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第7話
3・いよいよ
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前夜祭・文化祭1日目は特に何事もなく過ぎ、いよいよ文化祭2日目。
私は、朝から浮き足立つような気持ちで、この日を過ごしていた。
クラス展示はひとりでまわれそうなものだけを覗いたし、演劇部や吹奏楽部の発表もひとりでのんびり楽しんだ。
残りの時間は、小説を持ち込んで書庫に閉じこもった。校内がお祭り騒ぎで浮かれているなか、ここだけはいつもどおりひどく静かだ。
読書するには絶好の機会。
なのに、やっぱりソワソワしてしまう。
間中くんはどうしているだろう。試合は、そろそろ終わっているはずだ。それこそ「アディショナルタイム25分」とかでなければ。
持ち込んだ小説は、3ページも進んでいなかった。読んだつもりのその3ページすら、ちゃんと内容が頭に入っているかあやしかった。
それでも、展示終了の時間ギリギリまで閉じこもって、私は書庫を後にした。
サッカー部の状況は、どうすればわかるだろう。準決勝のときは、坂田くんのおしゃべりスピーカーっぷりと、「お姉ちゃんがサッカー部のマネージャー」の徳永さんに助けられたわけだけど。
(とりあえず、今日は徳永さんのそばにいようかな)
そうすれば、また何か聞けるかもしれない。ちょうどいい感じに、誰かがサッカー部のことをふってくれればいいんだけど。
そんなことを考えていた矢先、
「トモ! 聞いてよぉっ」
「きゃあっ!」
渡り廊下の向こうから、いきなりクマの着ぐるみが飛びついてきた。
なにこれ、怖すぎ! 中身がお姉ちゃんなのは、かろうじて声でわかったけど。
「やめてよ、お姉ちゃん! 私、教室に戻らないと……」
「遠野くん、後夜祭に出られないかもって!」
──えっ!?
「サッカー部、今日県大会の決勝じゃん? でも、帰りのバスが渋滞でひっかかって、帰ってくるのめちゃくちゃ遅くなるかもって」
唖然とした。
そうだ、そういう可能性もあったんだ。
「アディショナルタイム25分」よりもよほど現実的な理由。どうして思い至らなかったんだろう。
今すぐ、間中くんと連絡をとりたい。
でも、スマホを持ってきていない。
「ごめん、お姉ちゃん。私、教室に戻るから」
まだグチグチこぼしているお姉ちゃんを押しやって、私は早足で歩き出した。
どうしよう、どうしよう。今の情報が事実なら「後夜祭の告白」なんて絶対に無理だ。
(でも、途中で渋滞がなくなったら?)
それなら、ギリギリ自由時間には間にあう?
ああ、なんてもどかしいんだろう。こんなふうにあれこれ頭を悩せたところで、結局私にできることは何も──
「トモちゃん!」
切羽詰まったような声に、私は足を止めた。
振り向くと、結麻ちゃんがホッとしたように頬を緩めていた。
「よかった、トモちゃんに会いにいくところだったの」
あ、なんとなく嫌な予感。
「ごめん。今日の自由時間の約束、30分くらい遅れてもいいかな」
私は、朝から浮き足立つような気持ちで、この日を過ごしていた。
クラス展示はひとりでまわれそうなものだけを覗いたし、演劇部や吹奏楽部の発表もひとりでのんびり楽しんだ。
残りの時間は、小説を持ち込んで書庫に閉じこもった。校内がお祭り騒ぎで浮かれているなか、ここだけはいつもどおりひどく静かだ。
読書するには絶好の機会。
なのに、やっぱりソワソワしてしまう。
間中くんはどうしているだろう。試合は、そろそろ終わっているはずだ。それこそ「アディショナルタイム25分」とかでなければ。
持ち込んだ小説は、3ページも進んでいなかった。読んだつもりのその3ページすら、ちゃんと内容が頭に入っているかあやしかった。
それでも、展示終了の時間ギリギリまで閉じこもって、私は書庫を後にした。
サッカー部の状況は、どうすればわかるだろう。準決勝のときは、坂田くんのおしゃべりスピーカーっぷりと、「お姉ちゃんがサッカー部のマネージャー」の徳永さんに助けられたわけだけど。
(とりあえず、今日は徳永さんのそばにいようかな)
そうすれば、また何か聞けるかもしれない。ちょうどいい感じに、誰かがサッカー部のことをふってくれればいいんだけど。
そんなことを考えていた矢先、
「トモ! 聞いてよぉっ」
「きゃあっ!」
渡り廊下の向こうから、いきなりクマの着ぐるみが飛びついてきた。
なにこれ、怖すぎ! 中身がお姉ちゃんなのは、かろうじて声でわかったけど。
「やめてよ、お姉ちゃん! 私、教室に戻らないと……」
「遠野くん、後夜祭に出られないかもって!」
──えっ!?
「サッカー部、今日県大会の決勝じゃん? でも、帰りのバスが渋滞でひっかかって、帰ってくるのめちゃくちゃ遅くなるかもって」
唖然とした。
そうだ、そういう可能性もあったんだ。
「アディショナルタイム25分」よりもよほど現実的な理由。どうして思い至らなかったんだろう。
今すぐ、間中くんと連絡をとりたい。
でも、スマホを持ってきていない。
「ごめん、お姉ちゃん。私、教室に戻るから」
まだグチグチこぼしているお姉ちゃんを押しやって、私は早足で歩き出した。
どうしよう、どうしよう。今の情報が事実なら「後夜祭の告白」なんて絶対に無理だ。
(でも、途中で渋滞がなくなったら?)
それなら、ギリギリ自由時間には間にあう?
ああ、なんてもどかしいんだろう。こんなふうにあれこれ頭を悩せたところで、結局私にできることは何も──
「トモちゃん!」
切羽詰まったような声に、私は足を止めた。
振り向くと、結麻ちゃんがホッとしたように頬を緩めていた。
「よかった、トモちゃんに会いにいくところだったの」
あ、なんとなく嫌な予感。
「ごめん。今日の自由時間の約束、30分くらい遅れてもいいかな」
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