アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

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09 - 二学年 一学期 夏 -

03

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◇◆◇



それぞれ授業を受け、やっとお昼。
母さんに今日は大倉の誕生日って伝えたらまた張り切って弁当作ってくれた。今回は大倉にも伝えて、大倉のリクエストも反映してるらしい。だからなぜだ。

弁当持って待ち合わせ場所の図書室に向かおうとしたら、目の前に椎名 アリスが現れた。ちょっとこわい。




「あの!」
「っ…、えーっと…?」
「ちょっと良いですか?」
「…あー…手短に、お願いします…」
「………」




何だろう。めちゃくちゃ怖いんですけど?!
無言で着いてこいよ、的な態度取られてるんですけど?!
女の子だよね?!てか、この子1年生だよね?!俺、2年生だよね?!!



連れて来られたのは人気のない端っこの方の廊下。
何となくだけど、これから何言われるのか察してしまった。




「あの…?」
「…あなたは大倉先輩の何なんですか?」
「へ?」
「どうしてそんなに大倉先輩と仲良しなんですか?!」
「えーっと、」
「私見たんです!4月にあなたと大倉先輩が出かけてるところ!」
「あー…」
「どう見ても友達って感じじゃなかった!」
「………、」




あー…あれか。俺の誕生日の日の事かな、もしかして。
確かにあの日は、いつもよりも距離は近かった。
流石に外で手を繋ぐ事は出来なかったから、その代わりに体のどこかが触れるような距離だったのは確かだ。
でも、そんなバレるような感じにはしてなかったはずなんだけどなぁ…。




「あなたがそばに居るせいで大倉先輩は私と恋できないんですよ!」
「………」
「付きまとうのやめてください!!」
「………、」




この子は何を言っているんだろうか…。いや、まぁ…うん。分からなくはないけど、分かりたくないというか。
なんで俺のせいで、大倉はこの子と恋出来ないと思っているのか。
てか、この子すごすぎる。まじでどんだけ自信家なんだろうか。いや、告白の時点で分かっては居たけど…。
なんか、ちょっとイラってする。




「…あのさ、」
「………」
「君が大倉を好きなのはどうぞご自由にって思うよ?」
「………」
「でもさ、その気持ちを大倉に押し付けるのは違くない?」
「はぁっ…?」
「君、大倉に振られてるんだよね?」
「っ、」
「それでも好きなのは…まぁ、自由だからいいけど」
「……、」
「だからって、無理やり自分に振り向かせるとか、自分の方が良いとか言うのは、違くないかな?」
「っ…、」




あ、泣きそうって思った瞬間泣き出した。
うわー…ごめん。女の子泣かせてしまった…。
いやでもさ…真琴から話聞いてる限りと、今のこの感じで思ったのがさ、大倉の気持ちはどうなるの?って事で。
俺と付き合ってるとか抜きにしても、大倉の気持ちをまるで無視して、ただ自分の気持ちを押し付けてるようにしか見えないんだよね。
大倉だって人間だし、誰を好きになるかなんて自由じゃん?それを、「私の方が良い!」って言うのは違うよなぁて思うんだよね。




「あー…ごめ」
「何してんねん」
「ん?」
「…何してんねん」
「あ…、大倉」




ごめんね、と言おうとしたらタイミングが良いのか悪いのか…大倉が来てしまった。
しかもすげー不機嫌。めちゃくちゃ不機嫌。俺怒ってるからって顔してる。




「っ、お、おくらっ先輩…っ」
「…何してんのって聞いてるんやけど」
「大倉先輩っ、助けて…っ!」
「へ…?」




待ってくれ。ちょーっと待ってくれ。
なぜ君が大倉に助けを求めるんだろうか?
確かに泣かせちゃったよ。それはごめん。
でも、それは多分君の中で図星つかれたから泣いただけであって…。
あー…いや、俺も悪いか…うん。結局。女の子泣かせちゃったし。
はぁー…めんどくせぇ…。




「…俺、君に聞いてるんやけど」
「っ、え?」
「…なんで君は航と一緒に居るん?」
「ぁ、の…っ」
「俺の大切な人に何かしたん?」
「っ、」
「あー…大倉、」
「航は黙っといて」
「…はい」




怖いです、大倉さん。
めちゃくちゃキレてます、大倉さん。
あの、クリスマス以来だ、怒ってる大倉見るの。
この場を収めたいけど、多分これ以上声かけたらさらに怒るだろうから声かけられない。
…てか、さっき大倉すごい事言わなかった?気のせい?




「俺、何回も断ってるよね?」
「…っ、」
「付き合うてる人居るから無理って」
「そ、れは…」
「俺、その人しか好きになれへんねん」
「っ、」
「その人以外考えられへんし、考えたくもないわ」
「お、おくらっ、先輩…っ」
「お願いやから、もう俺に関わらんといて」
「ぁ、のっ…でも、わたしっ!」
「無理」
「っ…、」
「…航、行こ」
「え、あ、ちょっ…」




そう言って、俺の手を掴んで歩き出した。
腕じゃなくて手を掴んだのは、きっと大倉なりのサインだと思う。



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