姉弟日和

我妻 夕希子

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第4話・手操る思案③

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「え、どういう事?」

ベッドから上半身を起こし、胡座を掻くと姉さんを見つめた。

「ふふ、早速、今度の日曜日にでも遊びましょうって」


ーー動揺している。


正に、その言葉通りの心境だ。


「え、ちょ、早くない?」
「なんで?こんなもんでしょ?」

顔で微笑みながら、ギリッと歯を軋ませる。

「俺も行きたい」

動揺しながらも出た言葉。
姉さんは目をパチクリとさせながら俺を見ていた。

「だーめ」
「なっ!」
「女の子同士で遊ぶの」

悪戯っ子の様に姉さんが笑う。

その顔は可愛い、充分に、だ。

だけど違う。

〝俺〟意外がさせた顔なんてーーー


「そんなに膨れないの」

ツン。と、姉さんは俺の頬を人差し指で突いた。

「だっーー」
「また、?唯衣は、直ぐにヤキモチ妬いちゃうね?」
「ーッ」

姉さんの視線が合わさる。
真っ直ぐと俺を見つめる姉さんから、視線が外せない。

「ねっ、ねぇ、さんは」

ゴクリと生唾を呑んで、渇いた喉を少しだけ潤す。

「俺のだから!姉さん、好きだよ」

(言った!言ったぞ、考えていた順番とは違うけど、言ってやった)

「ふふっ」

姉さんは手を口許に当てるとクスクス笑い出した。

「私も好きよ、だってですもの」


(ーーーッ!!)


眼球を見開きながら俺の息がヒュッと鳴った。


そうだ、そうだ、そうなんだッ!!!


結局は〝血〟が俺の邪魔をする。

こんな血、要らない。

(こんな、忌々しい、血なんか、俺はッッ…)


「ぅ、れしいよ…仲良し、だね…俺達」
「そうね、仲良し姉弟だわ」

ダメだ、泣くな。
泣くな、ダメだ。

「姉さん、楽しんできてね」

絞り出したセリフ。
姉さんは嬉しそうに頷くと部屋を出て行った。



再度、ベッドに横たわると俺は思案した。


(久城理玖、一体なんなんだ)


ーーまぁ、良い。
明日にでも直接、問い質そう。


手繰るようにジワジワと詰めて行こう。



(俺の計画は始まったばかりじゃないか)




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