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トモエとオユキではない会話。
トモエはトモエで。
オユキはオユキで。
その様な、互いに求めていない会話。
互いが、互いの側にいる相手と話しながら、ただただ歩みを進めるという時間を過ごしてみれば。
成程、創造神の神殿へと至る道には、やはりこの者たちがいなければと思える相手が門を背に立っている。
少し離れた位置から、恐らくと思える姿をトモエもオユキも認めて。
特段急かされる事も無く、ただただ粛々と。互いに言葉を交わすのは、この後の時間で十分以上だと、今となってはその様な、互いの決断を翻そうという言葉が間違いなく出てくるような、決断の時を速めるような時間を持ちたくないと。そうした心持ばかりは、互いに共通している。
それを、トモエもオユキも確信している。
「で、結局こうなるわけか」
「ええ。一時は、もう少しと思えたのですが」
そして、創造神の神殿、間違いなく抜けた先はこの世界のどこかではない場所。
こちらに来るときに訪れた場所ともまた異なる、トモエとオユキが最後の時を果たすのにふさわしい場所に繋がっている門の前には二つの人影。
「ロゼリア様は、この先と考えていましたが」
「生憎と、分霊の私では本体の作る座の中で時間を使うのが難しいので」
「俺のほうは、こっちにいると考えてたんだな」
さて、そのように言われるものだが、オユキとしては言えることなど一つしかない。
「トモエさんからも、色々と伺いました。正直、分かりやすすぎることもあり、それが異なる姿を見せる為かと考えていましたが」
そう、オユキにとっては、トモエが気が付いていたというのがただ事実。
そして、オユキにとって、如何に疑っているとはいえ、オユキの判断できぬ部分をトモエが判断したのだとして、それを疑うことなどありえないのだから。
それこそ、トモエの諸々の発言を既定として、推測を、判断を積み上げて。それで得られる結果と、オユキの推測で差が生まれたというのならばそこで初めて考える。
だが、ここに至るまでに、それを否定する物が何一つない。
なんとなれば、それを肯定するためにわざわざ二人してとそのようにしかオユキには見えない。
「門番等と言うのは、まさに言葉通り。それに、ロゼリア様にしても、ルゼリア様の共犯でしょう」
「共犯というのは心外といいますか、かつてのトモエさんの姿、水と癒しの座たる世界樹の中に遺されていたその姿を使い加工されたものを預かりはしましたが」
「運んだのは、俺だがな。まさか、お前らが来ると分かって、その準備を始めた頃に人の形をとるとは思わなかったが」
「シグルド君には、話す気が無いと、話す事は無いと信じていますが」
「言っても構わんとは思うが、あいつもなんとなく気が付いている風ではあるしな」
「兄と呼んではいますが、それ以上では無いでしょうに」
「あいつはいよいよ直感に関しては、異常といってもいいくらいだぞ」
アーサーからの言葉に、オユキとしても言葉に詰まる。
事実あの少年はどう表現したものかと、オユキにしても色々と頭を悩ませることが多いのだ。
基本的に、為すべきことがある場で、なさねばならぬことがある場で、あの少年は間違いなく最善の結果を引き寄せる。それが、どういった理屈による物かは、オユキにしても測りかねている。
それこそ、想像と創造からの加護だろうか、恩寵だろうかなどと考えていたのも事実。
「分霊のロゼリア様からは、何か」
「あの子も、私に少し近いとでも言えばいいのかしら。分霊というよりも、欠片を持っている、それだけではあるのですが」
「そのわりには」
「ええ。薄い魂を、補完するために、本来であれば得られたであろうもの、確かにあったであろう物がなくなったので、そのために」
「だとすると、せいぜいが数時間と考えていましたが」
何とも、時間軸という物が尽く役に立たないものであるらしい。
「俺のほうは、何を話す心算も無い。正直、今となっちゃこの後も長々といなきゃならんからな」
「アーサー様は、そうなりますね。私は、この世界が失われるとき迄、このままあることが最初から決まっていますけれど」
「とすると、やはりトモエさんの予想が正解ですか」
「人柱ともまた違うがな」
死後の世界という物があるわけでもなく、己の命が失われたと思えば、覚醒をとそれほどに鮮烈な記憶であったらしい。アーサーから、お前らも覚えがあるだろうとばかりに話をされるものだ。
「さて、どうしましょうか。迷える者たちを導く、それが私に与えられた仕事でもありますが」
「迷っている、ですか」
「ええ。導も無い中、明かりも持たずに歩く者たちが迷い子では無いと、さて、誰が言える物でしょう」
ロゼリアから、実に端的に評されるものだ。
さて、ここまでの道すがら同行していた者たちはといえば、今はすっかりと存在していない。
つい先ほどまでは、確かに会話をしていたはずなのだ。
オユキにしても、トモエにしても異なる相手とではあるのだが、会話を繰り返していたという記憶が共に、確かに残っている。
だというのに、周囲の風景も気が付けばもはや一変している。
この場は、まさに始まりの町にある教会。今となっては傍らには釣り堀としても使っているため池に、教会。その中央に、他国からの賓客にしても利用する風翼の門が納められている建屋。
表面を飾るのは、始まりの町にある物に施されている彫刻ではなく、やはり人によって見え方が全く異なるこちらにしても髪が身に対してどの程度近いのかという現状を示す物。
トモエと折に触れて話しているのだが、オユキとトモエではやはり見え方が異なる紋様。
数でいえば、オユキのほうが僅かに多い、その程度。
「話を、聞いていかれますか」
「結構です」
オユキは既に決断を下している。
どころか、己の腰に佩いている武器に既に手をかけている。
今更、己は言葉をもって止まることなどない。この場で止めるというのであれば、刃をもって行って見せろと。
そして、オユキの放つ威圧にしても激動の時代を生きた、それこそ人として生まれたはずなのだが長く生きた相手は平然と。分霊に関しては、そもそも己の身を同行できるはずも無いのだと余裕をもって。
如何にトモエとオユキが竜を討った等と言ったところで、この神国の開祖たる人物も行っていること。
さらには、アベルにアイリスにカナリアにと多くの助けを得て行った異邦人二人とは違い、ただ己のみでそれを行って見せた人物だ。加護の量、それ以前の身体能力や技術ですらはっきりと隔絶している。
槍を互いに持って向かい合ったときに、トモエをして、はっきりと太刀打ちできぬと言わせるだけの相手。
太刀を手にしたところで、怪しいとすら言わしめる相手。
「聞いていけ、とまで俺は言う気は無いからな。まぁ、此処にいるのは縛られた役目だからってだけだ」
「もう。王祖なのですから、もう少しくらいはこの国で位を得た後進に言葉位」
「今となっては、その位をかざす心算も無い。俺にしても、今となっちゃ、この後の長い人生をどう過ごすのか、それを探している処だ」
「門の守護で縛られていないのであれば、いえ縛られているのだとしても伴侶と決めた相手と過ごしてというのは」
「それを、俺がやるとなぁ。色々、お前らも聞いたのかもしれんが、話しが残りすぎているというか、あれだ、分かるか」
アーサーからは、実に苦虫を噛み潰したような。
「王祖として在られるお方ですから、話しに色々と盛られていくのは仕方がないかとも」
「知識と魔の柱と、法と裁きもいるのだから、そこまでとは考えちゃいなかったんだよ。俺にしたって、元は異邦人だからな。お前らと違って、前段階だが」
「ああ、アルファ版、ですか。開発者が使徒としてこちらに来てと考えたときに、ありそうな話だと考えていましたが」
「ま、お前なら気が付くか。俺の場合は、色々あったというか、まぁお前の両親の事故だな、そっからだ」
だからまぁ、そうつぶやきながらも、槍を降ろして。
「アルファ版、参加者が十七人。強硬したやつは、お前らも知っている神敵の核に今はなってるがな」
「それを、今、この場で」
「伝えてどうなるとは考えてないし、実際にはこっちの上司にはもっと早い段階でと言われちゃいたんだが、今を逃せば、お前らとしての連続性を保ったままって存在には伝える機会も無くなるしな」
「やはり、そこに否定はありませんか」
「今になって、お前らを少なくともガワをこの世界が手放すなんて、本気でそんな事を考えてんのか」
「流石に、そこまでこの世界の善性などもはや信じられてはいませんとも」
既に一度死んだはずの相手、この世界における人物だとオユキは考えていた。
だが、此処に明かされた新たな真実として、今更だとオユキの感じる物が。
「とすると、アーサーさんは、あの男とも面識が」
「つっても、流石にまだあいつにしても子供の頃だがな。一応、使徒と呼ばれる相手に関しては面識があるのは、オユキの両親だけだ」
「とすると、私の両親も、ですか。つまり、私の両親が、その切欠が」
「いや、そっちは流石に違う。俺の言うアルファ版ってのは、こんなのじゃなかったからな」
「いえ、言われてみれば、確かにそのような物ですか。ゲーム以前、接続機器、いえ、接続機器ではなく」
「ああ。直接人間の脳に作用するための機器であり、理論上で可能としたのがお前の父親だって話でな」
実際の用途としては、もっと違うものだったとか、そうした話も聞かされていたアーサーから、それを少し匂わせながらも今はどうでも良い事として。ため息と共に、槍を一度振って、オユキを中心として巻き起こる吹雪の一切を払う。
感情に合わせた発露、その程度であればアーサーにしても呼吸の際の一動作、その程度で方が付くのだと言わんばかりに。
「ま、俺がってわけじゃないけどな、一応お前の両親が開発責任者だったこともあって、責任を取らされる事になった」
「だから、ああまで家にいて、それでも十分な金銭があったわけですか」
「一応は、世界的な企業の創業者一族の覚えもめでたかったわけだしな」
「それで、あの男はオユキさんを探していたわけですか」
オユキという存在に直接の接触は、難しかったのだとしても。
オユキの両親の足取り、影、間違いなく残されていたであろう研究資料、そこから発展させたもの。それを、間違いなくオユキの手の届く範囲に置いてあるだろうと考えて。そして、誤算が、そこにはあった。取り返しのつかないもの、そしてそれ以上の物が。
結果として、オユキに目をつけて、全てをあの男が望むままに整えて。
トモエはトモエで。
オユキはオユキで。
その様な、互いに求めていない会話。
互いが、互いの側にいる相手と話しながら、ただただ歩みを進めるという時間を過ごしてみれば。
成程、創造神の神殿へと至る道には、やはりこの者たちがいなければと思える相手が門を背に立っている。
少し離れた位置から、恐らくと思える姿をトモエもオユキも認めて。
特段急かされる事も無く、ただただ粛々と。互いに言葉を交わすのは、この後の時間で十分以上だと、今となってはその様な、互いの決断を翻そうという言葉が間違いなく出てくるような、決断の時を速めるような時間を持ちたくないと。そうした心持ばかりは、互いに共通している。
それを、トモエもオユキも確信している。
「で、結局こうなるわけか」
「ええ。一時は、もう少しと思えたのですが」
そして、創造神の神殿、間違いなく抜けた先はこの世界のどこかではない場所。
こちらに来るときに訪れた場所ともまた異なる、トモエとオユキが最後の時を果たすのにふさわしい場所に繋がっている門の前には二つの人影。
「ロゼリア様は、この先と考えていましたが」
「生憎と、分霊の私では本体の作る座の中で時間を使うのが難しいので」
「俺のほうは、こっちにいると考えてたんだな」
さて、そのように言われるものだが、オユキとしては言えることなど一つしかない。
「トモエさんからも、色々と伺いました。正直、分かりやすすぎることもあり、それが異なる姿を見せる為かと考えていましたが」
そう、オユキにとっては、トモエが気が付いていたというのがただ事実。
そして、オユキにとって、如何に疑っているとはいえ、オユキの判断できぬ部分をトモエが判断したのだとして、それを疑うことなどありえないのだから。
それこそ、トモエの諸々の発言を既定として、推測を、判断を積み上げて。それで得られる結果と、オユキの推測で差が生まれたというのならばそこで初めて考える。
だが、ここに至るまでに、それを否定する物が何一つない。
なんとなれば、それを肯定するためにわざわざ二人してとそのようにしかオユキには見えない。
「門番等と言うのは、まさに言葉通り。それに、ロゼリア様にしても、ルゼリア様の共犯でしょう」
「共犯というのは心外といいますか、かつてのトモエさんの姿、水と癒しの座たる世界樹の中に遺されていたその姿を使い加工されたものを預かりはしましたが」
「運んだのは、俺だがな。まさか、お前らが来ると分かって、その準備を始めた頃に人の形をとるとは思わなかったが」
「シグルド君には、話す気が無いと、話す事は無いと信じていますが」
「言っても構わんとは思うが、あいつもなんとなく気が付いている風ではあるしな」
「兄と呼んではいますが、それ以上では無いでしょうに」
「あいつはいよいよ直感に関しては、異常といってもいいくらいだぞ」
アーサーからの言葉に、オユキとしても言葉に詰まる。
事実あの少年はどう表現したものかと、オユキにしても色々と頭を悩ませることが多いのだ。
基本的に、為すべきことがある場で、なさねばならぬことがある場で、あの少年は間違いなく最善の結果を引き寄せる。それが、どういった理屈による物かは、オユキにしても測りかねている。
それこそ、想像と創造からの加護だろうか、恩寵だろうかなどと考えていたのも事実。
「分霊のロゼリア様からは、何か」
「あの子も、私に少し近いとでも言えばいいのかしら。分霊というよりも、欠片を持っている、それだけではあるのですが」
「そのわりには」
「ええ。薄い魂を、補完するために、本来であれば得られたであろうもの、確かにあったであろう物がなくなったので、そのために」
「だとすると、せいぜいが数時間と考えていましたが」
何とも、時間軸という物が尽く役に立たないものであるらしい。
「俺のほうは、何を話す心算も無い。正直、今となっちゃこの後も長々といなきゃならんからな」
「アーサー様は、そうなりますね。私は、この世界が失われるとき迄、このままあることが最初から決まっていますけれど」
「とすると、やはりトモエさんの予想が正解ですか」
「人柱ともまた違うがな」
死後の世界という物があるわけでもなく、己の命が失われたと思えば、覚醒をとそれほどに鮮烈な記憶であったらしい。アーサーから、お前らも覚えがあるだろうとばかりに話をされるものだ。
「さて、どうしましょうか。迷える者たちを導く、それが私に与えられた仕事でもありますが」
「迷っている、ですか」
「ええ。導も無い中、明かりも持たずに歩く者たちが迷い子では無いと、さて、誰が言える物でしょう」
ロゼリアから、実に端的に評されるものだ。
さて、ここまでの道すがら同行していた者たちはといえば、今はすっかりと存在していない。
つい先ほどまでは、確かに会話をしていたはずなのだ。
オユキにしても、トモエにしても異なる相手とではあるのだが、会話を繰り返していたという記憶が共に、確かに残っている。
だというのに、周囲の風景も気が付けばもはや一変している。
この場は、まさに始まりの町にある教会。今となっては傍らには釣り堀としても使っているため池に、教会。その中央に、他国からの賓客にしても利用する風翼の門が納められている建屋。
表面を飾るのは、始まりの町にある物に施されている彫刻ではなく、やはり人によって見え方が全く異なるこちらにしても髪が身に対してどの程度近いのかという現状を示す物。
トモエと折に触れて話しているのだが、オユキとトモエではやはり見え方が異なる紋様。
数でいえば、オユキのほうが僅かに多い、その程度。
「話を、聞いていかれますか」
「結構です」
オユキは既に決断を下している。
どころか、己の腰に佩いている武器に既に手をかけている。
今更、己は言葉をもって止まることなどない。この場で止めるというのであれば、刃をもって行って見せろと。
そして、オユキの放つ威圧にしても激動の時代を生きた、それこそ人として生まれたはずなのだが長く生きた相手は平然と。分霊に関しては、そもそも己の身を同行できるはずも無いのだと余裕をもって。
如何にトモエとオユキが竜を討った等と言ったところで、この神国の開祖たる人物も行っていること。
さらには、アベルにアイリスにカナリアにと多くの助けを得て行った異邦人二人とは違い、ただ己のみでそれを行って見せた人物だ。加護の量、それ以前の身体能力や技術ですらはっきりと隔絶している。
槍を互いに持って向かい合ったときに、トモエをして、はっきりと太刀打ちできぬと言わせるだけの相手。
太刀を手にしたところで、怪しいとすら言わしめる相手。
「聞いていけ、とまで俺は言う気は無いからな。まぁ、此処にいるのは縛られた役目だからってだけだ」
「もう。王祖なのですから、もう少しくらいはこの国で位を得た後進に言葉位」
「今となっては、その位をかざす心算も無い。俺にしても、今となっちゃ、この後の長い人生をどう過ごすのか、それを探している処だ」
「門の守護で縛られていないのであれば、いえ縛られているのだとしても伴侶と決めた相手と過ごしてというのは」
「それを、俺がやるとなぁ。色々、お前らも聞いたのかもしれんが、話しが残りすぎているというか、あれだ、分かるか」
アーサーからは、実に苦虫を噛み潰したような。
「王祖として在られるお方ですから、話しに色々と盛られていくのは仕方がないかとも」
「知識と魔の柱と、法と裁きもいるのだから、そこまでとは考えちゃいなかったんだよ。俺にしたって、元は異邦人だからな。お前らと違って、前段階だが」
「ああ、アルファ版、ですか。開発者が使徒としてこちらに来てと考えたときに、ありそうな話だと考えていましたが」
「ま、お前なら気が付くか。俺の場合は、色々あったというか、まぁお前の両親の事故だな、そっからだ」
だからまぁ、そうつぶやきながらも、槍を降ろして。
「アルファ版、参加者が十七人。強硬したやつは、お前らも知っている神敵の核に今はなってるがな」
「それを、今、この場で」
「伝えてどうなるとは考えてないし、実際にはこっちの上司にはもっと早い段階でと言われちゃいたんだが、今を逃せば、お前らとしての連続性を保ったままって存在には伝える機会も無くなるしな」
「やはり、そこに否定はありませんか」
「今になって、お前らを少なくともガワをこの世界が手放すなんて、本気でそんな事を考えてんのか」
「流石に、そこまでこの世界の善性などもはや信じられてはいませんとも」
既に一度死んだはずの相手、この世界における人物だとオユキは考えていた。
だが、此処に明かされた新たな真実として、今更だとオユキの感じる物が。
「とすると、アーサーさんは、あの男とも面識が」
「つっても、流石にまだあいつにしても子供の頃だがな。一応、使徒と呼ばれる相手に関しては面識があるのは、オユキの両親だけだ」
「とすると、私の両親も、ですか。つまり、私の両親が、その切欠が」
「いや、そっちは流石に違う。俺の言うアルファ版ってのは、こんなのじゃなかったからな」
「いえ、言われてみれば、確かにそのような物ですか。ゲーム以前、接続機器、いえ、接続機器ではなく」
「ああ。直接人間の脳に作用するための機器であり、理論上で可能としたのがお前の父親だって話でな」
実際の用途としては、もっと違うものだったとか、そうした話も聞かされていたアーサーから、それを少し匂わせながらも今はどうでも良い事として。ため息と共に、槍を一度振って、オユキを中心として巻き起こる吹雪の一切を払う。
感情に合わせた発露、その程度であればアーサーにしても呼吸の際の一動作、その程度で方が付くのだと言わんばかりに。
「ま、俺がってわけじゃないけどな、一応お前の両親が開発責任者だったこともあって、責任を取らされる事になった」
「だから、ああまで家にいて、それでも十分な金銭があったわけですか」
「一応は、世界的な企業の創業者一族の覚えもめでたかったわけだしな」
「それで、あの男はオユキさんを探していたわけですか」
オユキという存在に直接の接触は、難しかったのだとしても。
オユキの両親の足取り、影、間違いなく残されていたであろう研究資料、そこから発展させたもの。それを、間違いなくオユキの手の届く範囲に置いてあるだろうと考えて。そして、誤算が、そこにはあった。取り返しのつかないもの、そしてそれ以上の物が。
結果として、オユキに目をつけて、全てをあの男が望むままに整えて。
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