アニ’ズ

塔野 瑞香

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第13話 告白

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『野球部の校庭を使う割合を増やしてほしい』

『学校の庭に花を植えたらどうでしょう?』

『バレンタインデーのチョコ持ち込みを許可してほしい』

『吹奏楽部の楽器を増やしたいので、予算を組んでもらいたい』

吹奏楽部か…。ふと一生懸命に楽器の練習をしている凛那りんなの顔が浮かんだ。


いろいろ意見がある。とりあえず意見の多いもの、重要度の高いものをピックアップしていかなくては・・・。

アンケート用紙から目を離し、時計を見ると17時を回っていた。生徒会室の窓の外には夕日が見える。

俺は立ち上がって、パソコンをひたすら打っている書記の五十嵐夏穂いがらしなつほの肩を軽くたたいた。

五十嵐はボイスレコーダーのイヤホンを外し、俺を振り返った。

「五十嵐、そろそろ帰ったら?」

「うん、ありがとう。もうすぐ書き終わるから」

生徒会室には俺と五十嵐だけが残っていた。五十嵐は先日行われた生徒総会の議事録をボイスレコーダーを聞きながら、書き起こしていた。開催前もバタバタしていたが、その後のアンケート集計や、先生方への意見書作成、会議など生徒会の仕事は待ち控えている。
そういえば、五十嵐はこの前、1人残ってアンケート集計を片付けてくれたっけ。そして今日も遅くまで頑張ってくれている。

「終わったー!」

そう発すると同時に五十嵐はイヤホンを外し、伸びをした。

「五十嵐、これから時間ある?俺、おごるよ」

「・・・え」

「なに?嫌なの?」

「違うのっ。嬉しいの!」

目がキラキラと輝きだす。どうしたんだ?




高校の最寄り駅に近いカフェへ着いた。

「ここのパンケーキが食べたかったの~」

メニュー表を見ながら嬉しそうに話す。それでさっきの目の輝きか。納得だ。

「いつもありがとな。五十嵐がいてくれて助かってるよ」

するとメニュー表から目を離し、俺に視線を移した。

「私なんて、ぜーんぜん。1年の時から思ってたけど須藤くんて凄いなと思う。生徒総会の時は特に思った。尊敬してる。そんな人の側にいられて、私は・・・」

言いかけて、近くにいた店員に注文をした。

「私も須藤くんがいてくれて助かってるよ」

と、嬉しそうに笑った。



カフェを出て、五十嵐を駅まで送るため公園を横切る。

「須藤くんて進路どうするの?」

「俺は里舘さとだて大学へ行くつもりだよ」

「里舘かぁ、凄いなぁ。須藤くんなら行けるよ」

「難関だからそれはわからないよ。五十嵐は?」

「私は短大かなって・・・じゃあ一緒にいられる時間もこの1年だね」

「そうなるか・・・3年間同じ生徒会やってたのって俺と五十嵐だけだもんな。一緒に頑張ってきたけど早いな」

五十嵐はうつむきがちに歩く

「・・・さっきカフェで言いかけたことがあるの。私ね、須藤くんといられてすごく嬉しいの。今こうして2人でいられるのも夢みたいで。頑張ってこれてるのも須藤くんのおかげで・・・好きなの」

え?

「好きな人いるの?」

五十嵐は俺を見上げた。
俺は立ち止まったまま言葉が出てこない。
そんなふうに思われていることを初めて知った。

ただ、そう聞かれて凛那の顔が浮かんだ。

その意味はあとあと思い知る。



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