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09 - 二学年 一学期 夏 -
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しおりを挟む◇◆◇
「ちょ、大倉!」
「っ…、ごめん」
「いや…大丈夫」
「………っ、」
「ぅわっ、」
手を掴まれたまま図書室まで来て、一瞬の無言の後、力強く引っ張られて抱きしめられた。
大倉、ちょっと震えてる。
「…大倉」
「うん…」
「…大倉、大丈夫だから」
「っ、うん」
「泣くなよなぁ」
「っ…ごめ、ん」
「なんで大倉が謝ってるんだよー」
「航…っ、こう…」
「うん?」
「…むっちゃすき…、すき」
「っ…うん、俺も好きだよ、大倉」
「う、ん…っ」
多分、大倉のごめんは、色々あるんだと思う。
バレたらごめんとか、守れなくてごめんとか、色々。
別に、バレる事も守れなかった事も、俺は気にしてない。
でも大倉の中では、すごい重要な事なんだと思う。
それでもやっぱり、俺は大倉が居てくれたらそれで良いし、痛くも痒くもない。
あー、昔の俺が今の俺見たら卒倒ものだろうなぁ。
こう言う考えが出来るようになったのも、大倉のおかげなんだよ。
その後、涙でぐしゃぐしゃになった大倉は可愛らしくて、俺はずっと大倉の頭を撫でてた。
折角の誕生日なのに、なんかごめんな?大倉。
放課後、なんかこのままデートする気にもなれなくなっちゃって、でも大倉の誕生日だからお祝いはしたくて家に来てもらう事にした。
「こう…、」
「んー?」
「…すき」
「うん」
「ずっとすき…だいすき」
「うん」
家に着いて、母さんに大倉の好物作ってもらうように頼んで、2人で俺の部屋に来た。
今は、俺を後ろから抱きしめたまま、譫言のように好きを繰り返し言ってる。
「な、大倉」
「ん…?」
「俺、本当に平気だからな?」
「………」
「バレたらバレたで別にいいし、大倉に常日頃守ってもらうほどやわじゃなくなったし」
「…うん」
「それに、あの子に色々言えてちょっとスッキリしたし」
「…うん」
「だからもう気にすんな」
「…うん」
「ぃたたっ…ちょ、大倉…腕の力緩めろって…、」
「…むり。我慢して」
「もぉー…」
ダメだな。今日の大倉は甘えモードだ。
ま、誕生日だし、いっか。
◇◆◇
次の日、いつも通りに学校です。
朝、真琴に会った時に昨日の事言ったら「…航ちゃん、成長したねぇ…俺嬉しいよ…うぅっ…」って泣き真似付きで言われた。おい、泣き真似やめろ。
「大倉!おはよ!」
「ん。おはよ」
「うわー…大倉くん、目、パンパン」
「…やっぱ分かる?」
「うん。イケメンが台無し」
「………」
「そんな事ねぇよ!大倉はいつもイケメン!大丈夫!」
「それ、彼氏の欲目だよ、航ちゃん」
「ぅ、」
「んふふ」
そうそう。大倉はそうやって笑ってた方が良いんだって!
俺、大倉に言ったじゃん。笑ってた方が良いって。
その笑顔見て、俺大倉の事可愛いなぁ、なんか好きだなぁって思ったんだから。
「行こ!大倉!」
「うん。行こ」
大丈夫。何があっても大倉から離れないから。
俺も、大倉が1番大切だし、大倉以外考えられないし考えたくもないし。
もうすぐ夏がやって来る。大倉と出逢った夏が。
今年もきっと、楽しい夏になるんだろうな。
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