【R18】悪魔に殺虫剤

茅野ガク

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私と生きて

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「あ! ぁ、ぁ、あっ――――!」

「ケイナ。俺のイジワルなご主人さま。この俺が、たかが人間の女なんかに執着するなんて。たかが人間の男相手に腸が煮えくり返りそうなほど嫉妬するなんて。……本当に、今すぐお前を食い殺して俺だけのものにしてやりたい」

「あぅっ!」

 リュートの言葉に呼応するように、部屋に置かれた観葉植物から伸びたつるが痛いほど敏感になった私の乳首とクリトリスをキュッと締めつける。


『お仕置きを始めるよ』


 そう宣言されて閉じた瞼を次に開けた時には私とリュートは私たちの部屋にいた。
 カド部屋。リュートを呼び出してからずっと穏やかで優しい空気の満ちていたあのカド部屋。

 悪戯の延長で強めに噛まれたり、恥ずかしいおねだりをさせられたことは何度も有ったけれど、こんなにも冷たい雰囲気のリュートに抱かれるのは初めてだ。

「や……っ! リュートぉ……! だめっ、もぅ、イきたくな……や、やっ、ぁあ――っ!」

 部屋に帰ってきてからもうどれほどの時間が経ったのか。ベッドの上でMの形に足を広げた格好で拘束された私は、与え続けられる快楽から逃げることができない。リュートの意思通りに動く蔓は、私の愉悦の場所をなぶり続けている。

 何度も、何度も数えきれないほど絶頂に押し上げられて。もうこれ以上は無理だと思うのに。頭上で纏められた両手を外そうとする行為は悪魔を煽るだけだった。

「まだ逃げようとする気力があるんだ天童京奈? でも残念だね。人間の女なんかに俺の拘束は破れない。そんな風に胸を揺らして身体をくねらせてたら、誘ってるようにしか見えないよ。……ほらっ!」

「ひぃ、っん!」

 紅く腫れ上がったクリトリスをリュートの指で直接摘ままれて。それと同時に胸の先端を強く吸われて。
 太ももをガクガクと震わせてまた達してしまう。

 もう何度イッたかわからないのに。それでもリュートは許してくれない。私を蔓の触手で絶頂に導くだけ導いて、リュート本人は抱いてくれない。
 やっと今、舌と指で触れてくれた。

 これ以上イきたくない。
 けど、リュートに抱かれないのは切ない。

 矛盾する気持ちが私の中でせめぎあう。

「りゅぅ、とぉ……」

 溢れた感情がポロリと涙になって頬を伝った。

「リュート、お願い。『お仕置き』なら、せめて、リュートの体温がいいよぉ……!」

 恥じらいもつつしみもプライドも。
 全て忘れてリュートを求めた。

 そんな私の姿をしばらく見つめていた赤い瞳が、ふっと深い夜の色に戻る。

「――! クソっ! 人間の女の涙なんかで……っ!」

「!」

 ふいに私を拘束していた蔓が消え、ガッと噛みつく勢いで唇を塞がれた。
 呼吸を全て奪うようなキス。
 お互いの舌を深く絡ませて、吐息にのせて気持ちを伝えあう。

「ケイナっ、俺のご主人さま……! お願いだから、俺以外の男を見ないで。俺だけを、愛して……!」

「ん、んっ! ぁ、ん! リュートだけだから。私の心にいるのは、リュートだけだから……っ」

肉体からだも、心も、魂も。全部、俺にちょうだい……っ」

「あげる。私の全部をリュートにあげる。だから」


 この切ない空洞を埋めて欲しいの。


「はっ、ぁ、ぁあ! あっ、あ……っ!」

 ドクドクと脈打つ猛りがしとどに濡れた隘路に沈められていく。ミチミチといっぱいに満たされて、それだけで高みにのぼりそうだ。

「ん、気持ちいい、気持ちいいよぉっリュート……!」

「トロトロに蕩けていやらしい顔のご主人さま。可愛い。たまらなく可愛い……!」

 言葉と共に、ドチュン! と最奥を穿たれて、視界が真っ白に染まる。
 ガクガクと震える内腿から全身へ快楽が広がっていく。
 その間も激しく打ちつけられる衝動は止まらない。

「ぁ、あ、ぁあ……っ!」

 プシャっと吹き出した潮が私たちの身体とシーツを濡らす。

「あとで、それも、舐めさせてねケイナっ」

「あ! っ、ん! ぁ、あ、ん――!」


 どれだけ伝えても飽きることなく。私たちは愛を確かめ続けた。



*



 翌日。これからもずっと2人で一緒に生きていこうと誓い合った私たちは、今後についてのルールを決めた。
 リュートの私を一人占めしたい気持ちはわかるけど、彼が嫉妬する度にこうして『お仕置き』されたら私の身体がもたないからだ。

 一つ、男の人とはプライベートで会わないこと。
 一つ、だけど職場の飲み会など、仕方のない時は事前にリュートに報告すること。
 一つ、女性同士で出かけるのはかまわない代わりに、リュートが送り迎えをする。

 嫉妬深い私の悪魔。
 人間と悪魔が一緒に生きていくには、これからも色んな課題が出てくるだろう。

 けれど。
 こうして少しずつ、理解しあって、ずっと2人でいられたらと願う。

 きっと。きっと、人生ってそんなに悪いものじゃないと思うから。


fin


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