して、両手をアーツへ傾けた。
細い闇の光線が左右の指の表裏を這い進む。
【 戦慄の狂波動 】
漆黒の閃撃が怒り狂うの手から噴出した。
避ける素振りもなく、正々堂々と対峙する真紅の護法士。
体を横に構え、狙いを定めて右腕を引く。
魔法力が凝縮した拳を前方へ翳す。
【 獅子武炎撃 】
アーツの周囲に火柱が渦巻いて昇る。
炎に鋭い牙と眼、揺れ動く鬣が表れた。
巨大な灼熱の獅子は飛翔してゆく。
闇の閃撃を炎が弾いた。
太陽に劣らぬほど高温の獅子は口を大きく開き、勇猛な鬣を靡かせて翔る。
その姿は獲物に喰らいつく百獣の王。
魔塊を呑み込むと業火で焦がした。
ジュガラは紅蓮に浚われる。
肢体が黄金の灰となり果て、微細な破片は花粉のように漂う。
横行する無秩序な風浪が戦闘の余韻でざわめいた。
森をそよぐ灰は荒れ地に落ち、そこから芽が出て蕾が育つ。
ジュガラに搾取された生命は蘇り、荒野の隅々まで鮮やかな草花や青葉が咲く。
邪気が滅んだ清々しい空気で森は満たされていった。
草原の奥にセロナ、キヨヅキ、ティルゲイル。
傍にはヘンドリー、エマ、ストウィスが負傷した体を木の根元に預け、目を閉じて座っている。
アーツが彼等の前へ降り立つ。
片腕を地面に向けるとそこから炎の柱が昇り、建立された四角い門。
形は東洋の寺院にある鳥居に似ている。
門の入口を霧が覆い、その向こう側に建物が幾つか見えた。
「メルクリオの街と空間を繋いだ。負傷して治療が必要な三人を急いで医院へ」
「その声は・・・アーツなのか?」
素知らぬ人物の正体にセロナが気づく。
紅い護法士は何も言わず黙って頷き、空へ跳び上がる。
儚い火炎が時空を裂いた・・・。
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