38 / 40
破魔の護法士
終焉
しおりを挟む
脈拍が高まるブラッドモア。
大地は傷口のように皹割れた。
姿勢を低く構え、怒りの眼差しが敵を睨む。
凄まじい速さで飛び、真紅の護法士は避ける間もなく殴打された。
体の方向を素早く正面へ戻すと〈神将の怒号〉を放つ。
流れ来る極限の雷にブラッドモアは掌を向けた。
【 闇空間窟 】
広げた五指の前に渦巻く闇深き円盤。
中心点を軸に時計回りで回転し、内部へと雷撃を吸い込んだ。
円盤の回転が逆に変わって〈神将の怒号〉を噴く。
「!!・・・」
アーツは辛うじて避けた。
逃れた場所へブラッドモアが移り、真上から敵を打つ。
護法師は地面に落ちた。すぐに空を見ると魔塊が接近してくる。
着地と同時に原野が魔の手で砕かれた。
大小の破片が荒れ狂ったように行き交い、 上空で犇めく黒い雲は止むことなく紫紺の綿を吐いている・・・。
【 死災 】
ブラッドモアが邪気の波動を掃射した。
【 救世主降臨 】
アーツは術技を放つ。
間合いの中央で抗う光と闇。
業が重なる部分から無尽の火花が湧き、境界で丸く膨れ始めた。
その瞬間、地上を揺らすほどの甚大な爆発と直視できぬ煌めきを起こして、光と闇の攻防は終えた。
荒野に余波が吹きすさむ・・・。
ブラッドモアは仰向けた両手を肩の高さまで上げた。
左右の手中に小さな黒い球体が現れ、護法士へ投げる。
標的の右側と左側で停まった。
球体から鎖が伸び、双方の腕に巻き付く。
「!!?・・」
解こうと動かすが頑強な鎖を壊せない。
反対側へ牽引され、アーツの腕は大きく開いた。
ブラッドモアが捕らえた獲物に一歩ずつ、ゆっくりと歩み寄る。
右手に黒い炎のような魔力を燈す。
荒野で奥で緊迫した状況を窺う防衛部隊。
「まずいぞ・・・捕まって動けないようだ。このままでは魔塊に・・・」
「将閤っ!!・・・」
イサリヤが飛び出した。
真紅の護法士を救おうと敵に向け〈極閃光〉を撃つ。
しかしブラッドモアの薙いだ手刀が容易く遮った。
弾かれて分裂した青白い閃光が体の傍を通り過ぎる。
ブラッドモアは反逆者に〈死災〉を浴びせた。
途轍もない魔力と速度。
防ぐことも躱すことも不可能だった。
闇に染まる。
「止めろぉぉぉ!━━━━━」
アーツの悲痛な声が響めく。
絶命した護法士は黒い濃霧のような煙を纏い、大地に倒れた・・・。
「うおおおおお!!━━━━━」
高鳴る叫び。
ブラッドモアは振り向く。
魔塊への憤怒がアーツの潜在する力を解放させた。
紅い容姿は輝き、灼炎が滾る。
両腕に絡む鎖を引いた。
鈍い音が軋み、さらに引き続けると強固な鎖は震え、細かく千切れて崩壊した。
不屈の闘志を映すアーツの瞳。鋭気が増して体中に巡る炎。
破魔の武力は最大限まで向上する。
一足飛びで敵の懐へ。
ブラッドモアは瞬時に身構え、互いの拳がぶつかり合う。
周囲から衝撃の旋風が迸る。
アーツは魔塊の手を弾き、胴体を激しく打ちつけた。
『!!・・・』
腹部の外殻に長い亀裂。
刻まれた裂け目が四方へ広がる。
ブラッドモアは敵を睨み、必死に押し返すが僅かな距離さえ動じない。
護法士の肌身から溢れる魔法力は腕を伝い、拳に集結してゆく。
煽り立つ気流は雷鳴を轟かせ、地盤が暴れて円状に畝る。
「闇の中で救いを求む者には一縷の灯火を。悪しき存在には業火の制裁を・・・」
荘厳な両眼で正面を見据えた。
「烈炎槍拳!!━━━━━━━」
黄金の槍が魔塊の芯を突き抜ける。
『グオオオオォォ!!・・・』
貫かれた腹部の核。
脈は止まり、砕けて全体が決壊した。
次第に破片が質量と形を失う。
ブラッドモアは根元を切られた樹木のように後方へ倒れ、胴体、翼、腕が分解してゆく。
邪気で満ちた細胞は漂いながら、無害な白い煙に変わる。
爽快な青を取り戻す空。
紫紺の灰がいつの間にか止んでいた。
ブラッドモアは完全に滅び、戦場の中で白煙が行く宛もなく彷徨う。
存亡を賭けた闘いが終わった・・・。
雲の切れ間から注ぐ光。
激闘の傷跡が残る焦土を照らす。
アーツは意識を無くして大地に倒れた。
真紅の武装が消え、以前の姿に戻る。衣服は焦げて所々が破れていた。
防衛部隊の兵士達が荒野を横断し、倒れた人物を介抱する。
問いかけたが返答はない・・・。
護法士がアーツだと気付いた。
上着の裏から書報を出してロハリネに情勢を伝える。
〈こちらコルノス荒野。戦闘にて魔塊を撃破。アーツ賢正が重傷。至急、付近の街へ搬送します〉
大地は傷口のように皹割れた。
姿勢を低く構え、怒りの眼差しが敵を睨む。
凄まじい速さで飛び、真紅の護法士は避ける間もなく殴打された。
体の方向を素早く正面へ戻すと〈神将の怒号〉を放つ。
流れ来る極限の雷にブラッドモアは掌を向けた。
【 闇空間窟 】
広げた五指の前に渦巻く闇深き円盤。
中心点を軸に時計回りで回転し、内部へと雷撃を吸い込んだ。
円盤の回転が逆に変わって〈神将の怒号〉を噴く。
「!!・・・」
アーツは辛うじて避けた。
逃れた場所へブラッドモアが移り、真上から敵を打つ。
護法師は地面に落ちた。すぐに空を見ると魔塊が接近してくる。
着地と同時に原野が魔の手で砕かれた。
大小の破片が荒れ狂ったように行き交い、 上空で犇めく黒い雲は止むことなく紫紺の綿を吐いている・・・。
【 死災 】
ブラッドモアが邪気の波動を掃射した。
【 救世主降臨 】
アーツは術技を放つ。
間合いの中央で抗う光と闇。
業が重なる部分から無尽の火花が湧き、境界で丸く膨れ始めた。
その瞬間、地上を揺らすほどの甚大な爆発と直視できぬ煌めきを起こして、光と闇の攻防は終えた。
荒野に余波が吹きすさむ・・・。
ブラッドモアは仰向けた両手を肩の高さまで上げた。
左右の手中に小さな黒い球体が現れ、護法士へ投げる。
標的の右側と左側で停まった。
球体から鎖が伸び、双方の腕に巻き付く。
「!!?・・」
解こうと動かすが頑強な鎖を壊せない。
反対側へ牽引され、アーツの腕は大きく開いた。
ブラッドモアが捕らえた獲物に一歩ずつ、ゆっくりと歩み寄る。
右手に黒い炎のような魔力を燈す。
荒野で奥で緊迫した状況を窺う防衛部隊。
「まずいぞ・・・捕まって動けないようだ。このままでは魔塊に・・・」
「将閤っ!!・・・」
イサリヤが飛び出した。
真紅の護法士を救おうと敵に向け〈極閃光〉を撃つ。
しかしブラッドモアの薙いだ手刀が容易く遮った。
弾かれて分裂した青白い閃光が体の傍を通り過ぎる。
ブラッドモアは反逆者に〈死災〉を浴びせた。
途轍もない魔力と速度。
防ぐことも躱すことも不可能だった。
闇に染まる。
「止めろぉぉぉ!━━━━━」
アーツの悲痛な声が響めく。
絶命した護法士は黒い濃霧のような煙を纏い、大地に倒れた・・・。
「うおおおおお!!━━━━━」
高鳴る叫び。
ブラッドモアは振り向く。
魔塊への憤怒がアーツの潜在する力を解放させた。
紅い容姿は輝き、灼炎が滾る。
両腕に絡む鎖を引いた。
鈍い音が軋み、さらに引き続けると強固な鎖は震え、細かく千切れて崩壊した。
不屈の闘志を映すアーツの瞳。鋭気が増して体中に巡る炎。
破魔の武力は最大限まで向上する。
一足飛びで敵の懐へ。
ブラッドモアは瞬時に身構え、互いの拳がぶつかり合う。
周囲から衝撃の旋風が迸る。
アーツは魔塊の手を弾き、胴体を激しく打ちつけた。
『!!・・・』
腹部の外殻に長い亀裂。
刻まれた裂け目が四方へ広がる。
ブラッドモアは敵を睨み、必死に押し返すが僅かな距離さえ動じない。
護法士の肌身から溢れる魔法力は腕を伝い、拳に集結してゆく。
煽り立つ気流は雷鳴を轟かせ、地盤が暴れて円状に畝る。
「闇の中で救いを求む者には一縷の灯火を。悪しき存在には業火の制裁を・・・」
荘厳な両眼で正面を見据えた。
「烈炎槍拳!!━━━━━━━」
黄金の槍が魔塊の芯を突き抜ける。
『グオオオオォォ!!・・・』
貫かれた腹部の核。
脈は止まり、砕けて全体が決壊した。
次第に破片が質量と形を失う。
ブラッドモアは根元を切られた樹木のように後方へ倒れ、胴体、翼、腕が分解してゆく。
邪気で満ちた細胞は漂いながら、無害な白い煙に変わる。
爽快な青を取り戻す空。
紫紺の灰がいつの間にか止んでいた。
ブラッドモアは完全に滅び、戦場の中で白煙が行く宛もなく彷徨う。
存亡を賭けた闘いが終わった・・・。
雲の切れ間から注ぐ光。
激闘の傷跡が残る焦土を照らす。
アーツは意識を無くして大地に倒れた。
真紅の武装が消え、以前の姿に戻る。衣服は焦げて所々が破れていた。
防衛部隊の兵士達が荒野を横断し、倒れた人物を介抱する。
問いかけたが返答はない・・・。
護法士がアーツだと気付いた。
上着の裏から書報を出してロハリネに情勢を伝える。
〈こちらコルノス荒野。戦闘にて魔塊を撃破。アーツ賢正が重傷。至急、付近の街へ搬送します〉
0
あなたにおすすめの小説
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
