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1章 目撃者
三話
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「母さん、どういう事?」
その後、母さんと居間で話をする事になった。
「分からない。分からないの。あの人はもうおかしくなっちゃったのよ…」
「それは俺だって分かったよ。普通じゃない事くらい、さっきだって…」
まって。と母は言った。
ドアが開く音がして、階段から降りてきたのは兄だった。
「大丈夫?最近夜遅くまで勉強してるの」
「あ……」
兄が立ち止まった。
緊張が走る。俺の手はいつの間にかグーになっていて、手汗が出ていた。
兄は冷蔵庫から麦茶を取り出した。
食器棚からコップを机に置いた。
コップに麦茶を注いで、2、3杯飲むと部屋へ戻った。
タンクトップ1枚の小太りのおじさんだった。半年前まではガリガリだったのに。
足跡が汗で分かった。
「なに…この臭い」
鉛筆と生ゴミを混ぜた様な臭いが居間に漂う。
「そうよ。関わらないでいいの」
「え?」
「もう、あの子は危険だわ」
ーーー
朝起きると鉄の臭いがした。
生き物が死んだような、
生臭い臭い。
階段を降りようとすると湿っていた。
汗で兄の足跡がはっきりと分かった。
居間へ向かうと、母が刺されていた。
いや、過去形じゃない。
刺されている。
兄がかいた汗で吐き気が出てしまった。
兄はキッチンから包丁を取って母の方へ向かっていた。
「オエッ」
俺は思わず、階段で吐きそうになった。
兄は、階段から頭を覗かせるようにして見ていた俺を見つけたのか、母へ向かっていた足が止まった。
「あー。起きてないか?……寝てる?」
身体は俺の方を向いていたが、目の焦点は合っていなかった。
どういう表現をしていいのか分からないが、こっちを見ているのにこっちを見ていない。まるで俺の向こう側にある何かを見ているような。
ーーー
ピピピピピ…
目覚まし時計の音だ。
「なんだ夢か…」
とても気持ちの悪い夢を見た。
兄が、人を〇す?
そんな事が有り得るのか?
夢だ。そんな事起きるわけない。
そう言い聞かせて学校へ行った。
ーーーー
放課後、部活の帰り際になって、ふと聞きたくなった。
「あのさ…大池くん」
「おお、どうした?」
「いや…やっぱりいいや」
「なんだよ。相談なら言えよ。あ、因みに俺は機械とかプラモ好きで、鍵穴開けるのとか得意なんだよね。これ、秘密な」
「それ、ホント?」
「嘘言ってどうする」
「実は…」
それから俺は、所々端折りはしたが大まかな家庭環境を説明した。
「そうなんだな。お前も大変だな」
「……それで!!それでさ」
「まだあんのか?」
「その…兄の部屋に鍵穴あるんだけど、開けれる?」
「ピッキング?できるよ、俺」
その後、母さんと居間で話をする事になった。
「分からない。分からないの。あの人はもうおかしくなっちゃったのよ…」
「それは俺だって分かったよ。普通じゃない事くらい、さっきだって…」
まって。と母は言った。
ドアが開く音がして、階段から降りてきたのは兄だった。
「大丈夫?最近夜遅くまで勉強してるの」
「あ……」
兄が立ち止まった。
緊張が走る。俺の手はいつの間にかグーになっていて、手汗が出ていた。
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足跡が汗で分かった。
「なに…この臭い」
鉛筆と生ゴミを混ぜた様な臭いが居間に漂う。
「そうよ。関わらないでいいの」
「え?」
「もう、あの子は危険だわ」
ーーー
朝起きると鉄の臭いがした。
生き物が死んだような、
生臭い臭い。
階段を降りようとすると湿っていた。
汗で兄の足跡がはっきりと分かった。
居間へ向かうと、母が刺されていた。
いや、過去形じゃない。
刺されている。
兄がかいた汗で吐き気が出てしまった。
兄はキッチンから包丁を取って母の方へ向かっていた。
「オエッ」
俺は思わず、階段で吐きそうになった。
兄は、階段から頭を覗かせるようにして見ていた俺を見つけたのか、母へ向かっていた足が止まった。
「あー。起きてないか?……寝てる?」
身体は俺の方を向いていたが、目の焦点は合っていなかった。
どういう表現をしていいのか分からないが、こっちを見ているのにこっちを見ていない。まるで俺の向こう側にある何かを見ているような。
ーーー
ピピピピピ…
目覚まし時計の音だ。
「なんだ夢か…」
とても気持ちの悪い夢を見た。
兄が、人を〇す?
そんな事が有り得るのか?
夢だ。そんな事起きるわけない。
そう言い聞かせて学校へ行った。
ーーーー
放課後、部活の帰り際になって、ふと聞きたくなった。
「あのさ…大池くん」
「おお、どうした?」
「いや…やっぱりいいや」
「なんだよ。相談なら言えよ。あ、因みに俺は機械とかプラモ好きで、鍵穴開けるのとか得意なんだよね。これ、秘密な」
「それ、ホント?」
「嘘言ってどうする」
「実は…」
それから俺は、所々端折りはしたが大まかな家庭環境を説明した。
「そうなんだな。お前も大変だな」
「……それで!!それでさ」
「まだあんのか?」
「その…兄の部屋に鍵穴あるんだけど、開けれる?」
「ピッキング?できるよ、俺」
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