新生活は異世界で

Taka

文字の大きさ
27 / 52

27・講習会を開こう

しおりを挟む
「はーどうしよ……」
「なによ~アリスちゃん、暗い顔して、らしくないな~」
「そう言われましてもね……」

診療所の昼下がり、もうそろそろ救命処置の講習会が開かれる頃だ。
まあそれは、魔法じゃないって説明すれば何とかなりそうだからいいけど。
昨日の”アレ”がガーぜルさんに渡ってしまったのをどうするかな……。
説明して返してもらうってのもなんだし……はぁ~。

ちなみに、マクベルさんは昨日こちらが”アレ”の話をしていた時は、シルフィーから勇者の話を真剣に聞いてたみたいだし、こちらの”アレ”事には気づいていないだろう……たぶん。


「シスターアリス、そろそろいいかな?」
「はい、神父様、今伺います」

今から講習会が開かれるようだ。
とりあえず今は”アレ”の事は忘れて、講習会に全力で挑もう!
誤解を解くためにね……。

「さあ、皆さんお待ちかねですよ」
「ええ、では参りましょう」
「がんばってね~アリスちゃ~ん!」

もお、人の気も知らないで……。


よし!気持ちを切り替えて、頑張るか!

気合を胸に、教会のドアを開けた。

おお、結構集まってるな、30人ぐらいは居そうだ。

「おお!使者様が御出でになられたぞ!」

……いや、使者じゃないし。
御出でにって、ずっと隣の診療所に居ましたけど……。

と、とりあえず、ここは、取り乱さず静かに……。

「みなさん、お待たせしました、ただいまから救命処置の講習会を始めさせていただきます。」

「おお!神の御業を我々に伝授して下さるという話は本当だったのですね!!」

いや、神の御業じゃないし……。それに自分に向かって祈らないでくれませんか……。

「と、とりあえず、ここは教会ですので、講習会の前にお祈りをいたしましょう」

ここは、祈る対象を正しい方向へ向けてもらおう、うん。

教会の前に進み、とりあえずお祈りのポーズをした。

<あら、アラタさん、こんにちは~>
「へ?」

突然、頭の中に声がした……。

「ん、どうしました、シスターアリス」
「い、いえなんでもないです、神父様……」
「そうですか」

マクベルさんは、祈りに戻ってくれた。

≪も、もしかして、女神さまですか!?≫
<ええ、そうよ~>
≪またなんで突然・・・≫
<え~、アラタさんが話しかけてくれたんでは無かったんですか~>
≪いえ、今は違いますけど・・・≫
<そうですか~つまらないですわ~>
≪いや、つまらないと言われましても……≫
<ところで今日はどうなさったんですか~なにやら人がたくさんお集りのようですが~?>
≪えっと、今日はですね、自分を”神様の使者”という噂が流れてまして、その誤解を解くために集まってもらったんですが≫
<え~違うんですか~>
≪いや!違うでしょう!とりあえずここに放り込んどくかって感じで送り込みましたよね!女神様!≫
<ああ~そうでした~すっかり忘れてましたわ~>
≪忘れてたって・・・ほんの数日前のことなのに……≫
<では、アラタさんはその誤解を解きたいわけですよね?>
≪ええ、普通の生活のために、ぜひ!≫
<そうですか~もったいないですわね~>
≪もったいないって……なにが……≫
<そうですわ!、なんでしたら私がお手伝いしましょうか~>
≪へ?手伝うって……≫
<私がですね~そちらで直接、この子は私の使者ではありませんよって説明すれば皆様納得してもらえるんじゃないでしょうか~>
≪いや!納得しませんって!そんな事したら余計こじれてしまいますよ!女神様!!≫
<え~そうなんですか~?>
≪そうなんですって!女神様!自制してください!≫
<そうですか~お手伝いできなくて残念ですわ~>
≪いや、残念って……≫
<ではアラタさん、説明、頑張ってくださいね~~またね~>
≪あ、はい……≫

ふう、女神さまも突然話しかけてくるなんて、びっくりしたな……暇なのかな?
とりあえず、気を取り直して、説明頑張りますか! ……ん?

祈り終わって、ふと振り返るとなぜか街の人が自分に向かって祈っている……。

「あの……なぜ私に向かって祈りを捧げてるのですか?」
「あ、いえ。アリス様が祈りを捧げている姿が神々しくて……」

アリス”様”って……。

「で、では。只今より救命処置についての講習会を始めさせてもらいたいのですが……あの、お祈りするのをやめてもらえませんか?」
「いえ!お祈りをやめるなんてめっそうもない!ぜひこのままその”救命処置”というお話を聞かせてください、アリス様!」
「あの……そのままですと講習会が出来ませんので、普通に聞いてもらえないでしょうか……」
「そうですか……アリス様がそうおっしゃられるのでしたら」
「はい、普通でおねがいします、普通で」

これって、誤解を解くのってむちゃくちゃ大変じゃね?

なんで”うわさ”だけでここまでなっちゃうかな~。

まあ”よく解らない物”に信仰を持つのは分からない訳でもないけど……。

よし!気合を入れて懇切丁寧に説明して誤解を解いてもらおう!
しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...