妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

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3章:王都招集

77:後処理

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(エル。どうしよう、やり過ぎた)
《もう、本当にしょうがないますたーですね》
(悪かったなこんなので)

 俺がそう返すと、エルは《ふふっ》と笑いながら魔導書の姿から人化する。

「そんなますたーだからいいんですよ」

 灰色の髪をなびかせ、エルは俺に向かってそう言った。

「それでは、後処理ですね」

 エルは背中の翼を広げ、魔法を紡ぐ

神聖光円セイクリッドネビュラ

 エルは指をパチンと鳴らす。
 それと同時にエルを中心に光の輪が広がる。
 その光に触れた、黒い炎は跡形もなく消えていく。

「これで終了です。魔力を使いすぎました。すみませんが、しばらく休みます」

 エルはそういうと実体化を解き俺の中へと戻ってくる。

「まぁ、とりあえず戻るか」

 俺は何もなくなった草原を歩き出した。



「あーご主人が帰ってきたのー」

 そう言って俺に飛び込んでくるのは竜人化しているノワールだ。

「ほんと、ユウ様は何でもありですね……」
「それがご主人様だからね」

 俺の目の前にはティナ、フロン、ヨリヒメ、ノワール、ヒサメ、フィリア、フェルがいた。
 ティナとフロンは呆れたように俺にそう言ってくる。

「まぁ、怪我がなさそうで何よりだ」
「当たり前だよ。ボクがあれぐらいの相手に後れを取ることはない」
「おねぇーさん暇だったわ」

 全員の無事を確認し、フェルの方向に目を向けると、目に涙を蓄えていた。

「お、おい。フェル? どこか悪いのか?」

 俺はすぐにフェルに駆け寄る。

「いえ、あの状況から助かるとは思えなかったので、すみません。あまり見ないでいただけると助かります」
「わかった」

 俺はフェルの頭にぽんと手を置きそのサラサラの髪撫でた。

「あぁ! ご主人様。フロンも撫でてください!」

 とフロンが迫ってくる。その話を聞いて、ヨリヒメも少しずつこっちにずれてくる。
 何やら右翼側と左翼側で、撃退数勝負をしていたそうで、勝った方の頭を俺が撫でるみたいだ。
 右翼側ではヨリヒメが左翼側ではフロンが勝ったみたいだ。

「ヨリヒメちゃんはせこいです」
「だからちゃん付けで呼ぶなぁー」

 と、ティナは愚痴り、ヨリヒメはちゃん付けを訂正させようとする。

「フロンねぇもせこいの」
「勝てばいいのですよ、勝てば。欲しいもののためには、ずる賢く行かなきゃダメなのですよ」
「ノワールも頑張るなの」

 と、なにやらフロンはノワールに教え込んでいた。

 俺は結局、フロンとヨリヒメの頭を撫で、周りも危険が去ったことに喜び、今日は解散となった。
 そしてフィリアが俺のもとによって来る。

「ユウ様、今日はミラルの宿にお泊り下さい。事情も説明しますので」
「だから! って、まぁ後ででいいか」

 俺たちは今日は迷宮都市に泊まることにし、ミラルの宿を訪れていた。

「あっ! ユウさんだ」

 俺が宿のドアを開け、真っ先に俺に気づいたのはレナだ。

「久しぶりだな」

 俺はそのままレナの頭を撫でようと手を伸ばすと、レナが俺の手をはじく」

「もう、子供扱いしないでください!」

 どうやら撫でられるのは嫌みたいだ。
 すると奥からリナが出てくる。

「おかえりなさい。フィリア、魔物が攻めて来たって……。あれ? ユウさん?」
「ただいまです。魔物の件はユウ様たちが処理しましたよ」
「まぁ、そういうことだ。今日はここに泊まろうと思う大丈夫か?」

 今はヒサメも刀に戻り、ノワールは仔竜に、ヨリヒメも俺の中に戻ってきているので、俺とティナ、フロンだけだ。

「はい大丈夫です。お部屋は?」
「ベット三つ、一部屋でいい」
「わかりました、レナ案内して」
「はーい」

 俺はリナに代金を支払い、レナのあとを付いていく。
 案内されたのは二階の前とは反対の位置にある部屋だ。

「それではごゆっくり、夜ご飯になったらまた呼びに来ますね」

 そう言ってレナは部屋を出て行った。

「ちょっと、待ってくれ」

 俺はベットに腰掛け、意思疎通のスキルを発動させる。
 もちろん相手はアイリスだ。

(アイリス。聞こえるか?)
(え? あっユウさんですか。やっぱりまだこの感覚なれませんね)
(まぁ、そこは頑張ってくれ。で、迷宮都市の魔物の件だが)
(はい! 今そちらに向かう準備をしています。今からそちらに向かう予定です)
(いや、あの)
(どうしたんですか?)

 ものすごく言いずらい。せっかく準備してもらったのに。

(アイリス。すまん、魔物500体だが……)
(はい)
(全滅させた)
(え? あのもう一度)
(魔物500体、全滅させた)

 アイリスは状況が理解できずに聞き直してきた。

(まぁ、そういうことで帰ったら説明する。帰るのは少し遅れるかもしれん。俺がいなくても剣の練習はしろよ、それじゃ)
(え? あのちょっ……)

 俺はアイリスからの追及を逃れるために、無理やり意思疎通を切る。

「それじゃあ、そろそろ話を始めようか」
「わかりました、ユウ様」

フィリアは俺の前まで歩いて来る。

「だから、様付はいい。いつもの話し方で話せよ。ハーフエルフのフィリア・フィルナール?」
「そうね。わかったわ。でもあなたが私の恩人であり、所有者であることには変わりないからそうね、主様と呼びましょう」

 フィリアは大きく話し方を変える。いや戻した。

「わかった、それでいい」
「ちょっと、暗い話になるわよ」
「わかってる」

 俺は頷き、ティナとフロンもベットに腰掛ける。

「主様はなんでもお見通しで少し怖いわね。それじゃあ話しましょうか、ハーフエルフの私がここまで来ることになった悲しい出来事を」

 フィリアは赤い髪をかき上げ、髪で隠れていたハーフエルフのとがった耳を俺たちに見せた。

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