烈火の大東亜

シャルリアちゃんねる

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41話:和平協定

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    そのころアメリカでは、ミッドウェーの敗戦を機に、アメリカ
    世論及び、各軍上層部が、停戦に傾いていた。
       
    これを機に、日本による東シベリアの攻撃を待たずして
    ハーバード・フーヴァーがフランクリン・ルーズベルトの、
    太平洋戦争を起こした本当の理由は、ヨーロッパに参戦する
    ためであるとして、ルーズベルトの戦争責任を言及したのである。

    更には彼は、日本には数年以上未来を予見できる人間が、複数
    いることを、アメリカ国民、軍上層部等に述べ、このまま戦争を
    継続すると、大変なことが起きると発表した。

    極端には、このまま戦争を継続すると、人類そのものの存在の
    危険性も、訴えた。

    そして心身ともに疲労がたまり切っていたルーズベルトは、
    急死したのである。

    大統領に副大統領であった、ハリー・トルーマンが、
    就くのが通例であったが、フーヴァーはこれに反対して、
    世論に訴えかけた。

    ルーズベルトと同じ民主党のトルーマンは、ルーズベルトの意志を
    大きく反映しており、ある日本人によればルーズベルトは日本の
    十数都市に、原子爆弾の投下を承認しており、未来の読めるその
    日本人によれば、トルーマンは、この大戦で日本が配色濃厚と
    なってから、日本の、広島と長崎に、原子爆弾を投下していた
    と述べた。

    このため、フーヴァーは時期外れで急であるが、大統領選を
    国民に訴えかけ、次期大統領が選出されるまで、前大統領で
    あった自分が、臨時にその任につくことを提案した。

    世論はこれに伴い、フーヴァーを臨時の、仮大統領に選び、
    アメリカ国内では、大統領選が行われることとなった。

    これには、トルーマンも立候補しており、フーヴァーは同じ
    共和党の、ドワイト・アイゼンハワーを後押しした。

    アイゼンハワーは当初これに消極的であったが、フーヴァーの
    強い要望により出馬を決意した。
       
    またアイゼンハワーは、共産主義に寛大、ともいわれていたが、
    フーヴァーは、それについては、本人にも言及しなかった。

    そして大統領選が行われ、トルーマン、ロバート・タクト等の、
    有力な候補を破り、アイゼンハワーが選出され、アメリカ大統領
    となったのであった。

    フーヴァーは、アイゼンハワーに、日本との和平締結と、
    連合軍からの撤退と、中立を説いた。

    それは、日本のこれからの三国軍事同盟からの撤退、
    よくすれば三国軍事同盟の破棄の促進の可能性を、
    訴えるものであった。

    アイゼンハワーはこれを受け入れて、国民の世論と軍部の意見を
    糾合し、日米和平の締結の道を模索し、これを決意したので
    あった。 

    ルーズベルトは、トルーマンに、死ぬ間際こう言い残して、
    この世を去っていたのであった。
 
    ・・いつの日か君の手でこの屈辱を・・
    
    またイギリスでは、インド洋方面での日本との交戦において、
    大敗北を喫したことにより、ウィンストン・チャーチル首相の、
    進退が問題視されていた。

    しかし現実問題、大英帝国を誇るイギリスにおいて、一海戦の
    敗北は、政治的にはそれなりに大きな問題ではあっても、
    軍事的には、事実上大した問題ではなかった。

    ただしヨーロッパにおいては、ドイツ、イタリアの驚異を排除
    せねばならなかったが、これは実際ソ連の力を一番頼りに
    しており、逆方向からのソ連の攻撃に期待していた。

    アジアにおいては、日本の勢いに押されており、頭を悩ませる
    ところではあったが、これもアメリカが一番頼りになり、
    これに期待していた。

    このため、イギリスは世界に、既に各方面に大きく国力を
    有しており、軍事において、実際は富国強兵に努めていれば
    よく、これをし得る環境でもあった。

    このため、チャーチルはこれを、国民に説き、自分が責任を
    持って行うと宣言し、自分が首相の席についている以上、
    大英帝国は、揺らぎもしないとして、国民の世論を集め、
    その席から陥落することはなかったのである。
   
    そして日本では、ミッドウェー海戦以前から陸軍(特に統制派)
    と海軍は対立していたが、ミッドウェー海戦に勝利し、圧倒的な
    力を得た海軍は、陸軍皇道派と親英米派を支援して、
    人道的な人物たちではあったが、政治的な問題で、
    東条英機、永田鉄山ら、統制派中枢を免職したのであった。
    日独伊三国軍事同盟を締結してその責任を東条内閣に丸投げして、
    数々の策謀を練っていた東条内閣の前首相の近衛文麿は、
    この時に逮捕され中華民国に追放されたのである。

    海軍の介入もあり、陸軍では皇道派の力が、小さなものでは
    なくなり、陸軍に対し大きく発言力を、持つようになった。

    そしてその後、陸海軍の後押しもあり、吉田茂が内閣総理大臣に
    なった。

    吉田は、海軍の、このまま米国と戦争を続けて長期戦になると、
    国力等の差で、日本は勝ち目は大きくなく、日本が生き残る
    道は、日米和平しかない、との意見によく耳をかたむけた。
   
    吉田は、三国軍事同盟の破棄を、ドイツ、イタリアに訴えたが、
    ドイツのヒトラーと、イタリアのムッソリーニは、この条件を、
    受諾(じゅだく)しなかった。、

    吉田はこのため、日本は単独で、三国軍事同盟からの、
    撤退を決意し、これを実行した。       
    この吉田はこの後、初めての大日本国憲法の改正を行い、
    軍部大臣現役武官制等を廃止等改め、日本は完全な文民統制に
    なったのである。
    これは一見日本国において平穏が訪れたように見えるが陸軍が
    実際は平和的であったという見方がこの時代の未来になされて
    おり、必ずしも米国との和平への最善な経過ではなかったが
    海軍を背景になんとかなったのである。

    そしてついにハワイにおいて、
    吉田茂と、ドワイト・アイゼンハワーは、交渉をした。

    交渉の内容は、日本が三国軍事同盟から撤退して、生産過剰国の
    アメリカから、大東亜共栄圏において、物資を輸入し、
    アメリカへの、軍事的攻撃を、停止する。
       
    アメリカは、連合国から撤退して、第二次世界大戦前の様に、
    世界的に中立の立場を保証し、日本への経済的、軍事的攻撃を、
    停止する。

    というものであった。

    それにより、ここに日米の和平が締結された。

    軍部大臣現役武官制:(ぐんぶだいじんげんえきぶかんせい)
    軍部大臣現役武官制とは、大日本帝国憲法下の日本において
    制定されていた、軍部大臣(陸軍大臣・海軍大臣)の就任資格を
    現役の大将・中将に限定する制度である。

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