50 / 68
50
しおりを挟む
そんなわけで全員を家に招待する。王子たちを招くことに抵抗はあったのだが、追い返す言い訳が思い浮かばない。ダン様もアメリアさんもいるし、まぁいいかと思ってしまった。
「ここって、物置では?」
家の前まで来てサイモンが不安げに言った。以前は確かにそうだった。平民だからと物置を充てがわれたのだ。でも魔法は便利だね。中身を大きく改造できたのだから。でも王子たちにあれを見せていいのだろうか。好き勝手に作り出してしまった調度品。この世界ではかなり特殊になっている。チラリとダン様を見たが、特に何も気にしていないようなので問題ないことにしておこう。
「な、何ですか!ここは!」
「さすが攻撃の乙女・・・」
ドアを開けた瞬間、サイモンが叫んだ。王子は特に気にしていないようだが、サイモンとポールは家の中を見て驚いている。確かにこの世界にはないものばかりだ。元の世界にあった、夢の調度品を並べているのだから。でも男性には理解し難いかもしれない。フリルやレースだらけの乙女全開の部屋になっているこの空間。アメリアさんも言っていたように王女の部屋よりも豪華なのだ。
「何ですか、このソファは」
「素敵でしょう?このリボンがいいですよね。ラグジュアリーな空気が心の奥に忍び寄る感じがわかると思います」
気がつくとサイモンとアメリアさんの会話が聞こえてきた。アメリアさんは満面の笑みでサイモンに説明している。アメリアさん、そんなに得意げになってペラペラと。なんでわけのわからないことを並べているのだ?サイモンは何故だか熱心に聞いているし。
「座ってみてください。まるで身体中が包み込まれるような感覚なんですよ」
販売員みたいな口調でアメリアさんは話している。1オクターブくらい高い声でやや早口だ。言われるまま、サイモンはソファに座った。
「な、何ですか。この座り心地」
座った瞬間に驚いて立ち上がってしまうサイモン。その様子を見て満足げに笑うアメリアさん。
「でしょう?ふふふ」
通販番組か。と、ツッコミたくなる2人の会話。アメリアさんはニマニマと微笑んでいるし、サイモンは大袈裟な声を上げている。何やってんの?その横では王子は満足げにうなづいているし(言いたくないがバカっぽい)、ポールは口をだらしなく開けたまま(言葉は悪いがアホっぽい)呆然と立ち尽くしている。ダン様はさっさとソファに座り、こめかみを軽くマッサージしていた。
なんだ、この集団。関わるのが面倒なので放っておいて、私はさっさと食事の用意をしよう。午後の授業は出ないといけないからね。
考えていた通り、ナスとベーコンのトマトソースパスタ。ベーコンは厚切りでナスはトロッと柔らかい。口に入れるとトマトソースの香りが広がって・・・。思わず涎が出そうになる。
ハンバーグとは違う店の看板メニューだ。その店は可愛らしい女の子が可愛いエプロンをつけて料理を運んでくれるのだ。考えていると「いらっしゃいまっせ~」という声を思い出す。アニメの声優さんみたいに可愛い声だった。
相変わらず魔法は便利だ。考えていたら料理が現れる。あのお店と同じ、水色のお皿に山盛りになったパスタが目の前にあった。女子好みのお店なのだが、何故だか盛りがいいのだ。客は若い女性がほとんどで「こんなの食べられな~い」などと言いながらみんな平らげてしまう。
思い出すと懐かしい。パスタとデザートを食べるのが定番だった。デザートのケーキは何種類もあった。それを選ぶのは大変だったけど楽しかった。お腹がいっぱいになったけど、絶対また行きたくなる店だった。
そんなわけで料理をテーブルに並べると、全員が目を見開いてフリーズしていた。
「う、美味そう・・・」
最初に声を出したのはポールだった。
「こ、これ食べていいのか!」
ダメと言っていいのだろうか。と思ったが、「どうぞ」と答える。私だって鬼ではない。そうして全員での食事が始まった。王子とアメリアさんが一緒に食事するのは問題だろうかと思ったが、アメリアさんは何も気にしていない様子だったし、ダン様も王子も何も言わないのでスルーした。
「ここって、物置では?」
家の前まで来てサイモンが不安げに言った。以前は確かにそうだった。平民だからと物置を充てがわれたのだ。でも魔法は便利だね。中身を大きく改造できたのだから。でも王子たちにあれを見せていいのだろうか。好き勝手に作り出してしまった調度品。この世界ではかなり特殊になっている。チラリとダン様を見たが、特に何も気にしていないようなので問題ないことにしておこう。
「な、何ですか!ここは!」
「さすが攻撃の乙女・・・」
ドアを開けた瞬間、サイモンが叫んだ。王子は特に気にしていないようだが、サイモンとポールは家の中を見て驚いている。確かにこの世界にはないものばかりだ。元の世界にあった、夢の調度品を並べているのだから。でも男性には理解し難いかもしれない。フリルやレースだらけの乙女全開の部屋になっているこの空間。アメリアさんも言っていたように王女の部屋よりも豪華なのだ。
「何ですか、このソファは」
「素敵でしょう?このリボンがいいですよね。ラグジュアリーな空気が心の奥に忍び寄る感じがわかると思います」
気がつくとサイモンとアメリアさんの会話が聞こえてきた。アメリアさんは満面の笑みでサイモンに説明している。アメリアさん、そんなに得意げになってペラペラと。なんでわけのわからないことを並べているのだ?サイモンは何故だか熱心に聞いているし。
「座ってみてください。まるで身体中が包み込まれるような感覚なんですよ」
販売員みたいな口調でアメリアさんは話している。1オクターブくらい高い声でやや早口だ。言われるまま、サイモンはソファに座った。
「な、何ですか。この座り心地」
座った瞬間に驚いて立ち上がってしまうサイモン。その様子を見て満足げに笑うアメリアさん。
「でしょう?ふふふ」
通販番組か。と、ツッコミたくなる2人の会話。アメリアさんはニマニマと微笑んでいるし、サイモンは大袈裟な声を上げている。何やってんの?その横では王子は満足げにうなづいているし(言いたくないがバカっぽい)、ポールは口をだらしなく開けたまま(言葉は悪いがアホっぽい)呆然と立ち尽くしている。ダン様はさっさとソファに座り、こめかみを軽くマッサージしていた。
なんだ、この集団。関わるのが面倒なので放っておいて、私はさっさと食事の用意をしよう。午後の授業は出ないといけないからね。
考えていた通り、ナスとベーコンのトマトソースパスタ。ベーコンは厚切りでナスはトロッと柔らかい。口に入れるとトマトソースの香りが広がって・・・。思わず涎が出そうになる。
ハンバーグとは違う店の看板メニューだ。その店は可愛らしい女の子が可愛いエプロンをつけて料理を運んでくれるのだ。考えていると「いらっしゃいまっせ~」という声を思い出す。アニメの声優さんみたいに可愛い声だった。
相変わらず魔法は便利だ。考えていたら料理が現れる。あのお店と同じ、水色のお皿に山盛りになったパスタが目の前にあった。女子好みのお店なのだが、何故だか盛りがいいのだ。客は若い女性がほとんどで「こんなの食べられな~い」などと言いながらみんな平らげてしまう。
思い出すと懐かしい。パスタとデザートを食べるのが定番だった。デザートのケーキは何種類もあった。それを選ぶのは大変だったけど楽しかった。お腹がいっぱいになったけど、絶対また行きたくなる店だった。
そんなわけで料理をテーブルに並べると、全員が目を見開いてフリーズしていた。
「う、美味そう・・・」
最初に声を出したのはポールだった。
「こ、これ食べていいのか!」
ダメと言っていいのだろうか。と思ったが、「どうぞ」と答える。私だって鬼ではない。そうして全員での食事が始まった。王子とアメリアさんが一緒に食事するのは問題だろうかと思ったが、アメリアさんは何も気にしていない様子だったし、ダン様も王子も何も言わないのでスルーした。
72
あなたにおすすめの小説
夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」
夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。
この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。
そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!
アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」
ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。
理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。
すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。
「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」
ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。
その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。
最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。
2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。
3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。
幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。
4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが…
魔王の供物として生贄にされて命を落とした。
5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。
炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。
そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り…
「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」
そう言って、ノワールは城から出て行った。
5度による浮いた話もなく死んでしまった人生…
6度目には絶対に幸せになってみせる!
そう誓って、家に帰ったのだが…?
一応恋愛として話を完結する予定ですが…
作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。
今回はHOTランキングは最高9位でした。
皆様、有り難う御座います!
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる