姉弟日和

我妻 夕希子

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閑話/らしくって言ったのは君①

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「ね!唯衣!唯衣!!」

休日の緩やかな日に、雑誌を片手に姉さんは、俺の部屋にやってきた。

「…確か、前も言ったけどさ、せめてノックくらいしようか?」

ベッドの上で雑誌を読みながら俺は呆れたように言う。

「だ、だっ!だって!!」
「俺が女とセッー」
「わー!!!わーー!!!ごめんって!!!」

俺のセリフを遮るくらい大きな声で、姉さんは叫ぶ。
顔を真っ赤にして。
どうやら、俺が何を言いたいか察したらしい。

「で、何?」

「隣に座りなよ」という意味を込めて、自分の隣をポンポン叩いた。

「あのね!コレ!コレ行きたい!」

姉さんはストンと俺の隣に座ると、開いているページを見せてきた。

「…恋人限定、ビッグパフェ…?」

その雑誌には、今話題のカフェの特集が掲載されており、今回の特集は〝恋人と行きたい!限定メニュー〟みたいだ。

「…ご自慢の〝依くん〟と行けばいいじゃん」
「唯衣と行きたい」
「ーっ」

思わず姉さんの顔をガン見してしまった。
姉さんは真っ直ぐ俺を見つめている。

「なん、で」
「依くん、甘いの苦手だし…」

「ね、お願い」と可愛くお願いされては首を縦に振ってしまうだろ…。

「いつ行く?」
「やった!じゃあ、今から!」
「今?!!」

突拍子も無い姉さんの発言に、俺は時計を見遣った。
時刻はまだ正午前、まぁ、まだ許容範囲内だ。

「支度するから、出てって」

俺は着ている服に手を掛けると、姉さんをチラ見する。

「それとも俺の裸に興味ある?
「!!?!」

ワザとらしく腹をチラ見せすると、姉さんは慌てて出て行ってしまった。

(男の裸を見慣れてないって事かな…それなら嬉しいな)

服を着替えながら口許が歪む。

部屋を出ると、着替え終わっていた姉さんがドアの前で待っていた。

「遅い、女の私より遅いなんて信じられない」

頬を膨らませながら俺を睨んでいる。

「そんな怒らないでよ、可愛い顏が台無しだよ」

在り来たりな言葉を投げると、姉さんは少しはにかんだ。

「ちゃんと俺の〝彼女〟らしくしろよ?」

俺の発言にムッとした顔をすると、姉さんは背伸びをして

「唯衣こそ、私の〝彼氏〟よね」

耳元で囁く。

、姉さんが言ったんだからね?)


緩やかに口許が緩む。

「大切な姉さんの為に頑張るよ」

そう言うと、姉さんは嬉しそうに階段を下りて行った。


ーさぁ、



.

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