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3戦目
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翌日、普段は遅刻寸前に登校しがちな百合恵はすぱっと目覚めて学校へ向かった。緋奈に会いたい一心だった。昨夜の決闘の後、少しだけ会話を交わしてログアウトしたがその高揚感がまだ百合恵の中に残っていた。教室に入るといつも通り左斜め前に座る緋奈の姿がある。その凛とした姿に見惚れていると、視線に気付いたのか緋奈がこちらを向いたので、百合恵はびくりとして一歩後ずさってしまった。
「おはよう、リーリエさん」
「お、おはよ、スカーレット」
「あら、名前で呼んでくれるの? 嬉しいわ」
口では嬉しいと言いつつ、その表情は少しからかうようなそれだった。百合恵は先に言ってきたのはそっちなのにと思いつつ口を開いた。
「えっと……緋奈でもいい?」
「もちろん」
緋奈は快く了承してくれた。リアルでキャラネームを呼びあう方がおかしいのだが、昨日まで花城さんと呼んでいた緋奈を名前で呼べる。それが嬉しくて、思わず百合恵ははにかむように笑ってしまう。ずっと仲良くなりたかった緋奈と学校で普通に話せるのが百合恵にとってとても嬉しかったのだ。緋奈は気軽に話しかけるのをためらってしまうほど美しいのだ。百合恵からすれば胸が小さいのを気にしているその姿すらいとおしい。
「ねぇ、緋奈はVRSCの大会とか出てるの?」
「何度か優勝もしていますわ。昨年はアンダー18の日本チャンピオンになりましたし」
その言葉に驚く百合恵。体育の授業でも緋奈の活躍は目覚ましいものがあるが、VR空間での運動能力は現実でのそれをはるかに上回る。ありていに言えば適性があるのだろう。
VR空間で運動能力を数値化する方法はいくつかあるが、その一つに脳波計測がある。VR空間で身体を動かすことで脳内に特殊な電気信号を発生させ、その動きを解析することで能力値を算出する。これが高ければ高いほどVR空間での動きが精密になる。
「道理で強いわけだよ。でも……それなら学校で表彰されてもおかしくない?」
VRSCはいわば究極のeスポーツ、その全国大会で優勝したのなら表彰の一つや二つ、されてもおかしくない。あるいは新聞の記事になるかもしれない。だが百合恵は紙媒体でもネットニュースでも緋奈が優勝したことを知らない。
首を傾げる百合恵の耳元で緋奈が小さな声で告げる。
「だって、胸を盛ってることばれたくないじゃないですか」
納得だった。
「じゃあ、緋奈がスカーレットって知ってる人、あんまりいないの?」
「そうね、学校だと数人ってところかしら。そうだ、お昼を一緒に食べない? その時に紹介するわ」
「え? いいの。じゃあ、お願い」
そんな話をしているうちに始業の予鈴が鳴った。百合恵は自分の席に戻りつつも、既にお昼が待ち遠しいのだった。
「おはよう、リーリエさん」
「お、おはよ、スカーレット」
「あら、名前で呼んでくれるの? 嬉しいわ」
口では嬉しいと言いつつ、その表情は少しからかうようなそれだった。百合恵は先に言ってきたのはそっちなのにと思いつつ口を開いた。
「えっと……緋奈でもいい?」
「もちろん」
緋奈は快く了承してくれた。リアルでキャラネームを呼びあう方がおかしいのだが、昨日まで花城さんと呼んでいた緋奈を名前で呼べる。それが嬉しくて、思わず百合恵ははにかむように笑ってしまう。ずっと仲良くなりたかった緋奈と学校で普通に話せるのが百合恵にとってとても嬉しかったのだ。緋奈は気軽に話しかけるのをためらってしまうほど美しいのだ。百合恵からすれば胸が小さいのを気にしているその姿すらいとおしい。
「ねぇ、緋奈はVRSCの大会とか出てるの?」
「何度か優勝もしていますわ。昨年はアンダー18の日本チャンピオンになりましたし」
その言葉に驚く百合恵。体育の授業でも緋奈の活躍は目覚ましいものがあるが、VR空間での運動能力は現実でのそれをはるかに上回る。ありていに言えば適性があるのだろう。
VR空間で運動能力を数値化する方法はいくつかあるが、その一つに脳波計測がある。VR空間で身体を動かすことで脳内に特殊な電気信号を発生させ、その動きを解析することで能力値を算出する。これが高ければ高いほどVR空間での動きが精密になる。
「道理で強いわけだよ。でも……それなら学校で表彰されてもおかしくない?」
VRSCはいわば究極のeスポーツ、その全国大会で優勝したのなら表彰の一つや二つ、されてもおかしくない。あるいは新聞の記事になるかもしれない。だが百合恵は紙媒体でもネットニュースでも緋奈が優勝したことを知らない。
首を傾げる百合恵の耳元で緋奈が小さな声で告げる。
「だって、胸を盛ってることばれたくないじゃないですか」
納得だった。
「じゃあ、緋奈がスカーレットって知ってる人、あんまりいないの?」
「そうね、学校だと数人ってところかしら。そうだ、お昼を一緒に食べない? その時に紹介するわ」
「え? いいの。じゃあ、お願い」
そんな話をしているうちに始業の予鈴が鳴った。百合恵は自分の席に戻りつつも、既にお昼が待ち遠しいのだった。
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