妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

文字の大きさ
118 / 133
5章:エルフの国と軍師の策略

109:状況の整理

しおりを挟む
「ノワール。あとどれくらいで着きそうだ?」
[んーと、1時間ぐらいだと思うの]

 まだ少し時間があるな。
 と言っても考えることがいっぱいだ。さっきもエルと話していたが、これはいったい誰のせいなのか。目的は。どうやって俺だけの短時間でこれだけの魔物を用意したのだとか、考え始めたらきりがない。
 とりあえず迷宮都市に関しては、あの三人に任せれば何ともないだろう。
 けど王都に1万か、俺一人でさばけるのか? いや、レジーナやラースもいる。いざとなれば、ヨリヒメやエルに向かってもらえば何とかなるだろう。

 そんなことを考えている間にノワールはドンドン加速していく。雲や山をすぐに通り過ぎ、遠くに見えていた山が迫ってくる。
 波の人なら気絶しているレベルだ。

[やっぱりご主人はすごいのー]
「なにがだ?」
[ノワール結構スピード出してるのに気絶する気配ないのー]
「まぁ、人間やめちまったしな、多少はな」
[あっ、そろそろ見えてくるの]

 ノワールの声に反応し前に目を向けると、肉眼でぎりぎり王都を捉えることが出来た。
 ノワールのスピードで向かえばすぐにつく距離だ。
 王都の前方には遠いが明らかに迷宮都市より多い数の魔物が存在していた。迷宮都市と違うのは数もそうだが人影が見当たらないところもそうだ。

(アイリス聞こえるか?)
(はい聞こえます)
(前使った訓練場を開けてくれ。そこに降りる。ノワールで行くことは伝えてあるんだよな?)
(わかりました。ノワールちゃんについてはご心配なく)

 根回しは完了かな?

「ノワール。あそこに見える訓練場に降りてくれ」
[了解なの]

 ノワールは迷宮都市を飛び立ってすぐに空中で一人が乗れるサイズまで小さくなっている。おかげで、そこまで人の目に着かない。大騒ぎわれても困るからな。
 王都の上を抜け、王城のさっき指定した訓練場へとノワールはその体を下ろした。

「ユウ殿。前とは一段と見違えましたね」
「レジーナか、そこまで時間がたってないのに久しぶりな気がするな」

 俺とノワールを一番に出迎えたのはレジーナだった。

「アイリスとラースは?」
「お父様は、騎士の徴収やらなんやらに追われてますね。姫様は逆に平民や、ギルドの方に立ち会ってますね」

 レジーナもいろいろなところを走って回ったようで、額には汗が流れていた。
 そりゃそうか、1万もの魔物の襲撃なんてこれまでなかったのだろうから。

「レジーナ状況確認がしたい。説明を頼めるか?」
「わかりました。歩きながらでもいいですねよね」

 そう言ってレジーナが歩きだす。俺はそのあとを付いていく。

(エル。天星ノ瞳を使って、魔物たちの様子を見ておいてくれ)
《わかりました》
(ヨリヒメは実体化して先に門の前に行っててくれ)
“了解だよ”
(ヒサメはラースを探して今の状況を聞いてくれ)
〝おねぇーさんに任せなさい〟
〝んー。私は?〟
(ムラクモはこのまま俺と一緒に頼む)
〝んー〟

 腰から姿霧氷雨シギリヒサメが消える。それに続いて、エルとヨリヒメも行動に出る。
 レジーナはその様子に気づくことがなく、今の状況についての説明をはじめる。

 今はアイリスのところ目指して歩いているらしい。
 戦力として考えられるのは、王都にいる騎士たち。レジーナとラース。それと俺。
 そしてレジーナによるとSSランクのPTのうち2人が異常に気付いて急いでこちらに向かっているそうだ。
 ラースは元だからSSランクの冒険者に合うのは初めてだな。
 まぁ、そんな悠長なこと言ってられないと思うけど。
 それとは別にオルディナの町からもシウテ伯爵が援軍を食ってくれるらしい。
 迷宮都市にも割って援軍を送るらしい。王都としても迷宮都市にも援軍を送りたいらしいが、何せこんな状況だ。猫の手でも借りたい気分だろう。

「レジーナ。シウテ伯爵に連絡を回してくれ。迷宮都市に援軍はいらないと、ティナを信じろってな」
「わかりました」

 レジーナはすぐ近くの兵士に呼びかけると、伯爵へと伝令を飛ばす。
 事情を聴いている内に俺たちはギルドについていた。
 中に入ると、すぐにアイリスが俺を見つけ、駆け寄ってくる。

「ユウさん。来てくれたんですね」
「まぁ、この状況で、放置なんてできるわけないよな」

 すると、俺とレジーナのあとから、ヒサメとラースが入ってくる。

「連れてきちゃった」

 ヒサメが、右手で拳を作り頭に当てて舌をペロッと出した。
 どうやら、事情を聴いて俺に説明するのがめんどくさかったみたいだな。

「おう、お前か、久しぶりだな」
「ラースか、まぁそんなこと話してる暇はないしとりあえず、状況をまとめようか」

 ギルド内に需要のあるメンバーが集まったところで、さっき集めた情報と照らし合わせて情報の整理に入った。
しおりを挟む
感想 118

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...