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閑話/報酬は君①
しおりを挟むギシッとベッドが軋む。
その音と一緒にシーツの擦れる音も交わった。
「ちょ、唯衣、やっ…」
「シーッ…静かに…ね?」
姉さんをベッドに組み敷きながら、俺は姉さんの耳元で囁く。
姉さんの脚の隙間に、自分の脚を割り入れ閉じれない様にすると、姉さんの頬は赤らんだ。
「ぁんっ、やだ、やめてぇ」
「ーッ」
(姉さん、それ、男を煽ってるだけだよ)
ゾクゾクと支配欲が昂ぶった、その時ー
「おーーーーい!!!俺を蚊帳の外にするなーーーーー!!!」
1人の男の声が部屋に響いた。
(あーあ、台無しだ)
体勢はそのままに、俺は声のした方を見やる
「近藤、お前が言ったんだろ?」
「そうだけどさぁ、くそぉ…イチャイチャしやがってぇ」
近藤は持っていたスケッチブックをバンバンと自分の膝に叩き付けた。
「スケッチは終わったのか?」
「お陰様でぇ…」
恨めしそうに俺達を見やりながら、スケッチブックをガリガリと噛みしめている。
「そ、じゃあ、もうこの体勢はいいよな」
そう言うと俺は、姉さんの上から起き上がった。
「あぁ、ありがと…」
近藤はスケッチブックをパラパラとめくりながら先程スケッチした絵を見て頷く。
そしてー
「彼女ちゃんも、ごめんねぇ…」
姉さんを見つめると微笑んだ。
「あ、いえ…」
姉さんはベッドから起き上がりながら恥ずかしそうに俯いた。
ーそう、姉さんは今、俺の彼女だ
事の始まりは、遡る事3時間前ー
俺の学校に〝漫画研究部〟という、ある意味王道みたいな部活が存在する。
近藤はその部活に所属しているクラスメイトだ。
そんな近藤が俺に手を合わせてきたのが2時間前の事
「頼む!モデルになってくれ!!」
漫画研究部の部室に呼ばれた俺は、椅子に座りながら唖然とした。
「は?」
「次出す漫画のさ、男女の絡みが上手く描けないんだ…」
「へぇ…」
「お前、確か彼女いたよな?」
「……は?」
俺に彼女??
いるわけがない!!
コイツは何を言ってるんだ?
「見たんだよ!お前が恋人限定のパフェをやってるカフェに女の子といたのを!」
俺がだんまりしていると、近藤は口を開いた。
近藤の話を詳しく聞くとー
近藤は〝恋人ごっこ〟をして入ったカフェでバイトをしているらしい。
俺達のテーブルには来なかったが、俺と姉さんが仲良くパフェを、それも恋人限定のパフェを食べているのを見たとの事だった。
(コレは…思いも寄らない良い誤算だな…)
俺の口元は歪む。
それはそれはイヤらしく。
「で?俺と彼女にその絡みをやれって?」
「お察しが良い!!」
近藤は目を輝かせながら、大きく頷いた。
「でもなぁ…」
「もし引き受けてくれたら、コレやるよ!!」
渋る俺の前に、近藤は1枚のチケットを差し出してきた。
「なんだよ、これ」
「うちの店のパフェ無料券」
ヒラヒラとチラつかせると、近藤はニヤリと笑った。
「彼女ちゃんにあげなよ、うちの店のパフェ好きなんだろ?」
「あー…ちょっと、彼女に聞いてみる…」
俺は困ったフリをしながら、姉さん宛にメールを送った。
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