ナイショの妖精さん

くまの広珠

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3 真実を追いかけて

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 浅山が近づいてくる。


 葉の落ちた木々が間近にせまってきて、すぐに道は、雑木にかこまれる。

 アスファルトのくねくね道のわきに、「浅山登山道」という立て札が出ていた。

 そこからつづく細い土の道を、あたしはのぼっていく。

 急なのぼり坂に、胸はすぐに悲鳴をあげる。痛いふくらはぎで、のぼってものぼっても、木々にかこまれた道はつづいていく。


 登山道の左横が開けた。

 一面に広がるヒースの茂みが、冬風にゆれている。

 奥に、赤茶けたレンガ造りの壁が見えた。同じ大きさのアーチ状の入り口が横に四つならんでる。

 浅山の戦争遺跡。第二次世界大戦中につかわれていたっていう砲弾倉庫跡。


 ここであたしは、ヨウちゃんと妖精を見た……。


「ヨウちゃん、いる……?」


 砲弾倉庫跡の部屋の中を一番右端から、順々にのぞきこむ。

 中はがらんどう。電気もなにもない、なにも置かれてない、車庫みたいに四角い部屋。

 夜の寒さからしのげるところっていったら、ここしか思いつかなかったんだけど。


 ……いない。


 それに、倉庫跡の中はひんやりと冷たい空気がとどこおっていて、外よりも寒いくらい。

 一番左端の倉庫跡をのぞきこんで、あたしは足をとめた。

 真ん中に、銀色の粉がチカチカと光っている。


 ……妖精の……りんぷん……?


 中に入るあたしの足音が、部屋に反響した。

 レンガ造りのゆかの上に、人間の手のひらサイズの何かが落ちている。

 よく見るためにしゃがみこんで、ビクッと体をのけぞらせた。

 妖精の男の子が倒れている。くるくる赤毛のショートヘア。見た目は、小一くらい。葉っぱを体に巻きつけて、つるをベルトにして腰でむすんで。


 この子……羽がないっ!


 銀色のりんぷんの粉だけが、まわりにちらばっていて、その子をぼんやり照らしている。


「ど、ど、どうしてっ!? 」


 背中に羽のはえていた跡がある。だけど、ナイフで切られたみたいに、スパッとつけ根から切り取られている。


 妖精の子が、金魚のように口をパクパクさせた。

 とたん。その体が、銀色の粉にかわった。



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