1 / 2
1:脱線編
しおりを挟む
テーブルの上には、ショートケーキと紅茶が二個ずつ置いてある。普通に考えればショートケーキ、紅茶、ショートケーキ、紅茶の順で頂くものである。しかし、嫁が家にいる事実を加味しなくてはいけない。
ショートケーキと紅茶の間で分割をするのか? でも、口直しに紅茶は外せないとなるとショートケーキ、紅茶一口、ショートケーキ、紅茶とすれば、嫁の紅茶を残してあげる事が出来る。しかも、ダイエット中の嫁にショートケーキの匂いを堪能して貰える。なんと素晴らしいアイデアだろうか!
「違います!!」
いきなり怒られた。何故だ? 口に出していないぞ。
「顔に書いてあります。悪い事を考えていると」
おかしい・・・・次から次へとなぜ分かるんだ? だいたい何を考えたって自由のはずだ。
「『内心の自由』は憲法でも保障されているんだ!」
決まったぜ。最近ネットで話題になっていたやつだ。これで今日は勝ったな、グーの音も出ずに悔しがっている嫁を横目にショートケーキを二つ美味しく頂けるぜ。なんせこの国で一番偉い法律だからな。
? 嫁が全然動じていない・・・・。
嫁は人差し指を鼻先に上げると横に振った。
「憲法第十九条で保障されているのは『良心の自由』なの、つまり『良い心』なの、分かる? 悪巧みの自由は保障されていないの」
そうなのか? すかさず検索を掛けると『良心の自由』となっている。
「確かに・・・・、迂闊だった。一番偉い法律に違反してしまった。逮捕されちゃうのか?」
嫁の視線が優しい。
「危なかったわね。次から気をつけなさい」
嫁の口元がモグモグ動いている。
「うん、ありがとう」
逮捕はされないみたいだ。安心しなかったと言えばウソだけど、何かを見落としている。なんだろう・・・
「あ、小説はどうなんだ? 犯罪シーンなんて悪巧みそのものだよ」
嫁はソーサーを持ち上げ紅茶の香りを楽しむと静かに一口飲んだ。そして、窓の外に視線を留めるともう一口飲んだ。嫁の周りだけリゾート地になっているのではと思うほどリラックスしている。それが逆に緊張感を高めている。
「安心していいわよ。憲法第二十一条で表現の自由は保障されているわ」
どう言う事なんだろう? 考えるのはいけないけど、表現するのは許されるのか?
「分かったよ! 狐狗狸さんで小説を書けば良いんだ。勝手に動いた十円玉の文字を記録すれば悪巧みする事なく犯罪シーンを書けるよね」
自分の書いている小説が見向きもされないのは凡人すぎるからだったとは。
「シャーロックホームズは・・・、英国だとコップでやっていた。なるほど、確かに素晴らしい推理小説のある国は狐狗狸さんと同じのがあった。そうだよね?」
嫁はモグモグしながら頷いている。
今日の嫁は優しい。高圧的な上から目線もない、平和が一番だよ。たまにおバカな事を言ってもそれは溢れる教養が生み出すユーモアだと、やっと理解してくれたのかな? 静かに頷いている姿もなかなか可愛い。
僕の視線に気がついた様だ。
「あ・・・・」
? 明らかに動揺しているのは何故だ。
「今、『あ』って言ったでしょ。何が『あ』なの?」
嫁はケーキを刺すと近づいてきた。
「あーーん」
パクリと食べた。普段スーパーで買っているショートケーキとは全然違う美味しさ。
「美味しい。凄く、美味しい」
嫁は満面の笑みを浮かべるとテーブルの上を片付けてくれた。
「あああ!」
気がついた時には、後の祭りだった。
ショートケーキと紅茶の間で分割をするのか? でも、口直しに紅茶は外せないとなるとショートケーキ、紅茶一口、ショートケーキ、紅茶とすれば、嫁の紅茶を残してあげる事が出来る。しかも、ダイエット中の嫁にショートケーキの匂いを堪能して貰える。なんと素晴らしいアイデアだろうか!
「違います!!」
いきなり怒られた。何故だ? 口に出していないぞ。
「顔に書いてあります。悪い事を考えていると」
おかしい・・・・次から次へとなぜ分かるんだ? だいたい何を考えたって自由のはずだ。
「『内心の自由』は憲法でも保障されているんだ!」
決まったぜ。最近ネットで話題になっていたやつだ。これで今日は勝ったな、グーの音も出ずに悔しがっている嫁を横目にショートケーキを二つ美味しく頂けるぜ。なんせこの国で一番偉い法律だからな。
? 嫁が全然動じていない・・・・。
嫁は人差し指を鼻先に上げると横に振った。
「憲法第十九条で保障されているのは『良心の自由』なの、つまり『良い心』なの、分かる? 悪巧みの自由は保障されていないの」
そうなのか? すかさず検索を掛けると『良心の自由』となっている。
「確かに・・・・、迂闊だった。一番偉い法律に違反してしまった。逮捕されちゃうのか?」
嫁の視線が優しい。
「危なかったわね。次から気をつけなさい」
嫁の口元がモグモグ動いている。
「うん、ありがとう」
逮捕はされないみたいだ。安心しなかったと言えばウソだけど、何かを見落としている。なんだろう・・・
「あ、小説はどうなんだ? 犯罪シーンなんて悪巧みそのものだよ」
嫁はソーサーを持ち上げ紅茶の香りを楽しむと静かに一口飲んだ。そして、窓の外に視線を留めるともう一口飲んだ。嫁の周りだけリゾート地になっているのではと思うほどリラックスしている。それが逆に緊張感を高めている。
「安心していいわよ。憲法第二十一条で表現の自由は保障されているわ」
どう言う事なんだろう? 考えるのはいけないけど、表現するのは許されるのか?
「分かったよ! 狐狗狸さんで小説を書けば良いんだ。勝手に動いた十円玉の文字を記録すれば悪巧みする事なく犯罪シーンを書けるよね」
自分の書いている小説が見向きもされないのは凡人すぎるからだったとは。
「シャーロックホームズは・・・、英国だとコップでやっていた。なるほど、確かに素晴らしい推理小説のある国は狐狗狸さんと同じのがあった。そうだよね?」
嫁はモグモグしながら頷いている。
今日の嫁は優しい。高圧的な上から目線もない、平和が一番だよ。たまにおバカな事を言ってもそれは溢れる教養が生み出すユーモアだと、やっと理解してくれたのかな? 静かに頷いている姿もなかなか可愛い。
僕の視線に気がついた様だ。
「あ・・・・」
? 明らかに動揺しているのは何故だ。
「今、『あ』って言ったでしょ。何が『あ』なの?」
嫁はケーキを刺すと近づいてきた。
「あーーん」
パクリと食べた。普段スーパーで買っているショートケーキとは全然違う美味しさ。
「美味しい。凄く、美味しい」
嫁は満面の笑みを浮かべるとテーブルの上を片付けてくれた。
「あああ!」
気がついた時には、後の祭りだった。
0
あなたにおすすめの小説
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる