私のしあわせ

ぱる@あいけん風ねこ

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season 1

03

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◇◆◇



店長に告白されてから、店長からのアピールがすごい。
休みの日まで店長と会うとか、ほんと。
お店では店長呼びでいいけど、外では名前で呼んでって言われて、京輔さんって呼ぶようになった。
最初は呼び捨てがいいって言われたけど、流石に年上の人に対して呼び捨てなんか出来なくて、妥協案としてさん付けで呼ばせてもらってる。




「お、お待たせしました」
「……!!」
「あ、あの…京輔、さん?」
「っ…やばいやばい可愛い好きやばいちょー好き」
「ちょ、あの?!」




お店以外で会う京輔さんは、年相応とは言えないくらいに大人で、シンプルなのにかっこよくて、私の方こそやばい。

京輔さんは、如何に私のことが好きかをよく言ってくる。
その度に恥ずかしくて耐えられなくなる。
この前なんて、お店で悦子さんにどれだけ私のことが好きか喋ってた。
悦子さんはめんどくさそうに相手にしてたけど。

今日もそうだ。
久しぶりに外で会って(京輔さん曰くデート)、私を見るなり可愛いやら好きを連呼する。
嬉しいけど、恥ずかしい。そして私たちはまだお付き合いしていない。

好きがどうなのかは、もうすでにわかってる。
私も、京輔さんのこと好きだけど、なんか言い出せないでいる。
京輔さんは大人で、私はまだ10代の子供。
釣り合ってないことはわかってるし、たぶん今の年齢でお付き合いしたらダメな気がしてる。
だから、返事をするなら来月がいいと思ってる。
来月には、18歳になるから。




「ふぅ…。よし、行こうか?」
「はい」




情緒が落ち着いたら京輔さんに手を差し出されて、ちょっと緊張しながらその手を取った。
側から見たら恋人同士に見えるのかな?それとも仲の良い兄妹とか?
一応、子供っぽく見えないような服装にはしてきてるけど、どうなんだろ?
京輔さんがロリコンとか思われるのは嫌だし…。




「何見たい?」
「うーん…」
「見たいのないなら、俺の行きたい場所行ってもいい?」
「あ、はい!」




そう言って連れてこられたのは、ジュエリーショップだった。

お店の中に入ると、すごくシンプルな店内で、大人の人が来る場所って即座に思った。私みたいな子供が来る場所じゃない、絶対に。




「あ、あの…京輔さん、ここは…」
「うん。梨恵ちゃんにあげたいのあって」
「ええ?!」




待って。え、待って?!
ジュエリーショップだよ?私にあげたいものってなに…?
もう一度言うけど、私たちお付き合いしてないからね?!




「すみません、予約してた荻原です」
「お待ちしておりました」




カウンターに着いて店員さんにそう声をかける京輔さん。
予約してたって…なにを?え、なに?

混乱したまま、京輔さんに引っ張られるままに席に着いた。

少しして店員さんが持ってきたのは、シンプルだけどとても綺麗なネックレス。
中央には私の誕生石が埋め込まれていた。




「あ…」
「うん。梨恵ちゃん、来月誕生日でしょ?」
「え?」
「早いけど…早く渡したくて」
「京輔さん…」




やばい。何この人。なんでこんなかっこいいのに可愛いの。
恥ずかしそうにでもしあわせそうな笑顔見せないでよ。
私まで恥ずかしいけど嬉しいじゃん。しあわせとか思っちゃうじゃん。もう一度言うけど、お付き合いしてないんだよ?それなのに…そんな…。




「おつけになりますか?」
「えっ?」




店員さんに言われて、京輔さんが優しくネックレスを持ち上げて私につけてくれた。

首元に光る誕生石は、暗すぎず明るすぎない色をしてて、でも角度を変えてみると綺麗な色になって、どんな服の組み合わせにも合うようになってる。




「どう?」
「…綺麗です」
「ずっとつけてて欲しいから、シンプルなものにしたんだ」
「…ありがとう、ございます」
「うん」




あー…やばい。
私、京輔さんのこと好きだ。
こんなに愛されていいのかな。バチ当たらない?
愛されて産まれなかった私が、こんなにしあわせを感じていいのかな。




その後はお昼ご飯食べに行って(渋ってた京輔さん押さえ込んで支払いした)、街の中をぷらぷら歩いて、ちょっと丘になってる場所にきた。




「わ、綺麗ですね!」
「ふふ。でしょ?」
「っ…はい」




高いところから見る自分の住む街は、キラキラしていてとても綺麗。
その中を歩いてると、綺麗には見えないのに、ほんと不思議。




「…梨恵ちゃん」
「はい?」
「こっち向いて?」
「え?」




両手を取られて、京輔さんと目が合う。
真剣で、熱のこもった目が私を見てて、離せなくなった。




「京輔、さん…?」
「俺ね、本当に梨恵ちゃんが好き」
「………」
「5歳も年上だし、何だったら職場の上司だけど、それでも梨恵ちゃんが好き」
「京輔さん…」
「返事はすぐじゃなくていいって言ったけど…一緒にいる時間が長くなるに連れて、我慢出来なくなってきた」
「っ…」
「俺じゃ…だめ?」
「っ…ぁ、あの」
「うん?」
「…だ、ダメじゃない、んですけど」
「うん」
「私、まだ…17で」
「うん」
「…その…犯罪になったり、しませんか?」
「へ…?」




あああああ…雰囲気ぶち壊してるよね?!
わかってる!わかってるんだけど、それがすっごい気になっちゃって…!
だって、世間的には未成年相手って犯罪になるんじゃないの?!
18歳だったら大丈夫だと思うから、だから、あの…ねぇ?




「…うん。そうだね」
「へ?」
「確かに梨恵ちゃんはまだ17歳だったね」
「あ、はい…」




ああー…本当にごめんなさい。
そんな落ち込むとは思いませんでした。
お願いだから悲しい顔しないでください。




「…じゃあ」
「は、い」
「…来月、まだ告白する」
「え?」
「来月には、18歳でしょ?」
「はい…」
「でも…気持ちだけでも聞いていい?」
「えっと…………はい」




気持ちは…伝えても大丈夫なの、かな?
お付き合いしなければ…大丈夫なの?




「えっと…」
「………」
「わ、私も…す、す…っ好き、です」
「っ…うん」
「5歳も、年下だし…京輔さんからしたら、子供ですけど」
「………」
「好き、です」
「っ……ありがとう」
「い、いえ…」
「抱きしめても…いい?」
「ぇっ、あ…は、はい…ど、どうぞ…?」




掴まれてた両手を引っ張られて、そのまま京輔さんの腕の中に収まった。
苦しいくらいに抱きしめられて、京輔さんの腕の中はすごく暖かくて、なんだか急に泣きたくなった。

優しくて暖かくてしあわせで。
こんな気持ちになったことなんかなかったから、嬉しくて。
耳元で京輔さんの息遣いを聞きながら、心が暖かくなるのをずっと感じてた。




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