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第六十二話 夏休み

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夏休み
それは学生の大半が勉学という苦しみから解放されて幸せな一ヶ月を楽しむ時。

エルナが僕の机に向かって話しかけてくる。

「ケイン、夏休みは何が予定はありますか?もしよろしければ海に…」

「うん、夏休み中使って思いっきりレベル上に勤しむつもり」

「……そ、そうですか」

残念そうな顔をして去っていくエルナ……

そこに入れ替わるようにガルドがやってきた。

「ケインさん!夏休みは空いてますか?良ければ俺と山登りに……」

「すまん、空いてないんだ」

「……そうっすか」

さっきのエルナと似た顔をして去っていく

さてと、今日の授業も終わった事だし、帰るとするか、そう思って教室の外に出ると、エネマが待ち構えていた。

「ケイン、もうすぐ夏休みだよね。暇なら私と……」

「ああ、夏休みは思いっきりスキルを取るぞ!」

「そう……」

エルナとガルドに似た顔をしてエネマも帰っていった。


………………………………
………………
……

「というわけで、以上の事を守って楽しく元気に夏休みを過ごして下さい」

「「「「はい」」」」

先生が夏休みの約束事を話し終え、今この時より、待望の夏休みが始まった!

僕は家に帰ると荷造りをした。
隣国のクニトラへ旅に出る為に……


僕達が住む国には2つの隣接国がある。
1つはエルナの出身国ガルダマンダ王国
この国では全体的に冒険者も騎士団も質が低く、魔物もあまり出ない。主に商業で発展してきた国だ。
そして、もう1つがクニトラ
この国はガルダマンダと違って魔物も冒険者も騎士団も質が高い。
クニトラでは魔物が多く生息しており、スライムからそれこそドラゴンまでいるそうだ。
僕の狙いはずばり、スライムである。
クニトラのミトリラ大草原にスライムが大量にいるのだそうだ。
スキル習得にはうってつけ、というわけだ。

僕は宿を出ると、真っ先に馬車乗り場に向かった。

乗り場には大勢の人がいた。長い行列を掻い潜って切符を買いに行くと、見知った顔が3つ。

「あら、ケイン」

「あっ!ケインさん!」

「あ、ケイン」

夏休みの予定を断った3人がいたのだ。

「実は私の行こうと言っていた海はクニトラのものでして……」

「俺の行こうと思っていた山もクニトラの山で……」

「私、クニトラにすごく良いクレープ屋があると聞いて……」

「「「どうせなら一緒に行こう?」」」

……結局こうなるのか






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