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36章 忙しなく過行く
オユキの隣で
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しっかりと、酒精が使われていた料理。本来であれば、アルノーが殊更気を使って、オユキの物にはごく少量。もしくは、きちんと飛ばしきるのだが。今回のグラニテに関しては、いつもよりも強めにきかせていたらしい。さらには、どうにもオユキは渋みといった類のものがこちらに来てから苦手になっているようで、普段の物より随分と白ワインが飲みやすかったのだろう。もしくは、トモエの言葉に緊張をしてそれから逃れるためというのもあったのだろう。
早々に眠気に負けたオユキを、トモエとラズリアで協力して洗った後にそのまま寝台寝かせて。トモエに甘える様に、側に誰かがいて欲しいとばかりにそっとトモエの袖をつまむ手をそのままに。
「相変わらず、優れたという言葉も陳腐になるほどですね」
「ええ。正直な所彼のいた国の物とは違うはずだというのに」
そもそも、アルノーが得意としているのは南仏の郷土料理。そこから派生した、彼の暮らしていた国の誇る始まりは他国から輸入されたものとはいえ、絢爛を究める料理の数々。トモエも家庭の範疇の料理は嗜んでいたため、折に触れて色々と話すこともあるのだが彼にはきちんと特別な皿と言うものがあるらしい。勿論、彼が至高とするコースもあるのだが、その中でも特に自信のあるメインに置くに相応しい一皿が。
用意をするには、色々と足りないものもありこちらに来た時に彼自身が明確に差異があると判断している味覚、それに慣れるまでは難しいからとされている。だが、何時かはと強請ってみたりもしている物だ。
「此処までであれば、生前にお願いしておけばと」
「皆様は、同じ時から来られたのでしたか」
「サキさんは違いますが、はい」
「汚泥に連れてこられたものだけが、と言う事でしょうか」
そして、今の席にはすっかりと顔なじみになった相手が揃っている。オユキが可愛らしさを見せるからこそ、この場にはローレンツをはじめ、彼の関係者でもありオユキの側にいる事の多い二人の侍女。
オユキが食べきれずに残したものをトモエが、その流れの中で改めて誘ったうえで。
「いえ、こちらに来るにあたっての時間、その流れというのはまた難しそうなので」
「異邦からの者というのも、大変ですな」
「そればかりは、そもそもこうして異なる世界等夢想の中だけと考えていましたから」
今後の事を話すというよりも、先だって伝えて置いたオユキの心情の変化とでもいえばいいのだろうか。それを、改めて共有することを含めて。
「さておき、ローレンツ卿はこの度の事、改めておめでとうございます。以前に立ち合いを行ったときには、互いに千日手になると考えてと言う事でもありませんでしたが」
「トモエ卿も、まさに赤子の手をひねる用にといったありさまで、技の見事さなどは最後の一戦程度でしか伺えませなんだが」
「それなのですけれど、叔父様は騎士として徹底されているというのは知っていましたし、トモエ様も常の狩りでオユキ様が一緒にとされるときに、片鱗程度は」
「魔物相手に使える技と、人相手に使う技であれば、私の物は圧倒的に後者が多いですから」
そもそも、異邦の地では戦う相手は人ばかり。獣を相手に技を使う、そうした向きが無いでもなかったのだがそれにしても過去の事。
「それにしても、葡萄酒などどれもそこまで変わらぬと考えていましたし、物によっては口にしても何ら味をほめるところが無いと考えていましたが」
「あちらでは、マリアージュ、でしたか。単体で楽しむためのお酒と、料理と共に並べるお酒。それは全く異なるのだと、そうした話もありましたから。私も、こうして人に、詳しい方に選んでいただければ理解はできるのですが」
さあすがに、トモエも勿論少しは好んでいるのだがそこまで知識があるわけでもない。寧ろ、単体で飲んでおいしさを感じる物を、基本として好んでもいた。アルノーのように、そこまで深い知識があるわけでも選択を正しく行えるわけでもない。
だが、不幸な事に、もしくは幸運な事に。こうしてきちんと揃えられてしまえば、その正しさがよく分かるのだ。料理を、アヒージョとして考えても、少し濃い目の味付けがなされた品。トモエ用にと用意されている、オユキはいよいよ手を付けなかったレバーペーストにしても手が加えられているのか、牡蠣の合間に順序が逆でも。口に運んだ後に、ワインを口に入れれば、香りが一段と華やかに感じられるのだ。料理にしても、ワインにしても。
「トモエ卿から見て、何か今回で気になるところは」
「一番気になったのは、レジス候の変化でしょうか。以前は見られなかったものが、確かに存在していましたから」
「ほう」
「ただ、これまでの理合いと異なる部分もあったので、同じ系統でしかし異なるもの、それを伝えることが出来る人物にあたりが付いたのではないかと」
「レジス侯爵家に伝わるものに、トモエ様は心当たりが」
言われて、この辺りの話をしていなかったかと、トモエは改めて。
「分派があまりにも多く、隠して伝えられている物も多いので、名乗りとして受けた物は存じ上げませんが宝蔵院の流れにあるものです」
「ふむ」
「聞き覚えの無い響き、ですね」
「私は、懐かしさを覚える響きです。レジス侯爵、始まりは男爵として始まった家でした。長きにわたる魔物討伐、一時は確かに必要とされた槍の技術、それらが評価されて。その祖となった人物が、そのような物を名乗っていたかと」
タルヤが、懐かしい記憶を辿る様に、そんな事を口にする。
「あの、タルヤ様、それはいつ頃の」
「千を超えて、何百程でしたか。四代陛下の御代だったかとは思うのですが」
「相も変わらず、長命種の方の時間感覚というのはあまりにも雄大ですね」
「私達植物を祖とするものばかりが、長命と言う訳ではありません。鉱石から生まれた者達とは、流石にこの世界が生まれ落ちてからですので」
他にも、色々とトモエの想像もつかぬ種族がいるらしい。
「正直な所、あそこまでを伝えることが出来る方がいるのであれば、その方が参加を去れればと思うのですが」
「例えば、オユキ様のように」
「生憎と、そればかりはあってみないと分かりませんが今回の舞台に参加できぬほど、それほど年若いというのであれば色々と難しいかと。槍を十全に扱える、少なくとも最低限型を見せた上で、教えねばならぬ類の理合いですから」
十手で詰めるというのを理想として、見せ技など何一つ用意しない独特な理合い。そもそも、後の先をとる事を至上としているトモエの流派との相性もそこまで良くない流派。互いに互いを敵と定めたときに、そこに生まれるのは相手が先を見て詰めようとする動き、それを如何に叶えぬ様にするのかという動き。そうした物の応酬になるだろう。それこそ、互いに制限をかけぬとなれば、結果にあるのはどちらかが失われることになるという、極端な物しか残るまい。
「調べましょうか」
「いえ、こちらから改めて手紙で訪ねてみる事としましょうか。レジス候本人が参加をして、技を見せたと言う事はそうした意図があるのかとも思いますから」
「畏まりました。侯爵家ですので、カレンを遣りましょう」
「カレンさんも、もう少し休日を用意しようとは思うのですが。どうにも、ゲラルドはともかくオユキさんが約束したことがカレンさんは果たせていませんから」
「カレンへの約束、ですか」
そして、ゆっくりとワインと料理を楽しみながら話題が次から次へと運ばれていく。
ローレンツにしても、普段であれば多少の節度は持つのだろうが闘技大会の優勝、さらにはオユキがい一度見せただけとはいえ見慣れぬ理合いの動き。それを騎士としての振る舞いでねじ伏せた、その喜びもあるのだろう。常のように、軽い物を木でできた器についでは煽ってと言う事も無く。今は、彼がどこかから持ち込んできた細かな細工の施された美しい、ガラス細工としての価値も高いグラスに口をつけて。
「何か、例えば家の復興などを」
「いえ、単純にオユキさんが週に一度だったでしょうか。カレンさんとゲラルドが紹介する人物には合う時間を設けると」
「それは、現状不可能では」
「ええ。私としても、住居も定まらず、こうして日々の忙しさに、最近のオユキさんはそうではありませんが」
今も、こうして他に四人ほどが側でゆっくりとお酒を楽しんでいる時間。側にトモエがいるからだろう、トモエの袖をつまむ指が未だに放されることが無いため、片手で食べ進めるしかないという問題はあるのだが、それにしてもオユキがトモエに甘えているのだと思えば許せる範疇。寧ろ、喜ばしい事ではあるのだ。
「オユキさんは、近頃といいますかセツナ様が図分と上手く」
「あの手管ばかりは、私も叶いませんね」
「トモエ様でも、ですか」
「こちらに来てからのオユキさんは、随分と変わったこともありましたから」
かつては、ここまで露骨に甘える事は無かった。トモエに対して、オユキが抱えている感情というのは、ここまで強い物では無かった。オユキがトモエに対して見せる物、それはここまで分かり易くも熱量の高い物でも無かったのだから。今後の事を考えたときに、これまでを思ったときに。恐らく、これにしてもこちらに来るにあたって、オユキに対して与えられた作用の一つなのだろう。
「私に期待されていることは、分かるのですが」
「トモエ卿にですか」
「オユキさんが、こちらにこのまま残る様に。最終手段と呼べるものを、使わなくても良いように。そう考えて、私がこちらに呼ばれたのでしょう」
オユキが望まない事、まるでそれを最初から知っていたかのようだと、トモエの猜疑はやはりそれに尽きる。夜毎、という程ではないのだが、それでも度々と呼んでも良いほどの回数夢にて呼ばれて。繰り返される模擬戦、それにしても終わりの時、その前にはきちんとトモエの望みをかなえられるようにと気を使われているのは分かっている。
万が一にも、悔いを残して、それで選択を誤らぬ様にと、オユキにそれを言い訳に使わせないようにと。
「本当に、難しい事ばかりです。ままならぬ事ばかりです。人生というのは」
早々に眠気に負けたオユキを、トモエとラズリアで協力して洗った後にそのまま寝台寝かせて。トモエに甘える様に、側に誰かがいて欲しいとばかりにそっとトモエの袖をつまむ手をそのままに。
「相変わらず、優れたという言葉も陳腐になるほどですね」
「ええ。正直な所彼のいた国の物とは違うはずだというのに」
そもそも、アルノーが得意としているのは南仏の郷土料理。そこから派生した、彼の暮らしていた国の誇る始まりは他国から輸入されたものとはいえ、絢爛を究める料理の数々。トモエも家庭の範疇の料理は嗜んでいたため、折に触れて色々と話すこともあるのだが彼にはきちんと特別な皿と言うものがあるらしい。勿論、彼が至高とするコースもあるのだが、その中でも特に自信のあるメインに置くに相応しい一皿が。
用意をするには、色々と足りないものもありこちらに来た時に彼自身が明確に差異があると判断している味覚、それに慣れるまでは難しいからとされている。だが、何時かはと強請ってみたりもしている物だ。
「此処までであれば、生前にお願いしておけばと」
「皆様は、同じ時から来られたのでしたか」
「サキさんは違いますが、はい」
「汚泥に連れてこられたものだけが、と言う事でしょうか」
そして、今の席にはすっかりと顔なじみになった相手が揃っている。オユキが可愛らしさを見せるからこそ、この場にはローレンツをはじめ、彼の関係者でもありオユキの側にいる事の多い二人の侍女。
オユキが食べきれずに残したものをトモエが、その流れの中で改めて誘ったうえで。
「いえ、こちらに来るにあたっての時間、その流れというのはまた難しそうなので」
「異邦からの者というのも、大変ですな」
「そればかりは、そもそもこうして異なる世界等夢想の中だけと考えていましたから」
今後の事を話すというよりも、先だって伝えて置いたオユキの心情の変化とでもいえばいいのだろうか。それを、改めて共有することを含めて。
「さておき、ローレンツ卿はこの度の事、改めておめでとうございます。以前に立ち合いを行ったときには、互いに千日手になると考えてと言う事でもありませんでしたが」
「トモエ卿も、まさに赤子の手をひねる用にといったありさまで、技の見事さなどは最後の一戦程度でしか伺えませなんだが」
「それなのですけれど、叔父様は騎士として徹底されているというのは知っていましたし、トモエ様も常の狩りでオユキ様が一緒にとされるときに、片鱗程度は」
「魔物相手に使える技と、人相手に使う技であれば、私の物は圧倒的に後者が多いですから」
そもそも、異邦の地では戦う相手は人ばかり。獣を相手に技を使う、そうした向きが無いでもなかったのだがそれにしても過去の事。
「それにしても、葡萄酒などどれもそこまで変わらぬと考えていましたし、物によっては口にしても何ら味をほめるところが無いと考えていましたが」
「あちらでは、マリアージュ、でしたか。単体で楽しむためのお酒と、料理と共に並べるお酒。それは全く異なるのだと、そうした話もありましたから。私も、こうして人に、詳しい方に選んでいただければ理解はできるのですが」
さあすがに、トモエも勿論少しは好んでいるのだがそこまで知識があるわけでもない。寧ろ、単体で飲んでおいしさを感じる物を、基本として好んでもいた。アルノーのように、そこまで深い知識があるわけでも選択を正しく行えるわけでもない。
だが、不幸な事に、もしくは幸運な事に。こうしてきちんと揃えられてしまえば、その正しさがよく分かるのだ。料理を、アヒージョとして考えても、少し濃い目の味付けがなされた品。トモエ用にと用意されている、オユキはいよいよ手を付けなかったレバーペーストにしても手が加えられているのか、牡蠣の合間に順序が逆でも。口に運んだ後に、ワインを口に入れれば、香りが一段と華やかに感じられるのだ。料理にしても、ワインにしても。
「トモエ卿から見て、何か今回で気になるところは」
「一番気になったのは、レジス候の変化でしょうか。以前は見られなかったものが、確かに存在していましたから」
「ほう」
「ただ、これまでの理合いと異なる部分もあったので、同じ系統でしかし異なるもの、それを伝えることが出来る人物にあたりが付いたのではないかと」
「レジス侯爵家に伝わるものに、トモエ様は心当たりが」
言われて、この辺りの話をしていなかったかと、トモエは改めて。
「分派があまりにも多く、隠して伝えられている物も多いので、名乗りとして受けた物は存じ上げませんが宝蔵院の流れにあるものです」
「ふむ」
「聞き覚えの無い響き、ですね」
「私は、懐かしさを覚える響きです。レジス侯爵、始まりは男爵として始まった家でした。長きにわたる魔物討伐、一時は確かに必要とされた槍の技術、それらが評価されて。その祖となった人物が、そのような物を名乗っていたかと」
タルヤが、懐かしい記憶を辿る様に、そんな事を口にする。
「あの、タルヤ様、それはいつ頃の」
「千を超えて、何百程でしたか。四代陛下の御代だったかとは思うのですが」
「相も変わらず、長命種の方の時間感覚というのはあまりにも雄大ですね」
「私達植物を祖とするものばかりが、長命と言う訳ではありません。鉱石から生まれた者達とは、流石にこの世界が生まれ落ちてからですので」
他にも、色々とトモエの想像もつかぬ種族がいるらしい。
「正直な所、あそこまでを伝えることが出来る方がいるのであれば、その方が参加を去れればと思うのですが」
「例えば、オユキ様のように」
「生憎と、そればかりはあってみないと分かりませんが今回の舞台に参加できぬほど、それほど年若いというのであれば色々と難しいかと。槍を十全に扱える、少なくとも最低限型を見せた上で、教えねばならぬ類の理合いですから」
十手で詰めるというのを理想として、見せ技など何一つ用意しない独特な理合い。そもそも、後の先をとる事を至上としているトモエの流派との相性もそこまで良くない流派。互いに互いを敵と定めたときに、そこに生まれるのは相手が先を見て詰めようとする動き、それを如何に叶えぬ様にするのかという動き。そうした物の応酬になるだろう。それこそ、互いに制限をかけぬとなれば、結果にあるのはどちらかが失われることになるという、極端な物しか残るまい。
「調べましょうか」
「いえ、こちらから改めて手紙で訪ねてみる事としましょうか。レジス候本人が参加をして、技を見せたと言う事はそうした意図があるのかとも思いますから」
「畏まりました。侯爵家ですので、カレンを遣りましょう」
「カレンさんも、もう少し休日を用意しようとは思うのですが。どうにも、ゲラルドはともかくオユキさんが約束したことがカレンさんは果たせていませんから」
「カレンへの約束、ですか」
そして、ゆっくりとワインと料理を楽しみながら話題が次から次へと運ばれていく。
ローレンツにしても、普段であれば多少の節度は持つのだろうが闘技大会の優勝、さらにはオユキがい一度見せただけとはいえ見慣れぬ理合いの動き。それを騎士としての振る舞いでねじ伏せた、その喜びもあるのだろう。常のように、軽い物を木でできた器についでは煽ってと言う事も無く。今は、彼がどこかから持ち込んできた細かな細工の施された美しい、ガラス細工としての価値も高いグラスに口をつけて。
「何か、例えば家の復興などを」
「いえ、単純にオユキさんが週に一度だったでしょうか。カレンさんとゲラルドが紹介する人物には合う時間を設けると」
「それは、現状不可能では」
「ええ。私としても、住居も定まらず、こうして日々の忙しさに、最近のオユキさんはそうではありませんが」
今も、こうして他に四人ほどが側でゆっくりとお酒を楽しんでいる時間。側にトモエがいるからだろう、トモエの袖をつまむ指が未だに放されることが無いため、片手で食べ進めるしかないという問題はあるのだが、それにしてもオユキがトモエに甘えているのだと思えば許せる範疇。寧ろ、喜ばしい事ではあるのだ。
「オユキさんは、近頃といいますかセツナ様が図分と上手く」
「あの手管ばかりは、私も叶いませんね」
「トモエ様でも、ですか」
「こちらに来てからのオユキさんは、随分と変わったこともありましたから」
かつては、ここまで露骨に甘える事は無かった。トモエに対して、オユキが抱えている感情というのは、ここまで強い物では無かった。オユキがトモエに対して見せる物、それはここまで分かり易くも熱量の高い物でも無かったのだから。今後の事を考えたときに、これまでを思ったときに。恐らく、これにしてもこちらに来るにあたって、オユキに対して与えられた作用の一つなのだろう。
「私に期待されていることは、分かるのですが」
「トモエ卿にですか」
「オユキさんが、こちらにこのまま残る様に。最終手段と呼べるものを、使わなくても良いように。そう考えて、私がこちらに呼ばれたのでしょう」
オユキが望まない事、まるでそれを最初から知っていたかのようだと、トモエの猜疑はやはりそれに尽きる。夜毎、という程ではないのだが、それでも度々と呼んでも良いほどの回数夢にて呼ばれて。繰り返される模擬戦、それにしても終わりの時、その前にはきちんとトモエの望みをかなえられるようにと気を使われているのは分かっている。
万が一にも、悔いを残して、それで選択を誤らぬ様にと、オユキにそれを言い訳に使わせないようにと。
「本当に、難しい事ばかりです。ままならぬ事ばかりです。人生というのは」
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