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17話 ソニアの妹、サーニャ登場

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 ソニアの領地に到着した頃にはもう空は真っ暗だった。
 家屋の光がいくつか見える。
 家屋の数はそう多くない。
 この領地の規模はお世辞にも大きいと言えないものである。

 家屋間の道は整備されており、歩きやすくなっている。

「こっち、ついてきて」

 その道の上でソニアが先導する。
 俺とラウルは辺りを見回しながら、ソニアの後についていく。

「のどかなところだな」

「ああ、ほんとに」

 領地の中には松明が設置されており、夜でも一応辺りを見るぐらいには明かりがある。
 俺とラウルはソニアにバレないように顔を見合わせる。
 そして、お互いの表情は一瞬にして暗くなる。

「……ここ思ってた以上に田舎だぜ」

「……そうだな」

 俺はラウルの発言に相槌を打った。

「……領地開拓を手伝う、とは聞かされていたが……驚くほどに何も無いよな」

「……ああ、ちゃんと人口とか色々聞いておくべきだったかもしれない」

 俺たちの歩くスピードが遅かったのか、ソニアは後ろを振り返った。

「どうしたの?」

「い、いやなんでもないぜ! 良いところだなってアルマと話してたんだ!」

「そ、そうなんだよ! のどかでいいところだよな!」

「うん、それなら良かった。私も嬉しい」

 ソニアは少し満足気にそう言うと、再び前を向いて歩き出した。

 俺たち二人はホッとため息を吐いて、今度はしっかりとソニアの後をついていく。

 歩みを止めた場所は、周りの家屋よりも大きな建物。
 ここに領主が住んでいるんだな、と一目で分かる。

「ただいま」

 家のドアを開けて、ソニアは普段と変わらない声でそう言うと、ドタドタと物音がしてきた。

「おねーちゃーんっ! おかえりぃー!」

 真っ先にやってきたのは金髪の少女。
 ソニアよりも小柄で「お姉ちゃん」呼びから妹だと推測した。
 少女は勢いよくソニアに飛びついた。

「ごふっ」

 少女に飛びつかれたソニアは苦しそうだった。

「お姉ちゃん方向音痴だから無事に帰って来れるか心配だったんだよ? でもよかった、無事に帰ってきてくれて!」

「……私も流石に家ぐらいちゃんと帰れる」

「うんうん、方向音痴だけど帰巣本能はしっかりとしてるみたいだね!」

 ……なんというか元気な妹さんだった。

「あれ? そちらのお二人は?」

 妹が後ろにいた俺達の存在に気づいた。

「この二人は私がスカウトした。領地開拓を手伝ってもらうの」

「ええ⁉︎ そうなんですか⁉︎ それは凄い助かります! 私、妹のサーニャです! 13歳です! よろしくお願いします!」

 サーニャはソニアに抱きつきながら言った。

「おっ、元気がいいねぇ! 俺はラウル、でこっちの有能そうなのがアルマだ。これからよろしく頼むぜ!」

「別にそんなに有能って訳じゃないけど、よろしくね」

 ラウルが俺の名前まで紹介してくれたので手間が省けた。

「はい! よろしくお願いします!」

「……サーニャ、そろそろ離れて」

「えー、嫌だよー。だって、お姉ちゃんに会うの久しぶりだし!」

 そう言って、サーニャはソニアにぎゅーっと抱きついた。

 サーニャの性格はソニアと反対なように感じた。

 そして俺は姉妹で仲が良いのは羨ましいな、と少し思うのだった。
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