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第8章 海外へ広がる『処方』
8.7 タイ王国の高度成長政策2
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さつきは、タマサート大学に向かう車中である。大きな車なので、護衛は前部に2人後部にさつきと並んで2人が座っている。スナイパーを思念で追っているために、うわの空で座席に座っているさつきを、隣に座っているミタラール警部補が見つめている。
彼は、さつきが魔力が強いものが多い日本でも有数の魔女であることが、本当であることにまだ驚きが醒めないでいた。まさか、目に見えない相手を探り出してしかも、その銃の弾丸の薬きょうを爆発させることが可能とは。しかも、相手が動いているのを追うことが出来るという。彼女の兄は、世界でも突出した魔法使いで噂によると、弾道ミサイルすら打ち落とせ、さらには現に今進めている資源探査すらできるのだ。
彼は先週、国民に絶大な人気のあるミナール殿下が、彼女と婚約したと聞いた時は、自分が直接護衛している彼女がそういう存在とは思わず驚いたが、あまり、いい気持ちはしなかった。なぜなら、神聖な王家のものが、日本の女性と結婚して王家に日本人の血が入ることにぼんやりした反感を持ったのだ。
しかし、護衛を続けているうちに、だんだん考え直すようになっていった。ミナール王子が、国民に絶大な人気があるのは、そのスポーツ・学業での優秀さもあるが、気さくな人柄と、偉ぶらないところで、本当に国民の事を考えていると伝えられていることにある。
その意味では、このさつきという女性は日本人としては、庶民でありながら、清楚かつ威厳があって、まったく偉ぶるところがなく、周囲に思いやりもある。一緒に行動していると好意を持たざるを得ず、ミナール王子は良い人を選んだものだと感心するようになった。
しかし、きびきびした動きから身体能力は高いのを窺えるが、まさか今日のような驚異的な能力を発揮するとは思わなかったのだ。そう思った時、そのさつきが口を開いた。
「止まりました。どうもベッドに横たわったようですから、自分の部屋でしょう。この位置です」
さつきは、スマホを出して、バンコクの全体図を出して、ある地点に星を点ける。
「わかりますか?」
ミタラールは自分でもスマホの画面を見ながら言う。
「わかります。GCZ区、123番あたりですね。拡大をお願いします」
さつきが図を拡大するのに合わせて、ミタラールも拡大して、あるビルの一角にマークがあるのが解るようになる。
「ふむ、AACDビルですね。何階だろう?」
ミタラールの言葉にさつきが返事をする。
「ええと、最上階の4階ですね。この角から2番目の部屋です」
「わかりました。これで部屋は特定できました。では、タマサート大学に車と人員を待たせていますので、私はスナイパーの逮捕に向かいます。木島さん後はよろしくお願いします」
ミタラールが木島に抜けることを言うと、木島が頷く。
「わかりました。後はお任せ下さい」
処方の会場の大学の小体育館へは間もなく着いて、ミタラールは待っていた3台の覆面パトカーの一台に乗り込む。ミタラールはスマホを見ながら誘導して、20分ほどで当該ビルに到着するが、古いアパートビルだ。3台に分乗した6人の自動小銃を持った警官と、5人のミタラールを含むを捜査員は、エレベーターのない4階まで階段を使って上がる。
指揮を執るミタラールは、階段に自動小銃を持った2人を配置、その目標のドアの両側の廊下にさらに2人ずつ、ドアの前に5人が集まる。そのスチールドアに向かって、最も逞しい警官が大きな鶴嘴のようなハンマーでドアのカギ穴ををめがけて全力で降りぬくとカギの部分に大穴があく。
ミラタールが素早くドアノブを掴み、拳銃を構えて入り込む。ドアの左側に粗末なベッドがあって、男が拳銃を掴んで振り向こうとするところを、ミラタールが腕を狙って撃つ。室内のために轟音が響いて、男の腕から血が飛び散って、弾の勢いで腕が後方に持っていかれる。
仰向けに倒れ込んだ男に、ミラタールを始め捜査官が3人拳銃を突き付ける。
「名前は?言え!」
ミラタールは、拳銃の銃口を男のこめかみにぐりぐり押し付ける。
「な、なぜだ、なぜわかった?」
男が顔をゆがめて言うが、ミラタールはさらに拳銃をぐりぐりして聞く。
「名前は?!」
「ズーラムラだ」
男が答える。
「ズーラムラ!」
室内の捜査官から期せずして声が上がる。ズーラムラとは、タイの暗黒街にうごめく殺し屋の名前で、今まで10数人を殺しているとされる。彼は、腕の銃創を治療させながら悔し気に言う。
「くそ、裏切られたな。たれこみか?」
ミラタールはとっさにズーラムラの誤解を利用した。
「ああ、そうだ。でないとこんなに早くは来れん」
「くそ、財閥なんぞ、ろくな奴じゃないな。ジェーリヌラ家の豚め」
ミラタールはズーラムラの言葉に驚いた。ジェーリヌラ家は、現在でタイの最大の財閥と言われるが、阿漕な商売で知られており、必ずしも評判は良くない。総帥のキミナルはぶよぶよに太った男であるが、狡猾かつ猜疑心が強く相当に後ろ暗いことをしているとの評判だ。
そういえば、先週の処方で、そのキミナルをさつきは『処方できない』と言ってしなかった。それを、キミナルが怒り狂って罵倒しており、護衛の木島からとがめられていたが、タイ人にはキミナルを取りなすものはいなかった。ミラタール自身も責任上仕方がないのでその罵りを止めようとしたが、その前に怒った木島からキミナルは押し出されてしまったのだ。
その時に、罵倒されても冷ややかかつ静かなさつきの表情が、ミラタールには印象的であった。さらに、キミナルには別の動機もある、とミラタールは思い出した。キミナルの娘は幸いにして父に似ず、母に似たせいで上流階級最高の美人と言われ、その美貌ゆえにミナール王子との婚姻を進めていたと聞いたことがある。
キミナルの黒い噂の一つは彼の都合の悪いものは変死するものが多いということである。
『状況証拠としては十分だな』ミラタールは思って言ってみた。
「ふーん、なるほど、キミナルか。動機はあるな。先週あいつは、さつき嬢から処方を断られている。また、彼の娘はミナール王子と結婚したがっていたしな」
「ああ、えらく怒っていたらしいな。しかし、俺が、あいつを依頼主ということを知っているとは思わなかっただろう。馬鹿な奴だ。俺をさして捕まえさせようとは」
ベッドに座り込んだズーラムラは悔し気に言う。
バンコク警察の警部補ミラタールは、さつきを狙撃しようとした殺し屋ズーラムラに尚も聞く。
「それで、お前はキミナルがお前に狙撃を依頼したという証拠は持っているのか?」
殺し屋はしかし目をそらして言う。
「うーむ、当たり前だが、あいつが直接俺のエージェントをしている組織に頼んだわけではない。俺は、中間の奴にコネがあって知っているだけだ」
それを聞いて、ミラタールは『やはりそうだろうな』と思いながら殺し屋に向かって言う。
「やむを得んな。いずれにせよお前は終わりだ、当分は出てこれないぞ。今回は未遂だが、前の狙撃では証拠もあるからな。お前が、『さる財閥から頼まれた』と言っていたと発表する。記事を読んだ奴がいろいろ想像するだろうな」
その言葉に、殺し屋がふてくされて応じる。
「勝手にしろ!」
この件は、その異常な狙撃防止の方法と、そのターゲットが、今や国の中で最も注目を集めている人物であったこと、さらに速やかな犯人の逮捕のこともあって、大きく報道されてタイ国民の猛烈な怒りを招いた。なお、犯人の逮捕できたのは、警察がズーラムラの潜伏先を掴んでいたからという話にしている。
さらに、狙撃を依頼した人物を『さる財閥の者』であったという点から、キミナル・ジェーリヌラが簡単に人々の脳裏に浮かんだ。彼が、処方を拒否され怒り狂っていた点と、さらにそのためにさつきを罵っていた点は、すでに国民の怒りを招いている。
加えて、娘を熱心にミナール王子に押し付けようとしていた点も有名であり、なにより日頃の『どんなことでもやりかねない人物で、過去都合の悪い人物が複数不審死している』という評価が決定的であった。タイにおける最大のスキャンダルになったこの件で、マスコミは流石に名指しはしないが、状況証拠になる点を書き立てた。
いままでは、いろいろあっても、却って危ない奴ということで恐れられ、それがキミナルに有利に働いたが、今回はそうはいかなかった。タイ人が、さつきを狙撃しようとしたことは事実であり、犯人がそれを頼んだのはタイの財閥だ、と言っているのだ。国民の敬愛の的であるミナール王子が、熱愛して婚約しているさつきを無残に射殺しようとしたのだ。
日本政府も正式に遺憾の意を表した。
「我が国から派遣した、国内に12人しかいない特級処方士である二宮さつき嬢がタイ国で狙撃されようとしたことは極めて遺憾である。しかし、それが適切に防がれ、犯人が直ちに逮捕された点はタイ王国の警察の努力に感謝する」
こうした世論の中で、ジェーリヌラ・グループは崩壊した。日頃からグループの総帥に強い不満を持っていた主要幹部が、世論に迎合する形で反旗を翻して、彼を告発した。それは、キミナルの命令で行われた、ビジネスの上での合法・非合法のさまざまな後ろ暗い様々なやり口・過去の悪行が暴き立てられた。
キミナルは無論、自らの無罪を言い立てたが、それを証明する術はなく、いつも嘘をついていた反動で誰からも信用されない。さらには常に暴力をちらつかせた強面で、人に恐れられてのさばっていたことから、被害に遭った者達を中心に弱った彼を叩けと皆が団結した。
結果として、同格のタイ実業界の者達から絶縁宣言をされ、狙撃の原因の一つと言われている娘は、母親と共に上流階級の社交界から露骨に排除された。
さて、稲田の講演であるが、タイ国最大の大会議ホールが満席になる中、予定通りの時間に開かれ、そのテレビ中継は、ホールに入りきれなかった人々が国際会議場の受像機で見たほか、各々の職場、家庭などを含めて2千万人のタイの人々が見たと言われる。
「日本の千葉大准教授の稲田です。本日はこのような場にお招きいただいた、国王陛下にまず心からの感謝を申し上げます。本日の私のプレンテーションは、如何にすればこのタイ王国の人々が豊かになれるか、という道筋を示す方法を提示することであります。
それは私の作った国の経済モデルであり、このモデルは様々な要因、この場合は政策や投資ですが、そのような要因によってどのような経済的な結果が出るかを示せるものです。
現状において、このタイ王国もそうですが、あらゆる国は、その経済状態を改善するために様々な政策を打ち、投資を行っています。しかしながら、思うような結果が得られない場合が多数であります。そういう意味で、私の作ったモデルに、タイ王国の現状を適切に入力できれば、求める結果を入力して、そのための最適な解が示されます。
例えば10年間で2倍のGDPにする、という命題を与えれば、そのための必要な政策と、必要な投資額等が示されます。すなわち、経済的な成果を得るための最適の手法が示されるのです。皆さんは、世界の奇蹟と言われる、日本の高度成長期の事を聞かれたことがおありでしょう。
これは、年率8%以上のGDPの増加が10年以上続き、日本が途上国から先進国に一気に躍り出たものです。しかしながら、あれは資源が極めて安価に使え、ライバルがほとんどいないという一種の極めて幸運な時期に行われたものでありました。
また心理的にも、人々の心が極めて前向きという状況と、どちらかと言うと運任せな政策が的中した結果でもあります。しかしながら、今現在の貴国は、日本が経済浮揚に成功した時期に重なる大きな動きが起きる時期であり、それは魔力発現のための処方です。
事実、日本においては、処方による知力増大に伴って、あらゆる職場で技術革新が起きており、過去5年の凄まじいGDPの増進はご存知の通りであろうと思います。このタイ王国においても、とりあえず比較的若い世代に、さらに多分1年後には、全世代に同じ処方が間もなく始まろうとしています。
これに合わせて、私のモデルを使った高度成長政策を始めるというのは、まさに時期に適ったものであると私は思います。どうです。そうは思いませんか?」
稲田は聴衆を見る。英語を直接理解することのできる人々、及び同時翻訳を聞いていた人々は、稲田の言葉を集中して聞いており、思わず英語でまたタイ語で叫んだ。
「「「「「「「「思うぞ!」」」」」」」地鳴りのような同意の声に満足した稲田は続ける。
「いままで、申し上げてきたモデルについては、すこし専門的になりますので、ここでは詳しくは説明しません。ここに、単純化したモデルを示していますが、実はタイ王国について、日本で手に入る限りのデータで予備的なモデルを組んでいます。まず、モデルの簡単な説明をして、モデルを実際に走らせてみましょう」
稲田はそう言い、プロジェクターから大スクリーンに映されたにモデルを説明し、さらにモデルに条件をインプットする準備をしながら説明を加えていく。
「さて、そのようなモデルに、入力条件として名目GDP伸び率を年率8%として、出力される必要な政策を見ていきましょう。なお、年率8%というのは様々なシミュレーションをした結果、通常は理想的な割合になりますのでこの数値を選びました。実際の場合には、いくつかの数値で確認したうえで最適のものを選びます。では、このようにインプットします」
彼はインプットしてキーボードをたたき、解説を続ける。
「このパソコンは、実際のところ一種のターミナルでして、計算自体はこのようなパソコンでできるものではありませんので、日本の私の大学のコンピュータでしています。計算には多分5分以上かかりますので、この時間を利用して出力される政策について説明しましょう」
そう言って、彼は政策としての公共投資、個人が家屋、家具、電化製品などを建設または買うための建てるためのローンシステム、さまざまな需要に応えるための工場建設のための法人用のローンシステム、さらにはそれらを実施するためのノウハウを得るための人材の獲得などを説明する。やがて、パソコンからチャイム音が鳴って、計算終了の表示がスクリーンに映し出される。
「さて、答えの出力ができるようになりました。もう一度申しておきますが、今のモデルは日本で手に入る限りのデータと、想定したデータを用いた仮のものです。これらのデータは、お国の専門家に提供されるデータによって、入れ替えて最終化する必要があります。ですから、今から示すのは、ある程度の方向を示すとしても、あくまで仮のものであることをご承知ください」
稲田はそう言って、キーを押すと英語のメニューが出てくる内容を説明する。
「まず、公共投資ですね。民間の需要を底上げするには、道路、上下水道、電力などのインフラを整えるのが前提です。年間ごとの投資額が出ていますが、詳しい内容についてはここをクリックすればでてきます。なかなか膨大な額ですので、当面海外から借りるしかないでしょうが、年間8%の成長をすれば返済は十分可能です。
さらに、国が主導して、家の建築や様々なものを買う人々のためのローンシステムを整える必要があります。当面は、そうしたローンは、現状で安定した職についている人のみが対象になるでしょう。でも、だんだん民間の家や家具、家電等の産業が育ってくれば、そうした人々は増えます。
さらに、こうした需要に応じて、それらを実施、あるいは製造する民間企業を育てる必要があります。これらの企業にもその立ち上げ、実施に当たって莫大なローンの需要があります。これらのローンの需要に応じるのは、民間銀行からということになります。
しかし、当然国内の銀行では資金需要に応じられないので、海外の銀行から借りることになります。ここにおいて、こうした国全体のシステム及び民間企業を設立して、運営するには、失礼ながらタイ国には十分なスキルを持った人材が圧倒的に不足します。たしかに魔力の処方で知力が増強されますが、知らないことはできないのです。
しかし、こうした知能の高くなった人々に、十分な知識と経験がある人が教えることで急速に人材は育っていくでしょう。従って、そのような人をこれも海外から呼び寄せて教育するシステムが必要です。こうしたメニューを、再度モデルにインプットして、経済成長率とインフレ率等を見ましょう。また計算に5分ほどかかりますので、ちょうど具体的なメニューが出ていますので、少し説明を捕捉しましょう」
稲田は、出ていたメニューの用語、さらにメニューに出ていた数字の意味合いなどを説明していく。やがて、再度計算終了のサインが出て稲田がそれを見て言う。
「さて、結果が出たようです。この結果は、もともと8%の目標を立ててその方策を出力したのだから、方策をインプットすれば当然であろうと思われるでしょう。その通りなのですが、これは検算の意味もあり、さらにインフレ率の算出すること。また年ごとの変化を見る意味もあります」
稲田はさらにスクリーンを指す。「
さて、これが出力結果です。結果の現時点のものは、入手できた3年前からのタイ国の数値を入れてあります。昨年でGDPは約5千5百億ドル、インフレ率は1.5%ですね。今年については予測はしていませんので、3年間の成長率の平均を入れますが、殆ど横ばいですね。政策は来年初めから開始します。
このように、10年間の平均成長率は8%の結果が出ていますが、最初の年の成長率は4%です。その後は8%を上回っており、最終年の2035年にはGDPは平均8%の場合の1兆2千百億ドルになります。それでも、インフレ率が平均で3%になっていますので実質成長の割合は1.65倍ですね」
稲田のその言葉に「おー!」という地響きのような歓声が沸いた。実際のところ、タイ経済は、このところ苦境が続いており、今後も明るい兆しは見えていなかったのだ。これは、日本の人々の処方の結果、知力が大幅に増強されたためである。その結果、その従業員としての質が上がったため、タイの企業の相当な割合を占める日本の製造業の国内生産回帰が起きたことが大きな原因になっている。
その意味で、10年で1兆2千億ドルを超えるGDPになるという未来は、聞いていた人々にとっては人々夢のようなものであり、多くの者が目の前がぱっと明るくなるような思いを感じた。しかも、そのための具体的な道筋まで示されているのだ。稲田はさらに続ける。
「しかし、そのためには、初期の5年間に公的部分で730億ドル、民間としての銀行が1600億ドルを海外から借りる必要があります。これは莫大な金額ですが、10年後に1兆ドルを超えるGDPになろうかというタイ王国にとっては、単年度のGDPに対して20%足らずであり、それほど大きな負担ではありません」
この言葉に歓声は沸かなかったが、安心のため息があちこちで聞かれた。
ここまでのところでは、一般の人はともかく、財務畑の人々にとってメニューに示されていた海外からの借り入れは、かってない莫大なものであるためわかる人は心配していたのだ。しかし、稲田が言ったことで問題ないと思いきることができたのだ。
さらに一人当たりのGDPの推移、農業従事者を農作の機械化によって、工場労働者に転換することで所得を上げているなどの将来を示され、稲田のプレゼンテーションは熱狂的な賛同の声の中で終わった。
彼は、さつきが魔力が強いものが多い日本でも有数の魔女であることが、本当であることにまだ驚きが醒めないでいた。まさか、目に見えない相手を探り出してしかも、その銃の弾丸の薬きょうを爆発させることが可能とは。しかも、相手が動いているのを追うことが出来るという。彼女の兄は、世界でも突出した魔法使いで噂によると、弾道ミサイルすら打ち落とせ、さらには現に今進めている資源探査すらできるのだ。
彼は先週、国民に絶大な人気のあるミナール殿下が、彼女と婚約したと聞いた時は、自分が直接護衛している彼女がそういう存在とは思わず驚いたが、あまり、いい気持ちはしなかった。なぜなら、神聖な王家のものが、日本の女性と結婚して王家に日本人の血が入ることにぼんやりした反感を持ったのだ。
しかし、護衛を続けているうちに、だんだん考え直すようになっていった。ミナール王子が、国民に絶大な人気があるのは、そのスポーツ・学業での優秀さもあるが、気さくな人柄と、偉ぶらないところで、本当に国民の事を考えていると伝えられていることにある。
その意味では、このさつきという女性は日本人としては、庶民でありながら、清楚かつ威厳があって、まったく偉ぶるところがなく、周囲に思いやりもある。一緒に行動していると好意を持たざるを得ず、ミナール王子は良い人を選んだものだと感心するようになった。
しかし、きびきびした動きから身体能力は高いのを窺えるが、まさか今日のような驚異的な能力を発揮するとは思わなかったのだ。そう思った時、そのさつきが口を開いた。
「止まりました。どうもベッドに横たわったようですから、自分の部屋でしょう。この位置です」
さつきは、スマホを出して、バンコクの全体図を出して、ある地点に星を点ける。
「わかりますか?」
ミタラールは自分でもスマホの画面を見ながら言う。
「わかります。GCZ区、123番あたりですね。拡大をお願いします」
さつきが図を拡大するのに合わせて、ミタラールも拡大して、あるビルの一角にマークがあるのが解るようになる。
「ふむ、AACDビルですね。何階だろう?」
ミタラールの言葉にさつきが返事をする。
「ええと、最上階の4階ですね。この角から2番目の部屋です」
「わかりました。これで部屋は特定できました。では、タマサート大学に車と人員を待たせていますので、私はスナイパーの逮捕に向かいます。木島さん後はよろしくお願いします」
ミタラールが木島に抜けることを言うと、木島が頷く。
「わかりました。後はお任せ下さい」
処方の会場の大学の小体育館へは間もなく着いて、ミタラールは待っていた3台の覆面パトカーの一台に乗り込む。ミタラールはスマホを見ながら誘導して、20分ほどで当該ビルに到着するが、古いアパートビルだ。3台に分乗した6人の自動小銃を持った警官と、5人のミタラールを含むを捜査員は、エレベーターのない4階まで階段を使って上がる。
指揮を執るミタラールは、階段に自動小銃を持った2人を配置、その目標のドアの両側の廊下にさらに2人ずつ、ドアの前に5人が集まる。そのスチールドアに向かって、最も逞しい警官が大きな鶴嘴のようなハンマーでドアのカギ穴ををめがけて全力で降りぬくとカギの部分に大穴があく。
ミラタールが素早くドアノブを掴み、拳銃を構えて入り込む。ドアの左側に粗末なベッドがあって、男が拳銃を掴んで振り向こうとするところを、ミラタールが腕を狙って撃つ。室内のために轟音が響いて、男の腕から血が飛び散って、弾の勢いで腕が後方に持っていかれる。
仰向けに倒れ込んだ男に、ミラタールを始め捜査官が3人拳銃を突き付ける。
「名前は?言え!」
ミラタールは、拳銃の銃口を男のこめかみにぐりぐり押し付ける。
「な、なぜだ、なぜわかった?」
男が顔をゆがめて言うが、ミラタールはさらに拳銃をぐりぐりして聞く。
「名前は?!」
「ズーラムラだ」
男が答える。
「ズーラムラ!」
室内の捜査官から期せずして声が上がる。ズーラムラとは、タイの暗黒街にうごめく殺し屋の名前で、今まで10数人を殺しているとされる。彼は、腕の銃創を治療させながら悔し気に言う。
「くそ、裏切られたな。たれこみか?」
ミラタールはとっさにズーラムラの誤解を利用した。
「ああ、そうだ。でないとこんなに早くは来れん」
「くそ、財閥なんぞ、ろくな奴じゃないな。ジェーリヌラ家の豚め」
ミラタールはズーラムラの言葉に驚いた。ジェーリヌラ家は、現在でタイの最大の財閥と言われるが、阿漕な商売で知られており、必ずしも評判は良くない。総帥のキミナルはぶよぶよに太った男であるが、狡猾かつ猜疑心が強く相当に後ろ暗いことをしているとの評判だ。
そういえば、先週の処方で、そのキミナルをさつきは『処方できない』と言ってしなかった。それを、キミナルが怒り狂って罵倒しており、護衛の木島からとがめられていたが、タイ人にはキミナルを取りなすものはいなかった。ミラタール自身も責任上仕方がないのでその罵りを止めようとしたが、その前に怒った木島からキミナルは押し出されてしまったのだ。
その時に、罵倒されても冷ややかかつ静かなさつきの表情が、ミラタールには印象的であった。さらに、キミナルには別の動機もある、とミラタールは思い出した。キミナルの娘は幸いにして父に似ず、母に似たせいで上流階級最高の美人と言われ、その美貌ゆえにミナール王子との婚姻を進めていたと聞いたことがある。
キミナルの黒い噂の一つは彼の都合の悪いものは変死するものが多いということである。
『状況証拠としては十分だな』ミラタールは思って言ってみた。
「ふーん、なるほど、キミナルか。動機はあるな。先週あいつは、さつき嬢から処方を断られている。また、彼の娘はミナール王子と結婚したがっていたしな」
「ああ、えらく怒っていたらしいな。しかし、俺が、あいつを依頼主ということを知っているとは思わなかっただろう。馬鹿な奴だ。俺をさして捕まえさせようとは」
ベッドに座り込んだズーラムラは悔し気に言う。
バンコク警察の警部補ミラタールは、さつきを狙撃しようとした殺し屋ズーラムラに尚も聞く。
「それで、お前はキミナルがお前に狙撃を依頼したという証拠は持っているのか?」
殺し屋はしかし目をそらして言う。
「うーむ、当たり前だが、あいつが直接俺のエージェントをしている組織に頼んだわけではない。俺は、中間の奴にコネがあって知っているだけだ」
それを聞いて、ミラタールは『やはりそうだろうな』と思いながら殺し屋に向かって言う。
「やむを得んな。いずれにせよお前は終わりだ、当分は出てこれないぞ。今回は未遂だが、前の狙撃では証拠もあるからな。お前が、『さる財閥から頼まれた』と言っていたと発表する。記事を読んだ奴がいろいろ想像するだろうな」
その言葉に、殺し屋がふてくされて応じる。
「勝手にしろ!」
この件は、その異常な狙撃防止の方法と、そのターゲットが、今や国の中で最も注目を集めている人物であったこと、さらに速やかな犯人の逮捕のこともあって、大きく報道されてタイ国民の猛烈な怒りを招いた。なお、犯人の逮捕できたのは、警察がズーラムラの潜伏先を掴んでいたからという話にしている。
さらに、狙撃を依頼した人物を『さる財閥の者』であったという点から、キミナル・ジェーリヌラが簡単に人々の脳裏に浮かんだ。彼が、処方を拒否され怒り狂っていた点と、さらにそのためにさつきを罵っていた点は、すでに国民の怒りを招いている。
加えて、娘を熱心にミナール王子に押し付けようとしていた点も有名であり、なにより日頃の『どんなことでもやりかねない人物で、過去都合の悪い人物が複数不審死している』という評価が決定的であった。タイにおける最大のスキャンダルになったこの件で、マスコミは流石に名指しはしないが、状況証拠になる点を書き立てた。
いままでは、いろいろあっても、却って危ない奴ということで恐れられ、それがキミナルに有利に働いたが、今回はそうはいかなかった。タイ人が、さつきを狙撃しようとしたことは事実であり、犯人がそれを頼んだのはタイの財閥だ、と言っているのだ。国民の敬愛の的であるミナール王子が、熱愛して婚約しているさつきを無残に射殺しようとしたのだ。
日本政府も正式に遺憾の意を表した。
「我が国から派遣した、国内に12人しかいない特級処方士である二宮さつき嬢がタイ国で狙撃されようとしたことは極めて遺憾である。しかし、それが適切に防がれ、犯人が直ちに逮捕された点はタイ王国の警察の努力に感謝する」
こうした世論の中で、ジェーリヌラ・グループは崩壊した。日頃からグループの総帥に強い不満を持っていた主要幹部が、世論に迎合する形で反旗を翻して、彼を告発した。それは、キミナルの命令で行われた、ビジネスの上での合法・非合法のさまざまな後ろ暗い様々なやり口・過去の悪行が暴き立てられた。
キミナルは無論、自らの無罪を言い立てたが、それを証明する術はなく、いつも嘘をついていた反動で誰からも信用されない。さらには常に暴力をちらつかせた強面で、人に恐れられてのさばっていたことから、被害に遭った者達を中心に弱った彼を叩けと皆が団結した。
結果として、同格のタイ実業界の者達から絶縁宣言をされ、狙撃の原因の一つと言われている娘は、母親と共に上流階級の社交界から露骨に排除された。
さて、稲田の講演であるが、タイ国最大の大会議ホールが満席になる中、予定通りの時間に開かれ、そのテレビ中継は、ホールに入りきれなかった人々が国際会議場の受像機で見たほか、各々の職場、家庭などを含めて2千万人のタイの人々が見たと言われる。
「日本の千葉大准教授の稲田です。本日はこのような場にお招きいただいた、国王陛下にまず心からの感謝を申し上げます。本日の私のプレンテーションは、如何にすればこのタイ王国の人々が豊かになれるか、という道筋を示す方法を提示することであります。
それは私の作った国の経済モデルであり、このモデルは様々な要因、この場合は政策や投資ですが、そのような要因によってどのような経済的な結果が出るかを示せるものです。
現状において、このタイ王国もそうですが、あらゆる国は、その経済状態を改善するために様々な政策を打ち、投資を行っています。しかしながら、思うような結果が得られない場合が多数であります。そういう意味で、私の作ったモデルに、タイ王国の現状を適切に入力できれば、求める結果を入力して、そのための最適な解が示されます。
例えば10年間で2倍のGDPにする、という命題を与えれば、そのための必要な政策と、必要な投資額等が示されます。すなわち、経済的な成果を得るための最適の手法が示されるのです。皆さんは、世界の奇蹟と言われる、日本の高度成長期の事を聞かれたことがおありでしょう。
これは、年率8%以上のGDPの増加が10年以上続き、日本が途上国から先進国に一気に躍り出たものです。しかしながら、あれは資源が極めて安価に使え、ライバルがほとんどいないという一種の極めて幸運な時期に行われたものでありました。
また心理的にも、人々の心が極めて前向きという状況と、どちらかと言うと運任せな政策が的中した結果でもあります。しかしながら、今現在の貴国は、日本が経済浮揚に成功した時期に重なる大きな動きが起きる時期であり、それは魔力発現のための処方です。
事実、日本においては、処方による知力増大に伴って、あらゆる職場で技術革新が起きており、過去5年の凄まじいGDPの増進はご存知の通りであろうと思います。このタイ王国においても、とりあえず比較的若い世代に、さらに多分1年後には、全世代に同じ処方が間もなく始まろうとしています。
これに合わせて、私のモデルを使った高度成長政策を始めるというのは、まさに時期に適ったものであると私は思います。どうです。そうは思いませんか?」
稲田は聴衆を見る。英語を直接理解することのできる人々、及び同時翻訳を聞いていた人々は、稲田の言葉を集中して聞いており、思わず英語でまたタイ語で叫んだ。
「「「「「「「「思うぞ!」」」」」」」地鳴りのような同意の声に満足した稲田は続ける。
「いままで、申し上げてきたモデルについては、すこし専門的になりますので、ここでは詳しくは説明しません。ここに、単純化したモデルを示していますが、実はタイ王国について、日本で手に入る限りのデータで予備的なモデルを組んでいます。まず、モデルの簡単な説明をして、モデルを実際に走らせてみましょう」
稲田はそう言い、プロジェクターから大スクリーンに映されたにモデルを説明し、さらにモデルに条件をインプットする準備をしながら説明を加えていく。
「さて、そのようなモデルに、入力条件として名目GDP伸び率を年率8%として、出力される必要な政策を見ていきましょう。なお、年率8%というのは様々なシミュレーションをした結果、通常は理想的な割合になりますのでこの数値を選びました。実際の場合には、いくつかの数値で確認したうえで最適のものを選びます。では、このようにインプットします」
彼はインプットしてキーボードをたたき、解説を続ける。
「このパソコンは、実際のところ一種のターミナルでして、計算自体はこのようなパソコンでできるものではありませんので、日本の私の大学のコンピュータでしています。計算には多分5分以上かかりますので、この時間を利用して出力される政策について説明しましょう」
そう言って、彼は政策としての公共投資、個人が家屋、家具、電化製品などを建設または買うための建てるためのローンシステム、さまざまな需要に応えるための工場建設のための法人用のローンシステム、さらにはそれらを実施するためのノウハウを得るための人材の獲得などを説明する。やがて、パソコンからチャイム音が鳴って、計算終了の表示がスクリーンに映し出される。
「さて、答えの出力ができるようになりました。もう一度申しておきますが、今のモデルは日本で手に入る限りのデータと、想定したデータを用いた仮のものです。これらのデータは、お国の専門家に提供されるデータによって、入れ替えて最終化する必要があります。ですから、今から示すのは、ある程度の方向を示すとしても、あくまで仮のものであることをご承知ください」
稲田はそう言って、キーを押すと英語のメニューが出てくる内容を説明する。
「まず、公共投資ですね。民間の需要を底上げするには、道路、上下水道、電力などのインフラを整えるのが前提です。年間ごとの投資額が出ていますが、詳しい内容についてはここをクリックすればでてきます。なかなか膨大な額ですので、当面海外から借りるしかないでしょうが、年間8%の成長をすれば返済は十分可能です。
さらに、国が主導して、家の建築や様々なものを買う人々のためのローンシステムを整える必要があります。当面は、そうしたローンは、現状で安定した職についている人のみが対象になるでしょう。でも、だんだん民間の家や家具、家電等の産業が育ってくれば、そうした人々は増えます。
さらに、こうした需要に応じて、それらを実施、あるいは製造する民間企業を育てる必要があります。これらの企業にもその立ち上げ、実施に当たって莫大なローンの需要があります。これらのローンの需要に応じるのは、民間銀行からということになります。
しかし、当然国内の銀行では資金需要に応じられないので、海外の銀行から借りることになります。ここにおいて、こうした国全体のシステム及び民間企業を設立して、運営するには、失礼ながらタイ国には十分なスキルを持った人材が圧倒的に不足します。たしかに魔力の処方で知力が増強されますが、知らないことはできないのです。
しかし、こうした知能の高くなった人々に、十分な知識と経験がある人が教えることで急速に人材は育っていくでしょう。従って、そのような人をこれも海外から呼び寄せて教育するシステムが必要です。こうしたメニューを、再度モデルにインプットして、経済成長率とインフレ率等を見ましょう。また計算に5分ほどかかりますので、ちょうど具体的なメニューが出ていますので、少し説明を捕捉しましょう」
稲田は、出ていたメニューの用語、さらにメニューに出ていた数字の意味合いなどを説明していく。やがて、再度計算終了のサインが出て稲田がそれを見て言う。
「さて、結果が出たようです。この結果は、もともと8%の目標を立ててその方策を出力したのだから、方策をインプットすれば当然であろうと思われるでしょう。その通りなのですが、これは検算の意味もあり、さらにインフレ率の算出すること。また年ごとの変化を見る意味もあります」
稲田はさらにスクリーンを指す。「
さて、これが出力結果です。結果の現時点のものは、入手できた3年前からのタイ国の数値を入れてあります。昨年でGDPは約5千5百億ドル、インフレ率は1.5%ですね。今年については予測はしていませんので、3年間の成長率の平均を入れますが、殆ど横ばいですね。政策は来年初めから開始します。
このように、10年間の平均成長率は8%の結果が出ていますが、最初の年の成長率は4%です。その後は8%を上回っており、最終年の2035年にはGDPは平均8%の場合の1兆2千百億ドルになります。それでも、インフレ率が平均で3%になっていますので実質成長の割合は1.65倍ですね」
稲田のその言葉に「おー!」という地響きのような歓声が沸いた。実際のところ、タイ経済は、このところ苦境が続いており、今後も明るい兆しは見えていなかったのだ。これは、日本の人々の処方の結果、知力が大幅に増強されたためである。その結果、その従業員としての質が上がったため、タイの企業の相当な割合を占める日本の製造業の国内生産回帰が起きたことが大きな原因になっている。
その意味で、10年で1兆2千億ドルを超えるGDPになるという未来は、聞いていた人々にとっては人々夢のようなものであり、多くの者が目の前がぱっと明るくなるような思いを感じた。しかも、そのための具体的な道筋まで示されているのだ。稲田はさらに続ける。
「しかし、そのためには、初期の5年間に公的部分で730億ドル、民間としての銀行が1600億ドルを海外から借りる必要があります。これは莫大な金額ですが、10年後に1兆ドルを超えるGDPになろうかというタイ王国にとっては、単年度のGDPに対して20%足らずであり、それほど大きな負担ではありません」
この言葉に歓声は沸かなかったが、安心のため息があちこちで聞かれた。
ここまでのところでは、一般の人はともかく、財務畑の人々にとってメニューに示されていた海外からの借り入れは、かってない莫大なものであるためわかる人は心配していたのだ。しかし、稲田が言ったことで問題ないと思いきることができたのだ。
さらに一人当たりのGDPの推移、農業従事者を農作の機械化によって、工場労働者に転換することで所得を上げているなどの将来を示され、稲田のプレゼンテーションは熱狂的な賛同の声の中で終わった。
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