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62 彼とのデート
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隣でソワソワしたミハイルと朝食を食べると、デートの準備をする。
季節もかなり暖かくなり、薄手のノースリーブのブラウスにロングスカートを合わせる。
血色がよく見えるような化粧もして、もうピアスをしていないので髪をゆるく巻くと、耳にかけるだけにした。
(よし、準備するのも慣れてきたな・・・ミハイルは準備できたかな)
コン、・・・コンーー
ぎこちないノックに笑ってしまい、どうぞーと返事をすると、扉が開く。
ミハイルは目を見開いて口元を押さえていた。
その姿は前にも同じ光景を思い出させる。
「その・・・似合っている、とても可愛い」
「ありがとう、ミハイルもとっても素敵だよ」
真っ赤なミハイルに笑顔で褒め返すと、扉がバタンと閉まり、ミハイルが目の前にやって来る。
照れているミハイルに抱きしめられたので、昨日のように背中に腕をまわした。
今日は前髪を上げているので、いつもより彼の甘い顔立ちが目立つ。シャツとズボンをきっちり着こなす彼から色気が溢れ出ていた。
「ああ、デートの行先は家に決まりだ」
「ええ・・・」(また・・・)
「僕とのデートのために着飾った君は、僕だけに見られるべきだ。誰にも見せたくない!」
「この先、外でデート出来なくなるよ」
「ああ、構わない」
ミハイルが腕を解き、私の姿をじっくり眺めると、少しムッとしていた。
「こんなに露出している君を外には出せない」
「ええ・・・二の腕出てるのダメだった?」
「ダメでは無い。とても良すぎる」
再び私を抱きしめ、二の腕に手が触れる。
「これは・・・」
飽きることなく手が二の腕の柔らかさを堪能しているので、着替え直そうと思った。
「もー、分かったから。着替え直すよ」
「ああ、もう少しだけ」
「はあー、好きだね」
「マールの全てが好きだ」
腕の中から照れる表情を見られ、思わず彼の胸に顔を埋める。
「可愛すぎる!もうダメだ」
「ま、待って!」
そのままベットに押し倒されそうになり、何とか抵抗する。
「デート!経験したかったんじゃ無かったの?」
息を荒らげるミハイルの胸板を押しながら、精一杯伝える。
「ああ・・・そうだった」
そっと離れると、部屋の前で待っていると寂しそうな声が聞こえたので、急いでふんわりとした袖があるブラウスに着替え直す。
部屋を出ると、また見蕩れて動かないミハイルに声をかけた。
「ミハイル、行こう?」
ミハイルの手を取り、歩き出そうとするとさらに動かないので、手を握りながら腕を組むように見上げる。
真っ赤なミハイルは私との距離に、目を見開いて動き出さななくなってしまった。
「ほら!お腹も減ったし、行きたい所もあるの!」
「可愛すぎて、このまま僕は心臓が破裂して死ぬのかもしれない」
「はいはい、ミハイルがいないと困ります」
「それはプロポーズか」
「ええ・・・」
「僕の返事は「はい」だ。君のそばにいるよ」
とてもキラキラと輝く笑顔で返事をされたので、誤魔化すようにミハイルを引っ張って連れ出す。
やっと家から出ることができ、私が握る手を嬉しそうに見ながら、ぎゅっと手を握り歩き出す。
何度も繋いだことがある手はぎこちなくて、とても優しかった。
(私はミハイルと向き合う・・・結婚、するために)
「どこに向かってるんだ?」
「とりあえずお腹が減ったから、お店に食べに行きたいんだけど・・・」
「気にしなくていい。君は僕に薬を盛らないだろう」
「盛る必要ないからね」
「ああ、マールに惚れている」
冗談のつもりが、本気で返されてしまい思わず照れる。
「マールはこういうのに弱いんだな」
「分析しないでよ」
「マールに惚れられたいんだ、いくらでもするさ」
イタズラに笑うミハイルに魅了されそうになっていた。
気になってた可愛らしいアンティークなお店に入り、私が好きな物を選んでくれて注文をする。
「あれ、ミハイルってビーフシチュー好物じゃなかった?」
「普通だ」
「そう・・・なんだ」
「マールはビーフシチューが好きだろう」
「・・・うん。ミハイルは何が好物なの?」
「特にない。だからマールの好物と同じにしよう。こうして一緒に分け合える」
(ミハイルもビーフシチューが好きだったのは、私の好物だから同じにしてたのね・・・)
注文した料理が届き、綺麗に取り分けてくれた料理を食べ進める。
相変わらずミハイルは周りの女性の注目を集めていた。そこでずっと気になっていたことを聞いてみる。
「ミハイルってさ、女性から凄くモテてるのに、本当に今まで良い結婚相手いなかったの?」
「そうだな。僕が恋に落ちる程の女性は、君しか出会ったことがない。今まで家の勧めで見合いを散々してきたが、相手に全く興味が持てなかった。でも最近気付いたんだ。僕は小さい頃からマールのことが好きで、もう恋に落ちていたから他の相手には興味が持てなかったのだと」
直球すぎる返答に、紫の甘い瞳から視線を逸らす。
「そ、そうなんだ、全然そんな風に見えなかったけどね」
(そんな昔から好かれていたなんて、全く分からなかったな)
ミハイルは苦しそうに話し出す。
「人を愛することだけは、昔から学ばなかった。それを理由にしていい訳では無いが、たくさん君を傷付けてしまった・・・すまない」
「うん・・・」
「僕はマールと結婚出来ることが嬉しい」
幸せそうなミハイルの笑顔に、周りの視線を感じる。
「あ、ありがとう。今、お店だからちょっと・・・」
「照れなくていい」
「とにかく食べよう!」
プロボーズをされているかのように周囲の注目を集めているので、食べることに集中して会計を済まそうとする。
「僕が支払おう」
お言葉に甘えて、店を出て待つ。
ぼんやりと暖かい気温を感じながら、ミハイルのことを考える。
(本当に、昔の幼なじみとは思えないくらい変わったな・・・)
それはミハイルが私に恋に落ちたから。
(あの幼なじみと結婚して、ミハイルが夫になる・・・)
いつの間にか店から出てきたミハイルに頬を撫でられ、悩む気持ちを切り替えるように顔を上げた。
「ありがとう、次ご馳走するね」
「いいや、一生僕が支払う。好きな女性に払わせる男はいない。マールの為ならいくらでも払うさ」
その言葉に驚いていると、ミハイルから手を繋いでくれる。
「次は、どこに行く?」
私達は服を見に来ていた。
必要な服が無いことはないが、ミハイルにプレゼントしてもらったものばかりなので、それを今のミハイルの前で着るのは少し後ろめたかった。
「服が欲しいのか?」
「まあね・・・」
「僕のセンスで良ければ・・・選ばせて欲しい」
「うん、お願いします」
店員さんを呼び、見立ててもらうと、そこからミハイルが選んだものを試着する。
蕩けるような笑顔で褒めてくれると、ミハイルは楽しくなったのか気に入った物は全て買い、この店だけでは収まらず何軒も周りクタクタになる。
「買いすぎだよ・・・」
「ふっマールにプレゼントできるのが幸せでつい」
「私が買うって言ったのに・・・ありがとう」
「ああ。今度、僕の服を選んでもらうデートをしよう。妻に選んでもらった服を着るのが楽しみだ」
私の赤くなった顔に満足すると、大量の荷物を魔力の渦に入れ、家に飛ばす。
「凄い魔力だよね。そんなに使って大丈夫なの?」
「これぐらい平気だ。ただ、国王陛下が見たら倒れるだろうな」
「・・・贅沢すぎるよ。私も荷物持つから今度から・・・」
「君に使う魔力は贅沢でも無駄でもない。それに荷物を持つとマールと手を繋げなくなる。それは、困る・・・」
ミハイルに照れるように見つめられ、心臓のときめきを誤魔化すように歩き出すと彼に手を繋がれたので、私は指を絡めるように繋ぎ直した。
「なっ・・・!」
ミハイルは真っ赤になり立ち止まるので、私も一緒に隣に止まる。
「これは、とてもドキドキする・・・な」
「ふふっ」
「マールも僕にドキドキしてくれて、いるのか?」
「内緒」
「くっ・・・」
絡めている指をグッと握られ、引き寄せられると、ミハイルの顔が近くなった。
「今日はこのまま、僕の家に来てくれないか?」
今度は私が照れる番だった。
季節もかなり暖かくなり、薄手のノースリーブのブラウスにロングスカートを合わせる。
血色がよく見えるような化粧もして、もうピアスをしていないので髪をゆるく巻くと、耳にかけるだけにした。
(よし、準備するのも慣れてきたな・・・ミハイルは準備できたかな)
コン、・・・コンーー
ぎこちないノックに笑ってしまい、どうぞーと返事をすると、扉が開く。
ミハイルは目を見開いて口元を押さえていた。
その姿は前にも同じ光景を思い出させる。
「その・・・似合っている、とても可愛い」
「ありがとう、ミハイルもとっても素敵だよ」
真っ赤なミハイルに笑顔で褒め返すと、扉がバタンと閉まり、ミハイルが目の前にやって来る。
照れているミハイルに抱きしめられたので、昨日のように背中に腕をまわした。
今日は前髪を上げているので、いつもより彼の甘い顔立ちが目立つ。シャツとズボンをきっちり着こなす彼から色気が溢れ出ていた。
「ああ、デートの行先は家に決まりだ」
「ええ・・・」(また・・・)
「僕とのデートのために着飾った君は、僕だけに見られるべきだ。誰にも見せたくない!」
「この先、外でデート出来なくなるよ」
「ああ、構わない」
ミハイルが腕を解き、私の姿をじっくり眺めると、少しムッとしていた。
「こんなに露出している君を外には出せない」
「ええ・・・二の腕出てるのダメだった?」
「ダメでは無い。とても良すぎる」
再び私を抱きしめ、二の腕に手が触れる。
「これは・・・」
飽きることなく手が二の腕の柔らかさを堪能しているので、着替え直そうと思った。
「もー、分かったから。着替え直すよ」
「ああ、もう少しだけ」
「はあー、好きだね」
「マールの全てが好きだ」
腕の中から照れる表情を見られ、思わず彼の胸に顔を埋める。
「可愛すぎる!もうダメだ」
「ま、待って!」
そのままベットに押し倒されそうになり、何とか抵抗する。
「デート!経験したかったんじゃ無かったの?」
息を荒らげるミハイルの胸板を押しながら、精一杯伝える。
「ああ・・・そうだった」
そっと離れると、部屋の前で待っていると寂しそうな声が聞こえたので、急いでふんわりとした袖があるブラウスに着替え直す。
部屋を出ると、また見蕩れて動かないミハイルに声をかけた。
「ミハイル、行こう?」
ミハイルの手を取り、歩き出そうとするとさらに動かないので、手を握りながら腕を組むように見上げる。
真っ赤なミハイルは私との距離に、目を見開いて動き出さななくなってしまった。
「ほら!お腹も減ったし、行きたい所もあるの!」
「可愛すぎて、このまま僕は心臓が破裂して死ぬのかもしれない」
「はいはい、ミハイルがいないと困ります」
「それはプロポーズか」
「ええ・・・」
「僕の返事は「はい」だ。君のそばにいるよ」
とてもキラキラと輝く笑顔で返事をされたので、誤魔化すようにミハイルを引っ張って連れ出す。
やっと家から出ることができ、私が握る手を嬉しそうに見ながら、ぎゅっと手を握り歩き出す。
何度も繋いだことがある手はぎこちなくて、とても優しかった。
(私はミハイルと向き合う・・・結婚、するために)
「どこに向かってるんだ?」
「とりあえずお腹が減ったから、お店に食べに行きたいんだけど・・・」
「気にしなくていい。君は僕に薬を盛らないだろう」
「盛る必要ないからね」
「ああ、マールに惚れている」
冗談のつもりが、本気で返されてしまい思わず照れる。
「マールはこういうのに弱いんだな」
「分析しないでよ」
「マールに惚れられたいんだ、いくらでもするさ」
イタズラに笑うミハイルに魅了されそうになっていた。
気になってた可愛らしいアンティークなお店に入り、私が好きな物を選んでくれて注文をする。
「あれ、ミハイルってビーフシチュー好物じゃなかった?」
「普通だ」
「そう・・・なんだ」
「マールはビーフシチューが好きだろう」
「・・・うん。ミハイルは何が好物なの?」
「特にない。だからマールの好物と同じにしよう。こうして一緒に分け合える」
(ミハイルもビーフシチューが好きだったのは、私の好物だから同じにしてたのね・・・)
注文した料理が届き、綺麗に取り分けてくれた料理を食べ進める。
相変わらずミハイルは周りの女性の注目を集めていた。そこでずっと気になっていたことを聞いてみる。
「ミハイルってさ、女性から凄くモテてるのに、本当に今まで良い結婚相手いなかったの?」
「そうだな。僕が恋に落ちる程の女性は、君しか出会ったことがない。今まで家の勧めで見合いを散々してきたが、相手に全く興味が持てなかった。でも最近気付いたんだ。僕は小さい頃からマールのことが好きで、もう恋に落ちていたから他の相手には興味が持てなかったのだと」
直球すぎる返答に、紫の甘い瞳から視線を逸らす。
「そ、そうなんだ、全然そんな風に見えなかったけどね」
(そんな昔から好かれていたなんて、全く分からなかったな)
ミハイルは苦しそうに話し出す。
「人を愛することだけは、昔から学ばなかった。それを理由にしていい訳では無いが、たくさん君を傷付けてしまった・・・すまない」
「うん・・・」
「僕はマールと結婚出来ることが嬉しい」
幸せそうなミハイルの笑顔に、周りの視線を感じる。
「あ、ありがとう。今、お店だからちょっと・・・」
「照れなくていい」
「とにかく食べよう!」
プロボーズをされているかのように周囲の注目を集めているので、食べることに集中して会計を済まそうとする。
「僕が支払おう」
お言葉に甘えて、店を出て待つ。
ぼんやりと暖かい気温を感じながら、ミハイルのことを考える。
(本当に、昔の幼なじみとは思えないくらい変わったな・・・)
それはミハイルが私に恋に落ちたから。
(あの幼なじみと結婚して、ミハイルが夫になる・・・)
いつの間にか店から出てきたミハイルに頬を撫でられ、悩む気持ちを切り替えるように顔を上げた。
「ありがとう、次ご馳走するね」
「いいや、一生僕が支払う。好きな女性に払わせる男はいない。マールの為ならいくらでも払うさ」
その言葉に驚いていると、ミハイルから手を繋いでくれる。
「次は、どこに行く?」
私達は服を見に来ていた。
必要な服が無いことはないが、ミハイルにプレゼントしてもらったものばかりなので、それを今のミハイルの前で着るのは少し後ろめたかった。
「服が欲しいのか?」
「まあね・・・」
「僕のセンスで良ければ・・・選ばせて欲しい」
「うん、お願いします」
店員さんを呼び、見立ててもらうと、そこからミハイルが選んだものを試着する。
蕩けるような笑顔で褒めてくれると、ミハイルは楽しくなったのか気に入った物は全て買い、この店だけでは収まらず何軒も周りクタクタになる。
「買いすぎだよ・・・」
「ふっマールにプレゼントできるのが幸せでつい」
「私が買うって言ったのに・・・ありがとう」
「ああ。今度、僕の服を選んでもらうデートをしよう。妻に選んでもらった服を着るのが楽しみだ」
私の赤くなった顔に満足すると、大量の荷物を魔力の渦に入れ、家に飛ばす。
「凄い魔力だよね。そんなに使って大丈夫なの?」
「これぐらい平気だ。ただ、国王陛下が見たら倒れるだろうな」
「・・・贅沢すぎるよ。私も荷物持つから今度から・・・」
「君に使う魔力は贅沢でも無駄でもない。それに荷物を持つとマールと手を繋げなくなる。それは、困る・・・」
ミハイルに照れるように見つめられ、心臓のときめきを誤魔化すように歩き出すと彼に手を繋がれたので、私は指を絡めるように繋ぎ直した。
「なっ・・・!」
ミハイルは真っ赤になり立ち止まるので、私も一緒に隣に止まる。
「これは、とてもドキドキする・・・な」
「ふふっ」
「マールも僕にドキドキしてくれて、いるのか?」
「内緒」
「くっ・・・」
絡めている指をグッと握られ、引き寄せられると、ミハイルの顔が近くなった。
「今日はこのまま、僕の家に来てくれないか?」
今度は私が照れる番だった。
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