上 下
2 / 18

1(裏)、使用人に手で奉仕されました

しおりを挟む
 真面目で気働きのできるエレナにしては、めずらしい冗談だと思った。私の下半身を見て驚愕していたのに、ふたなりの体を厭うことなく、勃起したものの世話まですると言い出したのだから。年上の彼女にからかわれているに違いないと考えたけれど、私を見つめる柔らかな飴色の瞳は真剣そのものだった。
 戸惑う私の上掛けを引き剝がしておちんぽをあらわにしてしまった彼女は、いかにもぎこちない様子で触れてくる。お任せくださいなどと頼もしく言っていたから、こうしたことには慣れているのかと思ってひそかに妬いてしまった。だがその手つきは、明らかに初心だ。

(……っ、冗談でも嘘でもなく、私を想って、してくれているのね)

 メイドとしての責任感からくる行動だとわかっても、エレナにしてもらえる期待と興奮が良心の呵責を上回った。彼女の言葉に甘えたら、どこまで許してもらえるのだろう––。寄せてくれる純粋な信頼を裏切り、邪な気持ちを向けて申し訳ない気持ちはある。しかし私は、いまさらではないかと自嘲した。
 ––私ははじめから、性的な欲望を抱いてエレナを見ていたのだから。

 リュトヴィッツ家が新しい使用人を迎えることはまれだった。代々質素な生活を営んできた家柄というだけでなく、私が精通を迎えてからは、若い女性の使用人は断ってもらっていたためだ。
 領主の娘として社交の場に参加するようになり、私は女性に惹かれる性質なのだと気付いた。性欲が旺盛な自分の世話を年頃の女性にしてもらうとなれば、気が散って仕方がない。父は人を雇い入れるときには必ず私に相談してくれていたから、ほんとうの理由を打ち明けなくても、断ることは難しくなかった。
 私の世話をしてくれていた女性使用人が高齢であることを理由に暇を願い出たのは、七カ月ほど前のことだった。それから半月ほど経つと、リュトヴィッツ家の使用人が不足していると聞きつけた馴染みの仲介所から話があった。一度お会いするだけでも、と朗らかに言う仲介人の顔を立てるため、良い頃合いに話をもらったなと嬉しそうに笑う父とともに、私はしぶしぶエレナとの面会に臨んだのだ。
 彼女を一目見た私は、あまりの衝撃に呼吸を忘れた。肩まで下ろした真っ直ぐな栗色の髪は眩いばかりの光沢があり、飴色の大きな瞳は陽だまりを思わせる穏やかな光を湛えていた。白く滑らかな肌が引き立つ紅色の唇は肉感的で、私より小柄な体は、じつに女性らしい丸みを帯びていた。美しい挨拶の所作も、可愛らしい声も、たまらなく魅力的だった。瞬く間に心を奪われてしまった私は、彼女を欲した。
 胸の裡で渦巻く狂おしい衝動に耐えられるのか不安になったが、この機会を逃してしまえば二度と会うことは叶わない。いつものように意見を求める父に、私はぜひ彼女にお任せしたいですと伝えて、エレナはリュトヴィッツ家に仕えてくれることになったのだ。

 今夜もエレナを思い浮かべて自分を慰めていたのに、本人に見つかってしまうとは不覚だった––。とんでもない事態になってしまったが、予想に反して拒まれなかったことに私は心から安堵した。それだけでなく、何度も夢想したようにエレナに奉仕してもらえるかもしれないと思うと、信じられないほど興奮した。
 中途半端に燻っていた欲望が快感を急かす。強くして欲しいとねだれば、エレナはほっそりとした指に力を込めて上下に扱いてくれた。想い人にしてもらっている事実にも興奮を煽られ、おちんぽを押し付けるように勝手に腰が動いてしまう。加減のわからない彼女は怯むことなく私の反応を窺い、感じる場所を熱心に探そうとする。亀頭を指でくりくりと弄られると強い快感が全身を駆け抜けて、はしたない声を上げてしまった。

「ぁっ♡ ん、……気持ち、いい♡ エレナぁっ♡!」
「ああ、お嬢様……っ♡ それでは、もっといたしますね♡」

 快楽に翻弄されて情けない言葉を口走っても、エレナはさらに私を甘やかしてくれる。夢中で手を動かす彼女の頬は赤く染まり、じわりと潤んでいる瞳も艶めかしかった。
 彼女が時折股を擦り合わせるようにもじもじと動いていることに気付いて、いやらしい気持ちになっているのではないかと期待してしまう。私のおちんぽを扱きながらエレナが下着を濡らしているかもしれないと思うと、激しい情欲が燃え上がった。

「出して、ください♡ わたくしが受け止めます♡♡」

 手で受け止めてくれるつもりなのだとわかっていても、私にはもっと卑猥な意味に聞こえてしまう。無自覚に煽る彼女の状態をたしかめるより先に、私は絶頂へと導かれた。

(っ、射精が、止まらない……♡ こんなに、気持ちいいなんて……♡)

 自分で慰めたときとは段違いの深い快感に腰を震わせて、余韻を味わいつつ息を整える。だらしなく脚を開いたままの私から手を離したエレナは、受け止めてくれた精液をどうしようか思案しているようだった。枕元に置いているタオルで拭き取ろうと思ったが、まだ体に力が入らない。声をかけようとしたところで、エレナはまたしても予想外の行動に出た。

「ぅ……、んっ……♡ ちゅぅ、ぢゅる……っ♡」

 彼女は赤い舌を伸ばして淫靡な音を立てながら、てのひらの精液を舐め取っていく。うっとりとして艶のある表情を見てなけなしの理性が吹き飛んでしまいそうになるのを堪え、慌てて起き上がった私はタオルで彼女の手を拭った。
 シーツを汚したのは私なのに申し訳なさそうにする彼女に、気にしないでと答える。清楚な彼女の妖艶な姿に見惚れていた私は、おちんぽがまたむくりと大きくなってしまったのを感じた。––これ以上一緒にいたら、ほんとうに襲い掛かってしまう。退室を促す私に、エレナは無邪気に止めを刺した。

「では、……またご奉仕させていただいても……よろしいでしょうか?」

 願ってもないことだ。次の機会を待たずにいますぐ奉仕をねだってしまいそうな私は、早鐘のように鳴る心臓を押さえて必死に言葉を呑み下した。

「っ……ええ。また、……お願いするわ」

 こんなときでも、彼女は丁寧な挨拶をして退室する。そんな彼女に卑猥なことをしてもらったのだと思うと、すでに反応していたおちんぽが痛いほど勃起した。扉の閉まる音が聞こえてから、私はエレナの姿を思い出し、手での奉仕をなぞるようにして自慰に耽った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

女子高生に監禁されました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:44

婚約破棄された悪役令嬢は百合ルートを開拓するようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:170

婚約者の義妹に結婚を大反対されています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:51,229pt お気に入り:4,929

たとえば僕が死んだら

BL / 連載中 24h.ポイント:1,073pt お気に入り:40

聖女を召喚したら、現れた美少女に食べられちゃった話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:13

婚約者が相手をしてくれないのでハーレムを作ってみた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:667pt お気に入り:28

『種族:樹人』を選んでみたら 異世界に放り出されたけれど何とかやってます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:184pt お気に入り:3,545

伯爵様は色々と不器用なのです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:37,197pt お気に入り:2,801

処理中です...