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閑話/らしくって言ったのは君②
しおりを挟む目的地のカフェに着くと、明らかにって人達が並んでいた。
入り口には女性店員が立っており、恋人かどうかの確認をしているようだった。
「…結構厳しいんだね」
姉さんが難しい顔をしながら、その情景を見ていた。
「やめる?」
「ビッグパフェ!!やめない!!!」
「毒を食らわば皿まで」だとぶつぶつ呟いてる姿が面白くて笑いそうになるのを堪えて俺は言う。
「じゃあ、行こうか」
姉さんの手を握る。
「え?」
「芝居はもう始まってるんだよ?」
「そ、そうか…」
目をぐるぐるしながら姉さんは俺の手を握り返してきた。
(あぁ、姉さん、可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!!)
俺達の順番が近付く。
姉さんは、バレないかバレないかと不安がっているのか、軽く震えていた。
「姉さん、ビッグパフェの為にがんばれ、がんばれ」
握っていた手をニギニギとしながら姉さんに微笑む。
姉さんはホッとした様な表情をすると頷いた。
「次のお客様ー」
女性店員が俺達を見遣る。
「ビッグパフェの注文がしたいのだけど…」
「恋人限定のビッグパフェですね、お2人は恋人同士で間違いないかの確認をしたいのですが…」
もう何十回も言っているであろうセリフを俺達も言われる。
「何をしたら良いのかな?」
俺は、にっこり微笑んで首を傾げた。
「大変申し訳ありませんが、キスして下さい」
女性店員がにっこり微笑んで俺の質問に答えた。
そのセリフに、今まで黙っていた姉さんが目を見開く。
「えっ?!!!しなきゃダメなの???」
「決まりでして…」
多分、不正防止の為だろう。
(意外に厳しいんだな…だけど、なんて嬉しい決まりなんだ)
俺はニヤける口許を片手で押さえて姉さんを見た。
タイミング良く姉さんも俺を見ている。
その目は「どうしよう~~」と訴えている目だった。
「仕方ない、店員さんも好きで見せろって言ってる訳じゃないんだ」
姉さんの肩を抱き寄せると顔を近付ける。
そしてー
「唯芽」
「ンッ」
姉さんの唇に1番近い頬にチュッとキスをした。
「場所の指定は無かったので、コレでも良いですよね?」
女性店員に判定を伺う。
女性店員は直ぐに頷くと、俺達を店内へと案内してくれた。
「…顔が真っ赤だよ?」
「だって、ホントにしたんだもん」
席に着くなり姉さんは顔を両手で覆う。
「ビッグパフェの為だろう?」
姉さんの向かい側に座ると首を傾げて見せた。
「そうだけど~~」
「ビッグパフェ、楽しみだね」
身を乗り出して、姉さんの頭を撫でる。
姉さんは、恥ずかしそうにしながら顔を見せてくれた。
「凄く、楽しみ…ありがと、唯衣」
「お安い御用ですよ、お姫様」
(今日は凄く良い休日だな)
然りげ無く自分の唇に触れる。
そして先程の感触に耽けながら、俺達はビッグパフェが来るまで楽しく談笑した。
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