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蛇腹綺譚
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蛇姦です。
※男性への卵孕ませなども含まれます。
全部いける方向けのお話です。
闇BL企画参加作品です。
蛇腹綺譚
異類婚姻譚を集めている私があるサーカスを知ったのは風の冷たい夜の事だった。
特別な客しか出入りが許されないナイトクラブの一角で酒を飲んでいたところ、私の学者としての肩書きを知っていたのか、身なりの良い男が隣に座り、一枚のチケットを差し出してきた。
どうやらそのサーカスは酷く特別なサーカスのようで、世にも美しい者から醜悪な者までありとあらゆる不思議が集められているという。
サーカスなどにはあまり興味がなかった私が曖昧に微笑んでいると、男が蛙のようなねとりとした笑みを浮かべて囁いた。
そのサーカスには蛇を自在に操る美しい青年がいるのですが、どうやら蛇神に祟られた者のようで……貴方のお探しの奇譚にぴったりではございませんか? と。
蛇神に祟られたとの言葉で真剣みの増した眼差しでサーカスについて訪ねてみると、男は得意そうに話し出した。
いわく男は世界中にいるサーカスのパトロンの一人で、たまたまそのチケットに書かれた日時に参加できないという。
捨てるには惜しく、かといってただの友人にやるには惜しい。
その筋では有名な私が今日ここで飲んでいると聞き、せっかく譲るのならば役立てて欲しいとチケットを差し出してきたという訳だった。
見返りはなにかと探ってみれば、どうやら物書きをしている私の友人のファンだということで、彼のサイン本が欲しいとの事だった。
確かに友人は自身のサインを嫌い、世にも数点しか出回っていない。私が頼めば酷く嫌そうな顔をしながらも応じてくれるだろう。
友人へ贈る賄賂代わりの高い酒とこのサーカスのチケットを考えたときに、蛇を操る青年への興味が勝った。
私は男の差し出すチケットを手に取った。
航空券を手配しその国へ飛べば、香辛料の匂いがした。
空港からさらに車で5時間ほど走らせた山奥で、そのサーカスは開催されるらしい。
こんな山奥で……と、トランクを押しながら向かえば、たどり着いたのは開幕寸前の時間帯であった。
特別なサーカスということで、客層は裕福層が多く、客席数は普通のサーカスに比べたら少ないものの、テントの中は満席に近かった。
始まったサーカスの演目は物珍しいものではあったが、心惹かれるものは少なかった。
確かに美しい者は今までに見たことがないほど、醜い者も稀とは思うが障るほどでもなく、命の保証のない出し物も特出して言う程のものはなかった。
只一つ、虚ろな表情をした美青年が操る蛇については目に留まるものがあった。
白い漢服を着た青年が手を差し伸ばすだけで、見事に育った蛇たちが隊列を組む。
障害物なども意にせず行進し、意のままに操る様は圧巻だった。
そうして、最後にふわりとその場に現れたのは、人を丸のみできるほどの白い大蛇。
この世の裏側を探っていれば、怪談や奇談にはたどり着く。けれどもそのぞわりと鳥肌の立つような感覚は間違いなくその大蛇が『本物』であると指し示していた。
こんなところで出会うとは思わなかった神威の存在に驚きつつ、最後まで演目をじっと見続けていた。
時間としては一時間か二時間程か、見終わって大幕から出れば、支配人らしき身なりの良い男が声を掛けてきた。
私にチケットを譲ってくれた男というのは太客のパトロンだったらしく、特別にサーカスの裏側を見せてくれるという。
お客様にくれぐれも粗相のないようにと仰せつかっております。
この先は本当に特別な方しかお通ししておりません。ですが、お客様は大変その界隈では有名な学者先生でございますので、きっと何かのお役に立てる事でしょう。
そう言った支配人に研究資料に使っても良いか? と尋ねれば、もちろんようございます。と快諾が得られた。
何分、世間の皆様には我がサーカスはすべてフィクションの事と思われるでしょうから。
そう支配人は笑うと、案内のために少し前を歩き始めた。
サーカスの演目を披露した大きな幕から離れ、サーカスの団員達の小さなテントの群れを越えてずっと行くと、ぽつりと一つだけ隔離されたような場所に小さなテントが張られていた。
支配人が手招きをするので見てみると、出入り口付近のちょうど目線の辺りに布を充てている部分があったので、そこを捲るように勧められる。
布を捲れば人が覗けるほどの穴が空いていたので支配人に意図を尋ねると、サーカスで演目を披露した後はいつもこうなのです。覗いたって構いません。こうなっては白は気づきませんので。ただしそっと除きみてください。大きな音を立てないように。『中のもの』は目は悪いですが音には敏感なので。
支配人が別の覗き穴で見始めたので、私も恐る恐る覗き穴を垣間見る。
思わず声を上げそうになるのを口を抑えて止める。
中には人間は一人しかいなかった。
一人の青年が無数の蛇とまぐわっている。
白い漢服の裾には細い蛇が何匹も蠢き、はだけられた服の合間からは蛇が滑らかな肌に纏わりつく様が見てとれた。
青年の首筋から這い出た蛇は愛おしそうに頬を撫で、もぞりと衣の下を別の蛇がなぞる。
覗き穴から目を外すと、支配人を見る。
蛇を操るとは、そう或るように願うことですからね。
対価が必要なのです。青年はサーカスの舞台が終わった後は、いつもこうやって贖っているのです。
どうぞ、まだ始まったばかりですから。
そう言うと支配人が大層ねとりとした笑いを浮かべる。
私は少々戸惑いながらも覗き穴を再び除き始めた。
青年は小さく喘ぎながら子どもの腕ほどの蛇を咥える。
喉の奥まで入っているのか、その細い喉元が太い物を飲み込まされてぷくりとしている。
服がさらにはだけて、下には何も着ていないのか、白い太腿などがさらされる。
蛇の中には青年の涙を流す竿をくぷりと飲み込み愛撫を施す者もいれば、その下生えの先、窄まりに頭を入れてぬちぬちと奥まで貫こうとしていたものもいた。
細い身体が蛇に蹂躙されている。
もう一匹の蛇がちろちろと二股の舌を覗かせて、ぐぷりと肛門に頭を捩じ込む。
ギチギチと音がしそうなほどにそこは広がり、二匹目の蛇も腹の中に入っていく。
びくっとその衝撃に果てたのか、青年が震える。
青年の竿を離した蛇は白濁を美味そうに飲み干すと少し離れる。そうするとまた別の蛇がとろとろと白濁を零す亀頭をかぷりと咥えるのだ。
二匹目の蛇を咥えた肛門は皺も無い程に広がっているのに、三匹目が頭で括約筋を広げながらみちりと中に入り込む。
すると最奥まで蛇で満たされたのか、薄い腹に蛇の形がぼこりと浮き出た。
細い腰を締め上げる蛇は胸元の小さな乳首を鱗で愛撫を施し、さらにと肌に痕を付けていく。
腕や脚まで青年の白い肌を蛇が這っていく。
ねぇ、お客様、大変淫らでしょう?
蛇は決して彼を害しません。
ああやって蛇たちは青年が誰の物なのかを身体に教え込んでいるのですよ。
支配人が再び話しかけた。
私はそっと小さく彼は蛇の物なのですか? と尋ねれば、支配人は声だけで笑ったようだった。
穴がほぐれれば、主が出てきますよと。
青年が蛇たちとまぐわっている姿を垣間見ていると、立ち込める様な畏怖の存在を感じた。
狭いテントの中を取り巻く様な、濃厚な神の気配。
胴が青年の腰ほどある白い大蛇がとぐろを巻いていた。
蛇たちを押しつぶしてもおかしく無いのに、その白い蛇はただそこに体現していた。
存在感は強いのに、質量は無い。その不可解な気配に唾を飲み込む。
あぁ、彼に付いている蛇神だろうか。
大蛇が体現すると蛇たちはわきまえているかのように、青年の身体から這い出てくる。
喉奥を犯していた蛇も這い出てきて、んんっと青年が小さく声を上げた。
三匹でずるりずるりと中を犯していた蛇も穴から出てくる。
ぬちりと蛇が抜け落ち腸液でぬめるそこは、くぱくぱと開ききっていて、まるで男を誘うかのようであった。
青年がとろりとした瞳で現れた白い大蛇の口に唇を落とす。
大蛇は青年を丸呑みできるほどの大きな口を薄く開け、二股に別れた舌を青年の口に入れると、喉奥まで舌を伸ばした。
大蛇は青年をゆるく囲うようにとぐろをまくと、腹の中腹のスリッドから二本の逞しいヘミペニスが現れた。
太く立派なそれは、片方だけで女性の腕程の大きさだ。
青年はそれを自由になった腕でゆっくりとなぞる。
青年の腹を犯していたのは三匹の蛇。
確かに、この大蛇のものを受け入れるにはそれが飲み込めるほどに拡張しないと入らないのだろう。
支配人が嬉しそうにあれがあの細身の青年の中に納まるのですよ。すごいでしょう? と小声で話した。
しかも、あの大蛇は両性具有。青年の腹に卵を産み付けて、自身の精で受精させるのです。
なるほど。
神に連なる存在が、何故あの青年を選んだのかはわからない。ただ、自身の卵を孕ませるためにあの青年に憑いているというのならば話は分かる。
じっと覗き穴から見ていると、蛇のペニスが青年に擦りつけられる。
青年は身体を開き、自身の穴を広げた。
大蛇の片方のペニスが青年の尻穴に飲み込まれる。
青年が苦しげに息を吐いた。
広げられた腸管はその太く棘が逆立つペニスを必死に飲み込む。ぐぽんっと腹の奥が抜けたのか、結腸の先までペニスを飲み込むと、青年が息を吐く。
大蛇はゆっくりと青年を真綿で包むように締め上げる。
蛇の性交はゆっくりと何日も掛けてまぐわうと言われている。
じわりじわりと青年の腹を行き来する。
そうしてぽこり、ぽこりと青年の腹にわずかに浮き出る何か。
先ほど、支配人が両性具有とこの蛇神を称した。つまり、ペニスの片方を卵管の代わりにしているのか。
青年は、大蛇に卵を産みつけられていた。
あっあっんっ……いっぱい……あうっ……。
喉奥から蛇の舌を引き抜かれた青年は、涙を零しながら喘いでいる。
ゆっくりと引き抜かれても、腹がみちみちと卵で膨れている。
ヘミペニスのもう片方は先ほど卵管代わりのペニスよりも太く、成人男性の腕程の大きさであった。
そちらを挿入される時には青年は悲鳴のような声を上げた。
涙を零し、長い黒髪を振りながら、ただただ暴力的なまでに逞しいペニスを受けていた。
私はその性交を固唾を飲んで見つめていた。
腸管の中をごりゅりと太いペニスが入っていくのだ。
妊婦のように腹を膨らました青年が涙を流しながらよがる。
小さな蛇たちが青年をあやすように肌を這って快楽を呼び起こそうとしていた。
萎えた青年の竿を咥え、胸を鱗で押しつぶし、首筋や太ももまでゆっくりと這う。
青年が大蛇のペニスに馴染んだのか、ゆっくりと蛇が動く。その度に中に入っているペニスが腹の中を打つのか、青年が嬌声を上げた。
大蛇がゆっくりと精液を胎に注ぐ。
青年の腹が卵と精液でパンパンになり、大蛇がペニスを引き抜いた。
溢れだした精液が青年の穴からぼたぼたと零れ落ちる。
小さな蛇たちは我先にと穴に群がり腸管を濡らす精液を舐めた。
支配人はこの状況を説明してくれた。
神に連なる大蛇の精液はとても神気に満ちてますからね、ああやって受精に使われなかった精を我先にと取り込むのでしょう。
それに、あの小さな蛇たちは蛇神の子です。
蛇たちにとっては、青年は自分たちを産んだ腹ですからね。
大層居心地が良いのでしょう。甘えたように中に入ってしまうのだと思います。
蛇の性交は長いですからね。ああやって何度も神気を帯びた精液を卵にかけながら、まぐわっていくのです。
そうして、卵はあと数日もすれば青年の腹から産まれます。
これが何度も何度も繰り返されていくのです。
ほうら、その証拠に白蛇は青年にべったりと自分のものだとマーキングしていますね。
蛇神の強い神気に晒された青年は、たまにしか正気は戻りません。
我々は蛇神が交尾をしない間の青年の世話をする代わりに、ああやってサーカスで見世物として奇跡を願うのです。
あぁ、お客様の中にはこうやって大蛇に犯される青年を覗き見ることに興奮してくださる方もいますからね。
我々はサーカスの目玉ができ、青年は人里離れたところで供物として生きる事ができ、蛇神は青年の世話を人間に任せる事ができる。ねぇ、とても効率が良いでしょう?
支配人はこの覗き穴で青年のまぐわいを見せる事ですら、サーカスの見世物として数えているわけか。
あ、たまにね。興奮なされたお客様が、あの青年を味わいたいとおっしゃる方がいらっしゃるんですがね。その昔、何度かご不幸がございましたので、こうして私が見張りも兼ねてご一緒させてもらっている訳です。
見るまでは赦すが、触れる事は蛇神が赦さないという訳か。
卵を抱えた孕み腹を、青年がとろりとした表情で撫でる。
小さな蛇たちが青年の穴から精液でべたついた身体で這い出ると、再び大蛇の太いペニスが青年の腸管に挿入される。
だんだんと青年の喘ぎ声に甘さが滲む。
おそらく、何日もこの光景は続くのだろう。
繰り返される蛇との性交。
ふと、支配人に青年の事を尋ねる。
青年は、蛇神の孕み袋となったことをどう思っているのだろうか。
支配人は困ったように笑った。
彼は、サーカスの前の支配人から譲り受けたのだと。
青年は、蛇神の孕み袋にされてからずっと同じ年頃で時が止まっているらしい。
支配人は彼がここに来た経緯を教えてくれた。
その支配人も前の支配人から引き継いだので正直なところはわからないのですが……ただ、随分と昔には、村で蛇神に祟られた者として相当肩身の狭い生活をしてきたというのです。
あの蛇神は祟る強い神気を持っていますので。扱いを悪くして村に疫病が流行ったりね。
ですが今では大人しいものです。
蛇神は青年さえ与えていれば祟らないので。
それにね、青年だってそうです。
ああやって、嬉しそうに大蛇の子を孕んでいるでしょう?
ね、誰も不幸にならないでしょう?
にこりと笑う支配人に、私は返す言葉が出なかった。
ただ、蛇に孕まされた腹を嬉しそうに撫でる青年の姿をじっと垣間見ていた。
※男性への卵孕ませなども含まれます。
全部いける方向けのお話です。
闇BL企画参加作品です。
蛇腹綺譚
異類婚姻譚を集めている私があるサーカスを知ったのは風の冷たい夜の事だった。
特別な客しか出入りが許されないナイトクラブの一角で酒を飲んでいたところ、私の学者としての肩書きを知っていたのか、身なりの良い男が隣に座り、一枚のチケットを差し出してきた。
どうやらそのサーカスは酷く特別なサーカスのようで、世にも美しい者から醜悪な者までありとあらゆる不思議が集められているという。
サーカスなどにはあまり興味がなかった私が曖昧に微笑んでいると、男が蛙のようなねとりとした笑みを浮かべて囁いた。
そのサーカスには蛇を自在に操る美しい青年がいるのですが、どうやら蛇神に祟られた者のようで……貴方のお探しの奇譚にぴったりではございませんか? と。
蛇神に祟られたとの言葉で真剣みの増した眼差しでサーカスについて訪ねてみると、男は得意そうに話し出した。
いわく男は世界中にいるサーカスのパトロンの一人で、たまたまそのチケットに書かれた日時に参加できないという。
捨てるには惜しく、かといってただの友人にやるには惜しい。
その筋では有名な私が今日ここで飲んでいると聞き、せっかく譲るのならば役立てて欲しいとチケットを差し出してきたという訳だった。
見返りはなにかと探ってみれば、どうやら物書きをしている私の友人のファンだということで、彼のサイン本が欲しいとの事だった。
確かに友人は自身のサインを嫌い、世にも数点しか出回っていない。私が頼めば酷く嫌そうな顔をしながらも応じてくれるだろう。
友人へ贈る賄賂代わりの高い酒とこのサーカスのチケットを考えたときに、蛇を操る青年への興味が勝った。
私は男の差し出すチケットを手に取った。
航空券を手配しその国へ飛べば、香辛料の匂いがした。
空港からさらに車で5時間ほど走らせた山奥で、そのサーカスは開催されるらしい。
こんな山奥で……と、トランクを押しながら向かえば、たどり着いたのは開幕寸前の時間帯であった。
特別なサーカスということで、客層は裕福層が多く、客席数は普通のサーカスに比べたら少ないものの、テントの中は満席に近かった。
始まったサーカスの演目は物珍しいものではあったが、心惹かれるものは少なかった。
確かに美しい者は今までに見たことがないほど、醜い者も稀とは思うが障るほどでもなく、命の保証のない出し物も特出して言う程のものはなかった。
只一つ、虚ろな表情をした美青年が操る蛇については目に留まるものがあった。
白い漢服を着た青年が手を差し伸ばすだけで、見事に育った蛇たちが隊列を組む。
障害物なども意にせず行進し、意のままに操る様は圧巻だった。
そうして、最後にふわりとその場に現れたのは、人を丸のみできるほどの白い大蛇。
この世の裏側を探っていれば、怪談や奇談にはたどり着く。けれどもそのぞわりと鳥肌の立つような感覚は間違いなくその大蛇が『本物』であると指し示していた。
こんなところで出会うとは思わなかった神威の存在に驚きつつ、最後まで演目をじっと見続けていた。
時間としては一時間か二時間程か、見終わって大幕から出れば、支配人らしき身なりの良い男が声を掛けてきた。
私にチケットを譲ってくれた男というのは太客のパトロンだったらしく、特別にサーカスの裏側を見せてくれるという。
お客様にくれぐれも粗相のないようにと仰せつかっております。
この先は本当に特別な方しかお通ししておりません。ですが、お客様は大変その界隈では有名な学者先生でございますので、きっと何かのお役に立てる事でしょう。
そう言った支配人に研究資料に使っても良いか? と尋ねれば、もちろんようございます。と快諾が得られた。
何分、世間の皆様には我がサーカスはすべてフィクションの事と思われるでしょうから。
そう支配人は笑うと、案内のために少し前を歩き始めた。
サーカスの演目を披露した大きな幕から離れ、サーカスの団員達の小さなテントの群れを越えてずっと行くと、ぽつりと一つだけ隔離されたような場所に小さなテントが張られていた。
支配人が手招きをするので見てみると、出入り口付近のちょうど目線の辺りに布を充てている部分があったので、そこを捲るように勧められる。
布を捲れば人が覗けるほどの穴が空いていたので支配人に意図を尋ねると、サーカスで演目を披露した後はいつもこうなのです。覗いたって構いません。こうなっては白は気づきませんので。ただしそっと除きみてください。大きな音を立てないように。『中のもの』は目は悪いですが音には敏感なので。
支配人が別の覗き穴で見始めたので、私も恐る恐る覗き穴を垣間見る。
思わず声を上げそうになるのを口を抑えて止める。
中には人間は一人しかいなかった。
一人の青年が無数の蛇とまぐわっている。
白い漢服の裾には細い蛇が何匹も蠢き、はだけられた服の合間からは蛇が滑らかな肌に纏わりつく様が見てとれた。
青年の首筋から這い出た蛇は愛おしそうに頬を撫で、もぞりと衣の下を別の蛇がなぞる。
覗き穴から目を外すと、支配人を見る。
蛇を操るとは、そう或るように願うことですからね。
対価が必要なのです。青年はサーカスの舞台が終わった後は、いつもこうやって贖っているのです。
どうぞ、まだ始まったばかりですから。
そう言うと支配人が大層ねとりとした笑いを浮かべる。
私は少々戸惑いながらも覗き穴を再び除き始めた。
青年は小さく喘ぎながら子どもの腕ほどの蛇を咥える。
喉の奥まで入っているのか、その細い喉元が太い物を飲み込まされてぷくりとしている。
服がさらにはだけて、下には何も着ていないのか、白い太腿などがさらされる。
蛇の中には青年の涙を流す竿をくぷりと飲み込み愛撫を施す者もいれば、その下生えの先、窄まりに頭を入れてぬちぬちと奥まで貫こうとしていたものもいた。
細い身体が蛇に蹂躙されている。
もう一匹の蛇がちろちろと二股の舌を覗かせて、ぐぷりと肛門に頭を捩じ込む。
ギチギチと音がしそうなほどにそこは広がり、二匹目の蛇も腹の中に入っていく。
びくっとその衝撃に果てたのか、青年が震える。
青年の竿を離した蛇は白濁を美味そうに飲み干すと少し離れる。そうするとまた別の蛇がとろとろと白濁を零す亀頭をかぷりと咥えるのだ。
二匹目の蛇を咥えた肛門は皺も無い程に広がっているのに、三匹目が頭で括約筋を広げながらみちりと中に入り込む。
すると最奥まで蛇で満たされたのか、薄い腹に蛇の形がぼこりと浮き出た。
細い腰を締め上げる蛇は胸元の小さな乳首を鱗で愛撫を施し、さらにと肌に痕を付けていく。
腕や脚まで青年の白い肌を蛇が這っていく。
ねぇ、お客様、大変淫らでしょう?
蛇は決して彼を害しません。
ああやって蛇たちは青年が誰の物なのかを身体に教え込んでいるのですよ。
支配人が再び話しかけた。
私はそっと小さく彼は蛇の物なのですか? と尋ねれば、支配人は声だけで笑ったようだった。
穴がほぐれれば、主が出てきますよと。
青年が蛇たちとまぐわっている姿を垣間見ていると、立ち込める様な畏怖の存在を感じた。
狭いテントの中を取り巻く様な、濃厚な神の気配。
胴が青年の腰ほどある白い大蛇がとぐろを巻いていた。
蛇たちを押しつぶしてもおかしく無いのに、その白い蛇はただそこに体現していた。
存在感は強いのに、質量は無い。その不可解な気配に唾を飲み込む。
あぁ、彼に付いている蛇神だろうか。
大蛇が体現すると蛇たちはわきまえているかのように、青年の身体から這い出てくる。
喉奥を犯していた蛇も這い出てきて、んんっと青年が小さく声を上げた。
三匹でずるりずるりと中を犯していた蛇も穴から出てくる。
ぬちりと蛇が抜け落ち腸液でぬめるそこは、くぱくぱと開ききっていて、まるで男を誘うかのようであった。
青年がとろりとした瞳で現れた白い大蛇の口に唇を落とす。
大蛇は青年を丸呑みできるほどの大きな口を薄く開け、二股に別れた舌を青年の口に入れると、喉奥まで舌を伸ばした。
大蛇は青年をゆるく囲うようにとぐろをまくと、腹の中腹のスリッドから二本の逞しいヘミペニスが現れた。
太く立派なそれは、片方だけで女性の腕程の大きさだ。
青年はそれを自由になった腕でゆっくりとなぞる。
青年の腹を犯していたのは三匹の蛇。
確かに、この大蛇のものを受け入れるにはそれが飲み込めるほどに拡張しないと入らないのだろう。
支配人が嬉しそうにあれがあの細身の青年の中に納まるのですよ。すごいでしょう? と小声で話した。
しかも、あの大蛇は両性具有。青年の腹に卵を産み付けて、自身の精で受精させるのです。
なるほど。
神に連なる存在が、何故あの青年を選んだのかはわからない。ただ、自身の卵を孕ませるためにあの青年に憑いているというのならば話は分かる。
じっと覗き穴から見ていると、蛇のペニスが青年に擦りつけられる。
青年は身体を開き、自身の穴を広げた。
大蛇の片方のペニスが青年の尻穴に飲み込まれる。
青年が苦しげに息を吐いた。
広げられた腸管はその太く棘が逆立つペニスを必死に飲み込む。ぐぽんっと腹の奥が抜けたのか、結腸の先までペニスを飲み込むと、青年が息を吐く。
大蛇はゆっくりと青年を真綿で包むように締め上げる。
蛇の性交はゆっくりと何日も掛けてまぐわうと言われている。
じわりじわりと青年の腹を行き来する。
そうしてぽこり、ぽこりと青年の腹にわずかに浮き出る何か。
先ほど、支配人が両性具有とこの蛇神を称した。つまり、ペニスの片方を卵管の代わりにしているのか。
青年は、大蛇に卵を産みつけられていた。
あっあっんっ……いっぱい……あうっ……。
喉奥から蛇の舌を引き抜かれた青年は、涙を零しながら喘いでいる。
ゆっくりと引き抜かれても、腹がみちみちと卵で膨れている。
ヘミペニスのもう片方は先ほど卵管代わりのペニスよりも太く、成人男性の腕程の大きさであった。
そちらを挿入される時には青年は悲鳴のような声を上げた。
涙を零し、長い黒髪を振りながら、ただただ暴力的なまでに逞しいペニスを受けていた。
私はその性交を固唾を飲んで見つめていた。
腸管の中をごりゅりと太いペニスが入っていくのだ。
妊婦のように腹を膨らました青年が涙を流しながらよがる。
小さな蛇たちが青年をあやすように肌を這って快楽を呼び起こそうとしていた。
萎えた青年の竿を咥え、胸を鱗で押しつぶし、首筋や太ももまでゆっくりと這う。
青年が大蛇のペニスに馴染んだのか、ゆっくりと蛇が動く。その度に中に入っているペニスが腹の中を打つのか、青年が嬌声を上げた。
大蛇がゆっくりと精液を胎に注ぐ。
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小さな蛇たちは我先にと穴に群がり腸管を濡らす精液を舐めた。
支配人はこの状況を説明してくれた。
神に連なる大蛇の精液はとても神気に満ちてますからね、ああやって受精に使われなかった精を我先にと取り込むのでしょう。
それに、あの小さな蛇たちは蛇神の子です。
蛇たちにとっては、青年は自分たちを産んだ腹ですからね。
大層居心地が良いのでしょう。甘えたように中に入ってしまうのだと思います。
蛇の性交は長いですからね。ああやって何度も神気を帯びた精液を卵にかけながら、まぐわっていくのです。
そうして、卵はあと数日もすれば青年の腹から産まれます。
これが何度も何度も繰り返されていくのです。
ほうら、その証拠に白蛇は青年にべったりと自分のものだとマーキングしていますね。
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我々は蛇神が交尾をしない間の青年の世話をする代わりに、ああやってサーカスで見世物として奇跡を願うのです。
あぁ、お客様の中にはこうやって大蛇に犯される青年を覗き見ることに興奮してくださる方もいますからね。
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支配人はこの覗き穴で青年のまぐわいを見せる事ですら、サーカスの見世物として数えているわけか。
あ、たまにね。興奮なされたお客様が、あの青年を味わいたいとおっしゃる方がいらっしゃるんですがね。その昔、何度かご不幸がございましたので、こうして私が見張りも兼ねてご一緒させてもらっている訳です。
見るまでは赦すが、触れる事は蛇神が赦さないという訳か。
卵を抱えた孕み腹を、青年がとろりとした表情で撫でる。
小さな蛇たちが青年の穴から精液でべたついた身体で這い出ると、再び大蛇の太いペニスが青年の腸管に挿入される。
だんだんと青年の喘ぎ声に甘さが滲む。
おそらく、何日もこの光景は続くのだろう。
繰り返される蛇との性交。
ふと、支配人に青年の事を尋ねる。
青年は、蛇神の孕み袋となったことをどう思っているのだろうか。
支配人は困ったように笑った。
彼は、サーカスの前の支配人から譲り受けたのだと。
青年は、蛇神の孕み袋にされてからずっと同じ年頃で時が止まっているらしい。
支配人は彼がここに来た経緯を教えてくれた。
その支配人も前の支配人から引き継いだので正直なところはわからないのですが……ただ、随分と昔には、村で蛇神に祟られた者として相当肩身の狭い生活をしてきたというのです。
あの蛇神は祟る強い神気を持っていますので。扱いを悪くして村に疫病が流行ったりね。
ですが今では大人しいものです。
蛇神は青年さえ与えていれば祟らないので。
それにね、青年だってそうです。
ああやって、嬉しそうに大蛇の子を孕んでいるでしょう?
ね、誰も不幸にならないでしょう?
にこりと笑う支配人に、私は返す言葉が出なかった。
ただ、蛇に孕まされた腹を嬉しそうに撫でる青年の姿をじっと垣間見ていた。
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