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1章 目撃者
四話
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日曜の夕方、俺は兄が外へ出るのを見計らって電話をした。
「大池、今から来れる?」
「今から行くよ。ただ、今日の事は内緒にしてくれよ」
「俺もそう言おうとしてた所だよ」
ーーー
ピンポン
玄関を開けると大池がいた。
自転車に部活用のバッグが掛けてあり、何かをパンパンに詰め込んでいた。
おそらくピッキングの道具だろう。
「あれ、母さんいないの?」
「今日は仕事遅くなるらしいんだ。」
「何時に帰ってくるの?それによって計画変えるつもりだけど」
「9時半頃だね。今5時だから、4時間で鍵開ければ良いね」
「オッケー。」
「じゃあ、早速中に入って」
約1時間後、案外呆気なく鍵は開いた。
「良い?開けるよ」
「うん。開けよう」
大池がなんの躊躇いもなく普通にドアを開けた。
ガタン
何か、重くて柔らかい物が落ちたような音だった。
「因みにこう言う行為やったらダメらしいよ」
「今言ってももう手遅れでしょ」
「そりゃそうだ」
お互い小声で話していた。
割とどうでもいい話をしていたが、そうでもしないと、この状況に対して気が気じゃなかったのだ。
部屋の中にはブルーシートが畳んであった。
「あ、あれ」
大池が指さす所には、粘土で作られた人形?人間?だった。
「藤澤、どうする?立て直す?」
「いや、余計に触らない方がいい。自然に倒れる事だってあるし大丈夫だ。」
部屋は思いの他広く、奥の方には数年前まで見なかった勉強机があった。
「こんな机いつ手に入れたんだ?」
「藤澤、この引き出しにブリキ缶あるぞ。あの…缶の箱だよ」
「なにそれ、中身見よう」
「うわ重っ!!なにこれ怪しすぎるよ」
やっとの思いで机から取り出し、缶を開けてみる。
すると中にはレンガが入っていた。
「レンガ?なんでここに?」
「さあ、俺の兄は美術系大学目指してるから、何かに使うんじゃないかな」
部屋の隅々まで見たが、怪しかったりおかしい部分は特に無かった。
「まあ、すっごい嗅いだ事無いような気持ち悪い匂いだな」
「そうだよね。なんの臭いだろう。」
「あ、あれだ。魚の腐った匂いと、鉛筆の臭い。そしてポテチの臭いだ」
「そうかな…」
だが、嗅いでみると本当にそんな臭いだった。
「大池、もう7時だし帰るか?」
「そうだな。ちょっと肩透かしだったけど、何も無くて良かったよ」
「俺の家はコンテンツじゃねえよ」
「いや、ごめん。でもこれで一安心だな。じゃあな」
大池を見送って俺は部屋に戻った。
ポケットに何か違和感を感じた。
「なにこれ?」
ノートを破った紙が折り畳まれている。
広げると文字が書いてあった。
「ここにいたら〇されるかもしれない。俺がここに来てたのがバレたら?俺を見つける程の観察力があるかも。棚の上にナイフがあった。」
ガチャ
自分の部屋のドアが開く音がした。
母さんが勢いよく部屋の中に入った。
「あの子、どこに行ったの?」
「何があったの?」
「帰ってきてないのよ。お兄ちゃんが」
「大池、今から来れる?」
「今から行くよ。ただ、今日の事は内緒にしてくれよ」
「俺もそう言おうとしてた所だよ」
ーーー
ピンポン
玄関を開けると大池がいた。
自転車に部活用のバッグが掛けてあり、何かをパンパンに詰め込んでいた。
おそらくピッキングの道具だろう。
「あれ、母さんいないの?」
「今日は仕事遅くなるらしいんだ。」
「何時に帰ってくるの?それによって計画変えるつもりだけど」
「9時半頃だね。今5時だから、4時間で鍵開ければ良いね」
「オッケー。」
「じゃあ、早速中に入って」
約1時間後、案外呆気なく鍵は開いた。
「良い?開けるよ」
「うん。開けよう」
大池がなんの躊躇いもなく普通にドアを開けた。
ガタン
何か、重くて柔らかい物が落ちたような音だった。
「因みにこう言う行為やったらダメらしいよ」
「今言ってももう手遅れでしょ」
「そりゃそうだ」
お互い小声で話していた。
割とどうでもいい話をしていたが、そうでもしないと、この状況に対して気が気じゃなかったのだ。
部屋の中にはブルーシートが畳んであった。
「あ、あれ」
大池が指さす所には、粘土で作られた人形?人間?だった。
「藤澤、どうする?立て直す?」
「いや、余計に触らない方がいい。自然に倒れる事だってあるし大丈夫だ。」
部屋は思いの他広く、奥の方には数年前まで見なかった勉強机があった。
「こんな机いつ手に入れたんだ?」
「藤澤、この引き出しにブリキ缶あるぞ。あの…缶の箱だよ」
「なにそれ、中身見よう」
「うわ重っ!!なにこれ怪しすぎるよ」
やっとの思いで机から取り出し、缶を開けてみる。
すると中にはレンガが入っていた。
「レンガ?なんでここに?」
「さあ、俺の兄は美術系大学目指してるから、何かに使うんじゃないかな」
部屋の隅々まで見たが、怪しかったりおかしい部分は特に無かった。
「まあ、すっごい嗅いだ事無いような気持ち悪い匂いだな」
「そうだよね。なんの臭いだろう。」
「あ、あれだ。魚の腐った匂いと、鉛筆の臭い。そしてポテチの臭いだ」
「そうかな…」
だが、嗅いでみると本当にそんな臭いだった。
「大池、もう7時だし帰るか?」
「そうだな。ちょっと肩透かしだったけど、何も無くて良かったよ」
「俺の家はコンテンツじゃねえよ」
「いや、ごめん。でもこれで一安心だな。じゃあな」
大池を見送って俺は部屋に戻った。
ポケットに何か違和感を感じた。
「なにこれ?」
ノートを破った紙が折り畳まれている。
広げると文字が書いてあった。
「ここにいたら〇されるかもしれない。俺がここに来てたのがバレたら?俺を見つける程の観察力があるかも。棚の上にナイフがあった。」
ガチャ
自分の部屋のドアが開く音がした。
母さんが勢いよく部屋の中に入った。
「あの子、どこに行ったの?」
「何があったの?」
「帰ってきてないのよ。お兄ちゃんが」
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