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第三章 王都攻防編
王都コンテスト⑥
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まもなく一行は神殿に着いた。
石で作られた神殿は、大昔から建っていたとは思えないほどの美しさを誇っている。
大理石が磨かれたかのように美しい様は、バルト達を魅了した。
「綺麗な建物ですね。副隊長。それで、全員で入るので?」
バルト達を先頭に、小隊二つは後ろに整列をしている。今はバルトの指示を待っていた。
バルトは、エミリオの言葉を聞きながら神殿を見上げている。
「文献では、神殿に入るとすぐにドラゴンがいるとされている。試練というものがどういうものかわからないが、危険を回避するにはある程度の人数は必要だろうな」
「でしたら、小隊からそれぞれ十数名を選抜したほうが?」
「ああ。伝えてくれ」
バルトの指示でほどなくして人が集められる。当然、そこにはダズルもいた。
バルトは、ダズルをみて思わず眉をひそめた。
「あぁ? なんだよ、その顔は。俺がいちゃ困んのか?」
バルトの表情の変化に気づいたダズルは、すぐさまそこに突っかかる。
「そういうわけではない。だが、中にはいれば何があるかわからない。指示には従ってくれ」
「そんなことは当然だろうが。まぁ、どっかの誰かが手柄を独り占めにしようとしなければな」
にやついているダズルを他所に、バルトは集まった兵達に声をかける。
「ここから先は何が起こるかわからない。今まで誰も持って帰ってこれなかった王の証だ。危険もあるだろう。しかし、ここにいるのは中央騎士団でも精鋭中の精鋭だ。きっと乗り越えられる……。歴史に、俺達の名を刻もう」
「はっ!!!」
ダズル以外の全員がはきはきした返事と共に敬礼をした。
エミリオとカルラは顔を顰めたが、バルトはそれを手で制した。
「では行くぞ! 後に続け!」
バルトはそういって先陣を切る。
エミリオとカルラもそれに続く。数十名が神殿の大きな扉の前に立つと、何もせずとも扉がゆっくりを動き出した。
「おぉ……扉が勝手に」
「この奥にエンシェントドラゴンが……」
兵達が口々につぶやいていた。
バルトはそれを背中で聞きながら誘われるように中に歩みを進めていく。
神殿の中は真っ暗であり、何があるのかは外からだとわからない。
そして、いよいよその暗闇に身を投じようとしたその時――。
「いまだ!!」
ダズルの掛け声とともに、バルトは中に突き飛ばされた。
倒れたまま後ろをみると、取り押さえられているエミリオとカルラ、そして閉じられようとする扉が見えた。
その真ん中にいる光を背中に受けたダズルが、高らかに声を挙げる。
「バルト!! 今まで誰も成しえなかった試練だぞ! そう簡単にできるわけねぇだろうが! せいぜい、中で後悔の念を唱えながら死ぬんだな! 王にはヨハン殿下がなる! 穏健派の貴族達は皆殺しだ! はははははっ!!」
笑い声は続いていたが、扉が閉まるとその声を聞こえない。
バルトは咄嗟に扉に駆け寄るが、いくら力を込めても扉は開かなかった。
「エミリオ! カルラ!」
きっと、自分の声も届いていないのだろう。
そして、ダズルの言葉を聞く限り、これは過激派のクーデターだと思われた。だが、デュランデ家は穏健派の一派だったはずだ。
裏切りか?
王都はどうなる?
一体、何が起こっている?
バルトの脳裏に湧き上がる疑問の答えは決して見つからない。
「くそっ…………」
力任せに扉を叩く。その音が、しんとした神殿の中に響いた。が、バルトはすぐに後ろを振り向く。
ただならぬ気配を感じ、すぐさま剣を抜いた。
「……誰だ」
徐々に暗闇慣れてきた目を凝らすと、ぼんやりと大きな陰が見える。
すると、その陰の近くの灯りがぼんやりと灯った。
そこに浮かび上がったのは、巨大な竜だ。
バルトは、目の前の竜がもつ威圧感に、思わず後ずさった。
「エンシェントドラゴン……」
バルトの呟きに応えるように、エンシェントドラゴンは大きな口を開き、その牙をバルトに見せつけた。
石で作られた神殿は、大昔から建っていたとは思えないほどの美しさを誇っている。
大理石が磨かれたかのように美しい様は、バルト達を魅了した。
「綺麗な建物ですね。副隊長。それで、全員で入るので?」
バルト達を先頭に、小隊二つは後ろに整列をしている。今はバルトの指示を待っていた。
バルトは、エミリオの言葉を聞きながら神殿を見上げている。
「文献では、神殿に入るとすぐにドラゴンがいるとされている。試練というものがどういうものかわからないが、危険を回避するにはある程度の人数は必要だろうな」
「でしたら、小隊からそれぞれ十数名を選抜したほうが?」
「ああ。伝えてくれ」
バルトの指示でほどなくして人が集められる。当然、そこにはダズルもいた。
バルトは、ダズルをみて思わず眉をひそめた。
「あぁ? なんだよ、その顔は。俺がいちゃ困んのか?」
バルトの表情の変化に気づいたダズルは、すぐさまそこに突っかかる。
「そういうわけではない。だが、中にはいれば何があるかわからない。指示には従ってくれ」
「そんなことは当然だろうが。まぁ、どっかの誰かが手柄を独り占めにしようとしなければな」
にやついているダズルを他所に、バルトは集まった兵達に声をかける。
「ここから先は何が起こるかわからない。今まで誰も持って帰ってこれなかった王の証だ。危険もあるだろう。しかし、ここにいるのは中央騎士団でも精鋭中の精鋭だ。きっと乗り越えられる……。歴史に、俺達の名を刻もう」
「はっ!!!」
ダズル以外の全員がはきはきした返事と共に敬礼をした。
エミリオとカルラは顔を顰めたが、バルトはそれを手で制した。
「では行くぞ! 後に続け!」
バルトはそういって先陣を切る。
エミリオとカルラもそれに続く。数十名が神殿の大きな扉の前に立つと、何もせずとも扉がゆっくりを動き出した。
「おぉ……扉が勝手に」
「この奥にエンシェントドラゴンが……」
兵達が口々につぶやいていた。
バルトはそれを背中で聞きながら誘われるように中に歩みを進めていく。
神殿の中は真っ暗であり、何があるのかは外からだとわからない。
そして、いよいよその暗闇に身を投じようとしたその時――。
「いまだ!!」
ダズルの掛け声とともに、バルトは中に突き飛ばされた。
倒れたまま後ろをみると、取り押さえられているエミリオとカルラ、そして閉じられようとする扉が見えた。
その真ん中にいる光を背中に受けたダズルが、高らかに声を挙げる。
「バルト!! 今まで誰も成しえなかった試練だぞ! そう簡単にできるわけねぇだろうが! せいぜい、中で後悔の念を唱えながら死ぬんだな! 王にはヨハン殿下がなる! 穏健派の貴族達は皆殺しだ! はははははっ!!」
笑い声は続いていたが、扉が閉まるとその声を聞こえない。
バルトは咄嗟に扉に駆け寄るが、いくら力を込めても扉は開かなかった。
「エミリオ! カルラ!」
きっと、自分の声も届いていないのだろう。
そして、ダズルの言葉を聞く限り、これは過激派のクーデターだと思われた。だが、デュランデ家は穏健派の一派だったはずだ。
裏切りか?
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一体、何が起こっている?
バルトの脳裏に湧き上がる疑問の答えは決して見つからない。
「くそっ…………」
力任せに扉を叩く。その音が、しんとした神殿の中に響いた。が、バルトはすぐに後ろを振り向く。
ただならぬ気配を感じ、すぐさま剣を抜いた。
「……誰だ」
徐々に暗闇慣れてきた目を凝らすと、ぼんやりと大きな陰が見える。
すると、その陰の近くの灯りがぼんやりと灯った。
そこに浮かび上がったのは、巨大な竜だ。
バルトは、目の前の竜がもつ威圧感に、思わず後ずさった。
「エンシェントドラゴン……」
バルトの呟きに応えるように、エンシェントドラゴンは大きな口を開き、その牙をバルトに見せつけた。
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