この恋は恋なんて言わない

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60話

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「…もしもし」






本当に、久しぶりに聞く悟さんの声だった。















「…今日、いましたよね。今、どこですか?」














「…○○ホテル」












「え?!  俺も○○ホテルです。何階ですか!」











「...25かっ」









「すぐ行きます!」









俺は、悟さんの言ってる言葉を遮って食い気味に答えて部屋を出た。





「あっ、、、」





警護してくれる人達が、俺が急に出てくるものだから驚いた顔をしていた





「どうかされましたか?」






「あっ、ははは」





「どこかに出られますか?そしたら、僕達も一緒にお供します」






「あはは。」






そうなるよね。






「あの…」






「はい。」






「今、同じホテルに知り合いが来てて…だから会いに行きたいんですけど。」 





「そう言う事でしたら、ご案内します。」





「いや、1人で大丈夫…」





「いえ、何かあってはいけないので。」



















「すみません。なんか…」






「いえ、お気になさらないで下さい。」




結局、なんとか付いて来なくて大丈夫。と言う意思を伝えたが、上手くいくわけもなく…こういう状況になった。






「ありがとうございます。 新人の方ですよね? 見ないお顔なので。」






「あっ、、そうなんです。何かあったらなんでも言って下さい。」





「あはは、ありがとうございます。」








"25階です"





警護の人は最初に出ると、いつも通りにエレベーターを押さえてくれていた。






「ありがとうございます…」





そして、俺が最初に歩き出しながら急に止まると、警護の人は驚いていた





「どうされましたか?」




「部屋の番号聞くの忘れてました。」





「あぁ、なるほど。」






25階だけ聞いて部屋の番号を聞いてない事に気付いてすぐに電話した。







「悟さん。部屋の番号教えてください。」









「あぁ、1503」






ずかずかと歩いていた場所のすぐ目の前の部屋だった。







「あ、目の前でした。開けて下さい。」








電話を切ると中からゴソゴソと音が聞こえてきた。







そして、扉が開いた。
















「悟さん…」









「蓮…会いたかった。」




と言い急に俺に抱きついてきた。







「ちょっ、ちょ悟さん…」






「蓮…」





警護の人が見てます。とも言えず…悟さんにされるがままでいると、悟さんが人の気配に気が付いたのか、勢いよく俺から離れた






「あっ、、、すみません。なんか…」







急に謝りだした悟さんに俺は吹き出しそうになった。久しぶりにあっても悟さんは悟さんだった。



そんな事を考えていると、警護の人が…





「あっ、いえ、、あの、帰る頃また連絡ください。迎えに上がります」






「あ、ありがとうございます。じゃあ、帰る頃連絡します。」





「はい。では失礼します」






と言い去っていった。






それを見送ってから俺達は部屋に入り、久しぶりの再会を喜んだ。






「なんで、連絡くれなかったんですか。」







「ごめん。本当に忙しいかった…」






「でも、ちゃんと電話にも、出て欲しいかったし会いたかった。」





「ごめん。」





と悲しいそうな顔をしている悟さんに軽いキスをした。






「でも、こうやって会いに来てくれたから許す!」







「本当に?」







「うん。ありがとう。会いに来てくれて。」






「ううん。ありがとう。蓮…」







そして、久しぶりに2人でベットに横になり悟さんが両手を広げた。  俺は、すぐに胸の中に飛び込んだ。




「悟さんだ…」






悟さんの匂い 悟さんの息遣い 悟さんの体



全てが夢みたいだったけど、久しぶりに会えてこうしている時間は、現実であって心地の良い場所であった。





だから、今まで、悟さんに溜め込んでた事を、悟さんに話すと全て頷いて聞いてくれた。





久しぶりにファンに会えた事


メンバーとツアー中に起きた事


ここの地方はこのグルメが美味しかった事







「今度、一緒に行きましょう。2人で…」







「そうだな。」







そして、いつの間にか俺は眠りについていた。


























朝、スマホの着信で目を覚ました。




隣を見ると、悟さんはまだぐっすりと寝ていた。





久しぶりにいい時間過ごせたな。って思いながら着信を見るとマネージャーからだった。





ヤベェ。部屋にいないから怒られると思い…おそるおそる電話出た。









「もしも…」






「もしもし!!蓮、今どこ!!」






「あっ、すみません。ホテルにはいます。
知り合いが来ててそっちの部屋で寝てしまって」








やっちゃった。かなり怒ってる…



今すぐ戻って来いって言われるんだろうな。って思っていると、マネージャーからは、違う言葉だった。








「今すぐ、ネット見て」







「え?」








「いいから、」











ネットに入るとそこには、昨日悟さんと俺が抱きついている写真がアップされていた。







「なにこれ…。」



















「「人気アイドル LOVE PEACEの桜庭蓮!
                         なんと、ホストの彼氏持ち?!!



しかも、ホテルでの密会の様子。独占特集!!」」


























「なんで…」

























































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