妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

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1章:異世界転生とゴブリンの群れ

閑話:ムラクモの想い

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 私の名前はムラクモ。私は昔は神刀として、崇められていた。
 けど、戦いが終わった時、私の強力な力はみんなに恐れられ、私は力の大元は封印された。
 それから私は色んな場所を点々とした。そして最終的に月影家の裏山の祠に置かれた。

 いつだろうか、私が初めてユウを見たのは、その頃のユウは今のように大きくはなかった。きっと今の私ぐらいの身長だったと思う。
 最初はどうとも思ってなかった。どうせ周りと同じなんだ、私を怖がって、使おうとすら思ってくれない。私は刀なのに。物が本来の意味で使われないのは悲しいことだ。だって存在意義がないのだから。
 でもユウは違った。何年も経って、急に祠の前に来たと思ったら、私を手に取り、躊躇わずに、私を鞘から引き抜いてくれた。この人なら、私を使ってくれるんじゃないか、そう思ってしまった。だから私は答えるように刀身を輝かせた。これが封印されている状態での精一杯だ。
 ユウは私を持ち出した。祠から出してくれた。やっと私の主人が決まった。そう思ったのに……
 私はユウを殺してしまった。違う人に使われて。

 私は穢れてしまった。私を本来の私として見てくれる人を自分の手で殺したのだ。そんな自分が憎くて、私を使ったこいつが許せなくて、私は暴走した。
 記憶はほとんど残っていないが、私を使ったあいつを道連れにできた。自分のしたことは消えない、けど一矢報いることができた。
 そして私は神刀身としての私を失った。
 もうこんな世界、ユウがいないならどうでもいいと思った。

 私が暴走してから、少し経った頃、穢れて、神刀ではなくなった私に、1人の神様が話しかけて来た。最初は幻聴かと思った。けどそんな神様の口からユウの名前が出た。そして神様は私にこう言った。
「この世界がどうでもいいなら、あの子と一緒に異世界に行くかい」と。あの子とは、ユウの事だ。
 私は即座に肯いた。ユウと一緒に居られるならどこにでも行く。そう思えたからだ。
 神様は私をある場所に運んだ。そこは白黒の世界だった。
 そして私の目の前には……ユウがいた。
 私を見た瞬間ユウは驚いたような顔をした。けどすぐに、私を手に取り、抜刀した。
 私は恥ずかしかった。ユウに会えたのは嬉しかった、けど、こんな穢れた私を見られたのが、とても恥ずかしかった。けど私を見たユウの反応は、私の予想とは全然違った。
 黒く染まった私を見たユウは、子供のような笑顔を見せてくれた。
 ユウは純粋に私を欲してくれてるんだ。私はユウがいい、ユウ以外に使われたくない。そう思った。そして私は、またユウにこたえるように、黒く染まった刀身を輝かせた。


 異世界についてから、ユウは私を、本来の私として使ってくれた。妖刀となってしまった私を、穢れた私を何とも思わず、ただ私を私として使ってくれた。
 町で武器屋の男に、私が欲しいと言われた。武器として欲してくれるのは嬉しい、だけど私はもう、ユウ以外には使われたくない。
 ユウは男の頼みを即座に断った。嬉しかった。
 ユウは部屋に戻ると、私に声をかけた。鑑定されて、私も初めて知ったのだ。意思疎通で話せることを。
 私は謝った。ユウを殺してしまったことを。けどユウは私を責めなかった。許してくれた。
 そしてユウは、私に人化のスキルを使えと言った。私がスキルを発動させると、刀だった私は、人の姿になった。服なんてなかった。生まれたままの姿をユウに見られた。少し恥ずかしかったけど、隣にいたティナが、ユウに目隠しするために後ろから抱き着いた。それを見たとき、すこし胸がもやっとした。私は鞘を服へと変換した。そして、ユウの目隠しが取れたのを確認して、私の思いをぶつけるために、ユウに飛びついた。
 私の目からは自然と涙が出てきた。謝った、何度も何度も、それを言うたびにユウは、私の頭をなでながら許してくれた。すごくうれしくて、私はユウの名前を呼び続けた。

 そのあとゴブリン殺しや、黒竜の騒動でユウは大活躍だった。やっぱり私は、武器として使われるのが好きだ。武器なのに、痛くないかどうかを気遣ってくれるユウが好きだ。
 そんな騒動の中、ティナがユウにキスをした。うすうす気づいてはいたが、ティナはユウが好きみたいだ。けどその気持ちを何処か抑えてる。隠しているような気がした。そんな光景を見て、私はすごくもやもやした。これが嫉妬、という感情なのだろう。
 大規模クエストが終わり、部屋に戻ると、私は人化して、ユウの膝の上に陣取った。そしてひたすらユウを見つめた。そしてユウは何かを察したのか、私以外を外に出した。
 これはチャンスだ、そう思って、私はユウを押し倒した。ユウの気持ちが知りたかった、私のこのもやもやをどうにかしたかった。ユウは少しティナに惹かれかけてる。
 私には気配察知のスキルがある。だからティナが戻ってくるのを知っていた。そしてタイミングを合わせて、私とユウの位置を入れ替えた。そしてティナが部屋に戻ってきた。この状況を見たはティナは顔を赤くし、ティナの方を向いているユウの顔をこっちに向きなおさせて、私はユウに口づけをした。
 それは、自分がしたかったから、ティナを素直にさせたかったから、たぶん前者の気持ちが強い。
 何秒立ったか、わからない。キスをした後、私はティナを煽った。ティナにほんとの気持ちを言わせたかった。ユウを好きだと思う気持ちは一緒なんだから。嫉妬はするが、許せないわけではない。だからティナがいいなら二人で攻めることはいいと思った。
 そして、私がユウにもう一度キスをしようとすると、すぐにティナが止めに入った。
 私はティナを問い詰めた。ユウが口を挟もうとするが、それはダメ。
 すると、ティナは思いを吐き出した。それを聞いて、この人なら大丈夫だと思えた。私はティナを撫でながら、ユウに宣戦布告をした。ティナも頷き、ここに二人の協力関係ができた。
 神様の言うことを聞いてよかった。だってユウと一緒にいられるんだから。

 私はこれからもユウの力になる、ずっとずっと一緒にいたいから。
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