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番外編 エネマとパウロのクリスマス
しおりを挟む「あのさ、……今日エネマに来てもらったのは……その……」
クリスマス、パウロはエネマを呼び出していた。
今日こそ……今日こそエネマに告白するんだ…と。
この日の為ににパウロは入念にプレゼントとサプライズを考えてきた。給料3ヶ月分の指輪を用意し、手作りのウエディングケーキ大のクリスマスケーキを作り、高級ホテルの最上階を確保した。
聖夜の夜は2人で夜景を見ながら、過ごすのだ。
勇気を振り絞ってパウロはエネマをホテル(いやらしい意味の方じゃないよ?)に誘おうとする。
……が、先にエネマが口を開く。
「遊びに行く……でしょ?早く行こ」
パウロはエネマについていくこととなってしまった。
………………………………
………………
……
「あ、あのクレープ屋……昨日オープンしたばかりみたい……食べよ」
街中を歩く2人は、まるで恋人同士のよう……でもなかった。
正直、エネマの方が意識していないのもあってか、男女2人だというのに友達感覚で接している。
というより、実際2人はただの友達な訳だが……
パウロは今日こそエネマに告白しようと思っていたが、この様子では仕方ない。
諦めるとするか………
「うん、食べよっか」
結局、パウロとエネマはそのまま食べ歩きをして、聖夜の夜を過ごしたのだった……
しかし、クリスマスがついに終わるという時、エネマがパウロに質問をした。
「ねえ、話があるんでしょ?」
「えっ!」
パウロにとって、突然のことすぎて戸惑ってしまった。
今日は完全に告白の事は意識しないようになってしまった為、今更する勇気も無いのだ。
「えーっと……その……」
「……ふぅ…無いなら良いよ。でも……あるなら聞いておきたいから……今のうちに」
「え、今のうちに?」
「うん。私来年は留学するの。たった一年だけど、外国に行っちゃう。……だからパウロが言いたい事……聞いておきたくて」
パウロは、ここで言わなきゃ男じゃ無いと思った。震える声を寒さのせいにしてゆっくりと顔を上げた。
「ついて…来てくれる?」
「うん」
パウロはエネマをホテル(そんな意味のホテルじゃないからね?)に誘った……
少し離れたホテルに辿り着き、部屋に入るとパウロがクリスマスケーキを見せた。
「……エネマ、クリスマス、おめでとう。その……これ僕が作ったんだ。ケーキ、一緒に食べよ……」
「……パウロ、ごめんちょっと重い」
「!?」
「…せっかく用意してくれたから食べるけど…クリスマス如きでこんな大層な仕掛け……」
「!!!???」
「……はぁ…まぁ良い。食べようか」
「あっ、えっと……その、まだクリスマスプレゼントがあるんだ」
「えっ!?ありがとう何何?」
「これ、……僕の気持ち、給料3ヶ月分の指輪さ。大事にして……欲しい」
「うん、重い…………というか、それって絶対クリスマスプレゼントじゃないよね?」
「えっと、その……」
「はぁっ……まったく……」
直前でチキったパウロを見てエネマがついに言った。
「じゃあ、私からもクリスマスプレゼント。私と付き合って?」
「は……え、えええええ!!」
「ダメ?」
「良いけど……」
「じゃ、私もこの指輪貰うね」
こうして、パウロにとって……否、エネマにとっても最高のクリスマスとなったのだった。
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