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第1話・花を手折る、その前に①
しおりを挟む春、死人の血を吸い上げる事で美しく咲くと言われている桜が咲いた。
俺は、姉さんと同じ高校生になった。
高校は姉さんとは違う高校にした。
別に偏差値とかの問題じゃない、俺の最初の目的の為だ。
ー最初の目的。
そう、姉さんとあの男を別れさせる事ー
その為だけに、俺は敢えて姉さんと違う高校を選んだんだ。
姉さんは一緒の高校じゃない事に残念がっていたけど、それはソレで良い調味料になる。
*****
入学式の朝、俺はリビングの椅子に座ると足を組み、無造作に置かれていた新聞紙を手に取った。
紙面をめくり世間のニュースに目を通していく。
「おはよ、唯衣」
姉さんの心地良い声と共に、俺の目の前には白いティーカップが置かれた。
カップの中には、淹れたての珈琲が注がれている。
「あぁ…おはよ、姉さん」
視線を軽く姉さんに向けた後、また直ぐに視線を新聞紙へと戻した。
右手でカップを持つと、ふぅっと熱い珈琲に軽く息を吹きかけた。
そして一口、こくんっと飲み込む。
「姉さん、珈琲うまいよ、ありがとう」
視線は向けずに、俺は姉さんに礼を言う。
姉さんは、隣に座ると嬉しそうに笑い
こんがり焼けたトーストに一生懸命バターを塗りたぐっていた。
バターはたっぷり派だと豪語する姉さんは、そのバターたっぷりトーストに勢いよく噛り付いた。
苦い珈琲との相性が最高らしい。
ー俺には解らないけど、姉さんの食べている姿は可愛い。
あらかた新聞に目を通し終える頃、姉さんは朝食を食べ終わっていた。
「唯衣、新聞ばっかで、ご飯食べてないじゃない」
姉さんの言葉に、手付かずの朝食を見下ろす。
「俺、食べるの早いから大丈夫だよ」
冷めてしまったトーストを手に取ると、何も付けずに齧る。
小麦の味が、じんわりと口に広がった。
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