無色な私のカラフルな恋

＃２

　翌日の放課後に生徒会室に向かうと、波崎先輩が迎えてくれた。

「やぁ、待ってたよ」

　うーん、爽やかなイケメンだけど……胡散臭いかも。

「何か僕の顔に付いていますか？」

　知らず知らずのうちにガン見していたらしい……。

「いえいえ、お気になさらず」

　ちょっと気まずいかも……。そもそもこんなイケメンと二人っきりって…なかなかないよぉ……。それでも無言よりはマシだろうと私は副会長に質問した。

「あ、あの……会長は？」

　さっきから生徒会室には私と副会長しかいない。生徒会執行部に何人の生徒が所属しているかも私は知らない。

「会長なら生徒会ここの担当教師と話をしているよ。他にも書記の二年生、会計の三年生、庶務の二年が二人、それと一年は君ともう一人かな。あと十分もすれば全員揃うと思うよ」

　宣言通り十分後には生徒会室はかなりの人口密度になった。


「今年の一年生は三人か。楽しみだな」

　そう呟いたのは三年生で会計役員の栗崎くりさき獅紋しもん先輩だ。一見すると怖そうな先輩だけれども本当は誰よりも几帳面らしい。
　このまま自己紹介という流れになり、栗崎先輩の次に自己紹介をしたのが水上みなかみ美詠みえい先輩。大和撫子の鑑のような美人で部活動は茶道部という。さらに二年生の学年次席で去年のマラソン大会で文化部最高の七位を記録した完璧超人だ。役職は書記。
　もう一人の女子の先輩が志水しみず姫葉きよ先輩。水上先輩が大和撫子だとすれば志水先輩はお嬢様系統の美人さんだ。でも、私ともう一人の女の子に『お姉様』と呼んでくれてもよいのよと、言った時点でこのひとはアブナイと感じた二年生の庶務。
　そんな志水先輩に突っ込みをかましながら自己紹介を始めたのは同じく庶務の桐生（きりゅう）隼都(はやと）先輩。どうやら志水先輩の幼馴染みらしいが、どことなく執事のように見える。それに、志水先輩を少なからず想っていることも、何となく分かる。桐生先輩も庶務。
　それから、一年生は私ともう一人で、名前は～城島≪じょうしま≫御波みなみちゃん。自己紹介を通じて初めて知ったが、なんと同じクラスだった。御波ちゃんは小柄であどけない雰囲気の女の子で、髪はツインテールにしている。

「えっと、改めまして。笠原悠里です。これから宜しくお願いします」

　想像していた異常に女子生徒の多い生徒会に少し安心しつつも、きちんと自己紹介を済ませた。私の思っていた生徒会とは一味も二味も違うけれど、こっちの方が楽しそうかも。


―――こうして、私と生徒会のカラフルな日常が始まる―――