4 / 26
season 1
03
しおりを挟む◇◆◇
店長に告白されてから、店長からのアピールがすごい。
休みの日まで店長と会うとか、ほんと。
お店では店長呼びでいいけど、外では名前で呼んでって言われて、京輔さんって呼ぶようになった。
最初は呼び捨てがいいって言われたけど、流石に年上の人に対して呼び捨てなんか出来なくて、妥協案としてさん付けで呼ばせてもらってる。
「お、お待たせしました」
「……!!」
「あ、あの…京輔、さん?」
「っ…やばいやばい可愛い好きやばいちょー好き」
「ちょ、あの?!」
お店以外で会う京輔さんは、年相応とは言えないくらいに大人で、シンプルなのにかっこよくて、私の方こそやばい。
京輔さんは、如何に私のことが好きかをよく言ってくる。
その度に恥ずかしくて耐えられなくなる。
この前なんて、お店で悦子さんにどれだけ私のことが好きか喋ってた。
悦子さんはめんどくさそうに相手にしてたけど。
今日もそうだ。
久しぶりに外で会って(京輔さん曰くデート)、私を見るなり可愛いやら好きを連呼する。
嬉しいけど、恥ずかしい。そして私たちはまだお付き合いしていない。
好きがどうなのかは、もうすでにわかってる。
私も、京輔さんのこと好きだけど、なんか言い出せないでいる。
京輔さんは大人で、私はまだ10代の子供。
釣り合ってないことはわかってるし、たぶん今の年齢でお付き合いしたらダメな気がしてる。
だから、返事をするなら来月がいいと思ってる。
来月には、18歳になるから。
「ふぅ…。よし、行こうか?」
「はい」
情緒が落ち着いたら京輔さんに手を差し出されて、ちょっと緊張しながらその手を取った。
側から見たら恋人同士に見えるのかな?それとも仲の良い兄妹とか?
一応、子供っぽく見えないような服装にはしてきてるけど、どうなんだろ?
京輔さんがロリコンとか思われるのは嫌だし…。
「何見たい?」
「うーん…」
「見たいのないなら、俺の行きたい場所行ってもいい?」
「あ、はい!」
そう言って連れてこられたのは、ジュエリーショップだった。
お店の中に入ると、すごくシンプルな店内で、大人の人が来る場所って即座に思った。私みたいな子供が来る場所じゃない、絶対に。
「あ、あの…京輔さん、ここは…」
「うん。梨恵ちゃんにあげたいのあって」
「ええ?!」
待って。え、待って?!
ジュエリーショップだよ?私にあげたいものってなに…?
もう一度言うけど、私たちお付き合いしてないからね?!
「すみません、予約してた荻原です」
「お待ちしておりました」
カウンターに着いて店員さんにそう声をかける京輔さん。
予約してたって…なにを?え、なに?
混乱したまま、京輔さんに引っ張られるままに席に着いた。
少しして店員さんが持ってきたのは、シンプルだけどとても綺麗なネックレス。
中央には私の誕生石が埋め込まれていた。
「あ…」
「うん。梨恵ちゃん、来月誕生日でしょ?」
「え?」
「早いけど…早く渡したくて」
「京輔さん…」
やばい。何この人。なんでこんなかっこいいのに可愛いの。
恥ずかしそうにでもしあわせそうな笑顔見せないでよ。
私まで恥ずかしいけど嬉しいじゃん。しあわせとか思っちゃうじゃん。もう一度言うけど、お付き合いしてないんだよ?それなのに…そんな…。
「おつけになりますか?」
「えっ?」
店員さんに言われて、京輔さんが優しくネックレスを持ち上げて私につけてくれた。
首元に光る誕生石は、暗すぎず明るすぎない色をしてて、でも角度を変えてみると綺麗な色になって、どんな服の組み合わせにも合うようになってる。
「どう?」
「…綺麗です」
「ずっとつけてて欲しいから、シンプルなものにしたんだ」
「…ありがとう、ございます」
「うん」
あー…やばい。
私、京輔さんのこと好きだ。
こんなに愛されていいのかな。バチ当たらない?
愛されて産まれなかった私が、こんなにしあわせを感じていいのかな。
その後はお昼ご飯食べに行って(渋ってた京輔さん押さえ込んで支払いした)、街の中をぷらぷら歩いて、ちょっと丘になってる場所にきた。
「わ、綺麗ですね!」
「ふふ。でしょ?」
「っ…はい」
高いところから見る自分の住む街は、キラキラしていてとても綺麗。
その中を歩いてると、綺麗には見えないのに、ほんと不思議。
「…梨恵ちゃん」
「はい?」
「こっち向いて?」
「え?」
両手を取られて、京輔さんと目が合う。
真剣で、熱のこもった目が私を見てて、離せなくなった。
「京輔、さん…?」
「俺ね、本当に梨恵ちゃんが好き」
「………」
「5歳も年上だし、何だったら職場の上司だけど、それでも梨恵ちゃんが好き」
「京輔さん…」
「返事はすぐじゃなくていいって言ったけど…一緒にいる時間が長くなるに連れて、我慢出来なくなってきた」
「っ…」
「俺じゃ…だめ?」
「っ…ぁ、あの」
「うん?」
「…だ、ダメじゃない、んですけど」
「うん」
「私、まだ…17で」
「うん」
「…その…犯罪になったり、しませんか?」
「へ…?」
あああああ…雰囲気ぶち壊してるよね?!
わかってる!わかってるんだけど、それがすっごい気になっちゃって…!
だって、世間的には未成年相手って犯罪になるんじゃないの?!
18歳だったら大丈夫だと思うから、だから、あの…ねぇ?
「…うん。そうだね」
「へ?」
「確かに梨恵ちゃんはまだ17歳だったね」
「あ、はい…」
ああー…本当にごめんなさい。
そんな落ち込むとは思いませんでした。
お願いだから悲しい顔しないでください。
「…じゃあ」
「は、い」
「…来月、まだ告白する」
「え?」
「来月には、18歳でしょ?」
「はい…」
「でも…気持ちだけでも聞いていい?」
「えっと…………はい」
気持ちは…伝えても大丈夫なの、かな?
お付き合いしなければ…大丈夫なの?
「えっと…」
「………」
「わ、私も…す、す…っ好き、です」
「っ…うん」
「5歳も、年下だし…京輔さんからしたら、子供ですけど」
「………」
「好き、です」
「っ……ありがとう」
「い、いえ…」
「抱きしめても…いい?」
「ぇっ、あ…は、はい…ど、どうぞ…?」
掴まれてた両手を引っ張られて、そのまま京輔さんの腕の中に収まった。
苦しいくらいに抱きしめられて、京輔さんの腕の中はすごく暖かくて、なんだか急に泣きたくなった。
優しくて暖かくてしあわせで。
こんな気持ちになったことなんかなかったから、嬉しくて。
耳元で京輔さんの息遣いを聞きながら、心が暖かくなるのをずっと感じてた。
0
あなたにおすすめの小説
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
こんなはずじゃなかったのに。思わぬ恋のその先は。
あい
恋愛
課長と部下の思いもよらない恋の始まり。
少女漫画好きの初心者が描いている会話を中心とした「漫画風小説」です。
温かく見守って頂けると嬉しいです。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。
彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。
王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは振り返る。
夫と婚姻してから三年という長い時間。
その間に夫が帰宅したのは数えるほどだった。
※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる