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エピローグ
恋愛フィルターから恋愛周波数へ
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エピローグ ― 恋愛周波数 ―
夜が更けてから、雨音のスマートフォンが小さく震えた。
なくるからの着信だった。
「起こしちゃった?」
「大丈夫。ちょうど原稿を閉じたところ」
通話越しの声は、いつもより少しだけ近い。
距離が縮んだというより、周波数、ラジオのチャネリングが合っている感じがした。
「最近さ、ラジオで話してると、沈黙が気にならなくなってきて」
なくるはそう言って、軽く息を吐く。
「前は、間を埋めなきゃって思ってた。でも今は……無理しなくていいなって」
雨音は、静かにうなずいた。
「わかります。私も、誰かと話してて疲れないって、久しぶりで」
しばらく、言葉のない時間が流れる。
切らない。急がない。
それが、自然に共有されている。
「……もしよかったら」
なくるの声が、ほんの少し低くなる。
「今度、外で話さない?
収録とか仕事じゃなくて、ただ」
雨音は、一瞬だけ考えた。
でも不安は、なかった。
「いいですね」
それだけで、十分だった。
「昼がいい?」
「はい。人の多い時間帯の方が、安心かも」
「じゃあ、昼で。場所は……静かなところがいいな」
条件を並べるようでいて、どれも相手を思っている。
恋人同士の約束じゃない。
でも。
「楽しみにしてます」
雨音がそう言うと、なくるは通話の向こうで小さく笑った。
「うん。俺も」
通話が切れたあと、部屋には静けさが戻る。
でも、孤独ではなかった。
まだ名前はついていない。
けれど、確かに同じ周波数で呼吸している。
雨音は思う。
次の物語は、もう始まっている。
――恋愛周波数。
それは、近づくための合図ではなく、
確かめ合うための音だった。
夜が更けてから、雨音のスマートフォンが小さく震えた。
なくるからの着信だった。
「起こしちゃった?」
「大丈夫。ちょうど原稿を閉じたところ」
通話越しの声は、いつもより少しだけ近い。
距離が縮んだというより、周波数、ラジオのチャネリングが合っている感じがした。
「最近さ、ラジオで話してると、沈黙が気にならなくなってきて」
なくるはそう言って、軽く息を吐く。
「前は、間を埋めなきゃって思ってた。でも今は……無理しなくていいなって」
雨音は、静かにうなずいた。
「わかります。私も、誰かと話してて疲れないって、久しぶりで」
しばらく、言葉のない時間が流れる。
切らない。急がない。
それが、自然に共有されている。
「……もしよかったら」
なくるの声が、ほんの少し低くなる。
「今度、外で話さない?
収録とか仕事じゃなくて、ただ」
雨音は、一瞬だけ考えた。
でも不安は、なかった。
「いいですね」
それだけで、十分だった。
「昼がいい?」
「はい。人の多い時間帯の方が、安心かも」
「じゃあ、昼で。場所は……静かなところがいいな」
条件を並べるようでいて、どれも相手を思っている。
恋人同士の約束じゃない。
でも。
「楽しみにしてます」
雨音がそう言うと、なくるは通話の向こうで小さく笑った。
「うん。俺も」
通話が切れたあと、部屋には静けさが戻る。
でも、孤独ではなかった。
まだ名前はついていない。
けれど、確かに同じ周波数で呼吸している。
雨音は思う。
次の物語は、もう始まっている。
――恋愛周波数。
それは、近づくための合図ではなく、
確かめ合うための音だった。
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