顔だけ美醜逆転の世界で聖女と呼ばれる私

猫崎ルナ

文字の大きさ
23 / 33
不穏な王都編

安心した聖女は次の瞬間絶望する

しおりを挟む



「どうしたんだ!何かあったのか!?」



頭を打ったことで出た悲鳴を聞いたセリナは、私に何かがあったのかと心配し声を荒げる。

その声に対して今あった出来事を説明する私。

セリナさんは私の話を聞いた後に小さくため息を吐いていた。

紛らわしいことをしてごめんねと思いながら、私は気になっていたことを聞くことに。



「どうしてセリナさんがここにいるんですか?見つけたとさっき言っていましたが、もしかして探してくれてたんですか?」



私の問いかけに対しセリナさんは『なんだそんなことかと』言った後、一呼吸置いた後に話し始めた。

セリナさんは話しながら外で何かしてるらしく、時折話が止まったり外からガタガタ聞こえたりしていた。

セリナさんの話をまとめると、私がミミちゃんと庭へ散歩に行って帰ってこないことに皆が気がついた後、各々が私を探すために各所に話をしに行ったらしい。


セリナさんは仲間の騎士達と一緒に『聖女捜索班』に入って探していたらしいのだが、正直言うと話を聞いた時はあまり気が乗らなかったそうだ。

けれど、仕事とプライベートは線引きをするべきだと思っているセリナさんは雑念を一旦置いておき、周りの仲間と手分けして私を探す事にしたらしい。

仲間と城内の様々な場所を探し、最終的には城の裏に広がる森へと捜索範囲を広げたらしい。

森の中にあるのかも分からない痕跡を丁寧に探している時、セリナさんの近くで物音がしたそう。

そちらへ視線を向けると、森の奥へと入ってゆく不審人影を見つけたそうだ。


セリナさんは必死でその人影を追いかけたのだが、気付けば取り逃していたそうだ。


見失う事はあり得ないのに、見失ってしまったのだと言うセリナさん。

その声は自分自身への不甲斐なさの所為なのか、酷く震えていた。


そして完全に単独行動をしてしまったセリナさんは、気を取り直し仲間の元へと急ぎ帰ろうとした。

すると、どこからか甲高い声が聞こえた気がしたらしい。

気のせいかも知れないが、一応確認をする為に周囲を調べる事にしたそう。

気のせいだったら、それはそれで別にいいかと思ったらしい。

そのまま森の奥へと足を運んでゆくと、そこは崖だったそうだ。


もしかするとさっきの不審者はこの崖を降りたのかも知れないとセリナさんは確認のため近づいた。


すると、違和感のある場所を見つけたそうだ。


そこは一見ただの崖だったらしいのだが、なぜか地面をみると人が歩いたような跡があったそう。

しかも、崖のぎりぎりに足跡があったそうだ。


セリナさんはそれを見て強烈な違和感を感じ、その跡と同じ場所に足を置いてみることにしたそう。


すると、セリナさんの視界ではつま先は崖の淵から出ているというのに、なぜか足の感覚は全く違ったそうだ。

このままつま先に体重をかければ普通は転落するのだが、足の感覚ではつま先も地面に完全についている様だったらしい。

視界に見える崖の情報が体をこわばらせていたらしいのだが『騎士として逃げる事は許されないん』と思い、そのまま一歩踏み出したそう。

すると、今までとは視界が一変して知らない場所に出たらしいのだ。


大昔にあった『転移の魔法』。


セリナさんは『今では誰も使えるものはいないとされている転移の魔法が発動した』と私に言った。

そして目の前に小さな石でできた家の様なものがあり、その中から泣き喚く私の声が聞こえたらしい。


私はその話を聞いてセリナさんに感謝をした。

崖から落ちる可能性があったにも関わらず、私を助けるために勇気を振り絞ってくれたのかと。…そう思ったのだ。



「私はここから出られそうですか?」



セリナさんに向けて私がそう言うが、ガタガタと言う音が大きすぎて声が聞こえない。

石の壁を崩してくれているのだろうか?


セリナさんが居るであろう場所にある穴からは陽の光は見えない。


私はここから出られたら先ずはセリナさんに感謝の言葉を言おうと思いつつ、静かに返事を待った。



見つけてもらえたことで安心したからだろうか、私は気がつけば少し寝てしまっていたようだ。

外から聞こえていた大きな音はもう聞こえなくなっていた。



「セリナさん?ごめんなさい、少し寝てしまってたみたい」



私が上に向かってそう言うが、返事はない。

そして、私はある違和感を覚えた。

いつもなら上を向いた時、夜でも数ヶ所の穴から月の光が入っていたはずなのだが…それが一切ないのだ。


おかしい。

おかしい、なんで?おかしい。

いや、違うよね?え?


暗闇の中、今はなんの音も聞こえない。

なんだか少し息苦しい気がする。

こわいこわい、こわい。

だめだ、息を荒げたらだめだ…。でも。


恐怖で荒くなる呼吸と心拍、何も見えない聞こえない状況での恐怖からくる体の震え。

セリナさんがきたことで一瞬安心した私は今、前より一層深い絶望感を味わうことになった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...