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第六十八話 クレープは何味?

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「じゃあ俺は帰らせてもらいます」

「私もそろそろ帰ろうかと……」

「私はまだクレープ食べる。ケインは?」

「僕はこのままここに残ってレベルとスキルを上げようかな」

「……一緒にクレープ」

「分かった分かった。クレープ食べよ」

僕はエネマとクレープを食べる事になった。

人気のクレープ屋は行列が出来ていた。
ぱっと見50人はいそうだ。

「本当にここに並ぶの?」

「うん」

「1時間くらいかからない?」

「それでも食べる」

そんなに食べたいのか……
じゃあまあ一緒に並んでやるとしよう。

……………………………………
……………………
………

列に並ぶ事50分。
ようやく僕達の番が回ってきた。

「お待たせしました!16種類ありますが、どれになさいますか?」

「僕はイチゴで、エネマは?」

「私はイチゴ、キャラメル、チョコ、クレームオンリー」

「4つも食べるの!?」

「余裕」

「申し訳ありませんお客様。好評につきお一人様1つまでとなっておりまして」

「……じゃあチョコで」

「かしこまりました」

そうして僕達はクレープにありつく事ができた。

「やっと食べれる」

イチゴ味を楽しもうとした時、後ろの母親に連れられた5歳くらいの男の子が、今にも泣きそうな声を上げた。

「チョコないの!?なんでなんで!!」

どうやらチョコ味が食べたかったが、なくなってしまったみたいだ。
エネマは何か迷った様子だ。 

「僕のイチゴ、一緒に食べる?」

そう言うとエネマは腹を決めたようだった。

「食べる。ちょっとまってて」

エネマは男の子に近寄っていくとそのまま手に持っていたチョコクレープを渡した。
男の子は途端に嬉しそうな顔になり、母親が頭を下げ始めた。
暫くするとこちらに戻ってくる。

「珍しいね、誰かにクレープ譲るなんて」

「……ただの気まぐれ」

僕とエネマは寄り添ってクレープを食べた。



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