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放たれし災
術技院
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ロハリネ共和国の山岳地方の街スパ。
緑豊かな山々に囲まれたスパは地下から源泉が豊富に沸き、多くの観光客が訪れる有名な温泉街だ。
街を貫く川に架かる橋の奥に、防衛部隊の支部と術技院がある。
広大な棟舎は三百年ほど前に当時の国王が建てた別荘だったが、現在は護法師を育成する学校として使われていた。
術技院の背後に聳える裏山。
生徒九名と格闘訓練の講師オハイヨ、隣にアーツが森の中にいた。
生徒達は空手や剣術などの技を習い、個人の運動能力に差はあるものの、戦闘に用いる基本動作を体得していた。
広葉樹の木漏れ陽に照らされたオハイヨが生徒達に話す。
「今日から始める訓練は実戦に近い。君等は武術の基礎を学んでいるが、魔物は整備された講堂や広間に行儀よく登場するわけではないのだ。
常に神出鬼没。何時、何処に姿を見せるか予想も準備もできない。
山岳、海上、砂漠、洞窟、または町の中かもしれん。
これから様々な状況に合わせた場面で訓練を行う。
今日は特別にアーツ賢正が相手をしてくれるそうだ」
アーツが後方へ飛び上がり、大木の枝に立つ。
訓練は生徒が三人一組に分かれて戦い、制限時間の十五分を過ぎたら終了だ。
「今、目の前に魔物が現れたという想定で向かって来るんだ。
遠慮するな、全力で臨まなければ訓練にならん。
言っておくが私も術技を使う。油断していると怪我を負うぞ。
実際に魔物と戦う際は、一撃が命取りとなる場合もある。細心の注意を心掛けるように」
生徒達は姿勢を低く構えた。
護法師最高位階のアーツに尻込みするようでは術技院で学ぶ資格はない。
訓練の開始と同時に仲間と共に挑む。
しかし敵は俊敏かつ力強く、一歩で数メートル進んだり、周辺の樹木の頂きまで跳躍する。
その能力に戸惑い、まるで鬼ごっこのように追いかけることさえ困難だ。
三人で別方向から迫る。
アーツは容易く避け、神託の光矢を放つ。
生徒は防御障壁を築こうとするも、まだ術技の発導に多少の時間が掛かる。
降り注ぐ光の矢から逃げるしかない。危うく回避した。
森には樹木の枝葉や丈の長い野草、倒木や泥濘などがあるため真っ直ぐ走れず、室内で行う剣術や空手の授業では体験できない状況だった。
そんな中で果敢に闘う。
だが敵に一度も攻撃を与えられないまま、制限時間の終わりを迎えた。
順に三つの組が挑戦したものの、圧倒的な実力の差に意気込みと自信が砕けた生徒達。
だが彼等の能力は高く、格闘訓練を積み重ねてゆけば逞しくなってゆくだろうとアーツは感じた。
訓練場に事務官が駆けて来た。
「賢正、ハーバが何者かに襲撃を受けました。現在、防衛特使団を編成しております」
「襲撃だと!?」
アーツは生徒達と向き合う。
「諸君、すまないが失礼する。新たな任務のために行かなくては。
君達は全員が素晴らしい資質を秘めている。訓練は厳しいが諦めず継続してほしい。ではまた会おう」
護法師の長が飛空の術技を発導する。
足下からか風が吹き、大きな二つの翼に形を変えて背中に張り付いた。
体が空中に浮遊し、防衛部隊の棟舎まで飛行してゆく。
生徒は皆、風属性第四種の高等術技に驚嘆した。
緑豊かな山々に囲まれたスパは地下から源泉が豊富に沸き、多くの観光客が訪れる有名な温泉街だ。
街を貫く川に架かる橋の奥に、防衛部隊の支部と術技院がある。
広大な棟舎は三百年ほど前に当時の国王が建てた別荘だったが、現在は護法師を育成する学校として使われていた。
術技院の背後に聳える裏山。
生徒九名と格闘訓練の講師オハイヨ、隣にアーツが森の中にいた。
生徒達は空手や剣術などの技を習い、個人の運動能力に差はあるものの、戦闘に用いる基本動作を体得していた。
広葉樹の木漏れ陽に照らされたオハイヨが生徒達に話す。
「今日から始める訓練は実戦に近い。君等は武術の基礎を学んでいるが、魔物は整備された講堂や広間に行儀よく登場するわけではないのだ。
常に神出鬼没。何時、何処に姿を見せるか予想も準備もできない。
山岳、海上、砂漠、洞窟、または町の中かもしれん。
これから様々な状況に合わせた場面で訓練を行う。
今日は特別にアーツ賢正が相手をしてくれるそうだ」
アーツが後方へ飛び上がり、大木の枝に立つ。
訓練は生徒が三人一組に分かれて戦い、制限時間の十五分を過ぎたら終了だ。
「今、目の前に魔物が現れたという想定で向かって来るんだ。
遠慮するな、全力で臨まなければ訓練にならん。
言っておくが私も術技を使う。油断していると怪我を負うぞ。
実際に魔物と戦う際は、一撃が命取りとなる場合もある。細心の注意を心掛けるように」
生徒達は姿勢を低く構えた。
護法師最高位階のアーツに尻込みするようでは術技院で学ぶ資格はない。
訓練の開始と同時に仲間と共に挑む。
しかし敵は俊敏かつ力強く、一歩で数メートル進んだり、周辺の樹木の頂きまで跳躍する。
その能力に戸惑い、まるで鬼ごっこのように追いかけることさえ困難だ。
三人で別方向から迫る。
アーツは容易く避け、神託の光矢を放つ。
生徒は防御障壁を築こうとするも、まだ術技の発導に多少の時間が掛かる。
降り注ぐ光の矢から逃げるしかない。危うく回避した。
森には樹木の枝葉や丈の長い野草、倒木や泥濘などがあるため真っ直ぐ走れず、室内で行う剣術や空手の授業では体験できない状況だった。
そんな中で果敢に闘う。
だが敵に一度も攻撃を与えられないまま、制限時間の終わりを迎えた。
順に三つの組が挑戦したものの、圧倒的な実力の差に意気込みと自信が砕けた生徒達。
だが彼等の能力は高く、格闘訓練を積み重ねてゆけば逞しくなってゆくだろうとアーツは感じた。
訓練場に事務官が駆けて来た。
「賢正、ハーバが何者かに襲撃を受けました。現在、防衛特使団を編成しております」
「襲撃だと!?」
アーツは生徒達と向き合う。
「諸君、すまないが失礼する。新たな任務のために行かなくては。
君達は全員が素晴らしい資質を秘めている。訓練は厳しいが諦めず継続してほしい。ではまた会おう」
護法師の長が飛空の術技を発導する。
足下からか風が吹き、大きな二つの翼に形を変えて背中に張り付いた。
体が空中に浮遊し、防衛部隊の棟舎まで飛行してゆく。
生徒は皆、風属性第四種の高等術技に驚嘆した。
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